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分岐エンディング・ウィル

ここからはエンディングになります。


分岐エンディング、とあるものは、それぞれ別ルートのものと考えて、好きなキャラのものを選んで読んでいただけたらと思います。


分岐でないエンディングも最後に書きますが、まとめというより女神の日常になります。なので、好きなキャラと結ばれる分岐エンディングが、私の中ではこの物語の終わり、という気持ちでいます。

「お帰りなさい、ルカ様。こっちに来てからバタバタで、邪魔者も多くて落ち着いて話もできませんでしたね」


 戻るとウィルが一人で待っていた。


 他のみんなの姿は見えない。ウィルがにこやかにそばに来て、私の手を握り締める。


「お疲れでしょう。積もる話もあるから、僕の家に来ませんか?」


 いつも気になっていた他のみんなの視線もない。みんなを平等に扱わなきゃって無意識ながらにいつも考えていたけれど、今はそう思う必要がないんだって思えて、すごくホッとする。


 私は笑顔でウィルの言葉にうなずいた。


「私も、落ち着いてウィルと話したかったの」


 ウィルがエスコートしてくれて、コントロールルームである我が家のリビングから出て歩き出す。


 タイル敷の小道が続いているけれど、辺りは真っ白な世界だ。少し歩くとだんだん緑が見えてきて、森のような場所に差し掛かって行く。


 すぐに森を抜けられて、出てきたのは大きな洋館だ。


「僕の家なんです。普段は蒼騎士団の寮に住んでましたけど、僕の家、クロスフリー家の屋敷はこんなところなんですよ。ルカ様にお見せできたらってずっと思ってたんです」


 ウィルが嬉しそうに話してくれる。


 白地に空のような明るい青を使った洋館で、ウィルらしいなあと感じる。蒼騎士団で制服が青かったせいもあるかも。


 大きな扉を開けると、そこはホールになっていて、一対の階段がある。ホールから一階の左右、それに二階の左右の部屋にアクセスできるようだ。


「さぁ、こちらへどうぞ。僕達の部屋に」


 ウィルは本当に嬉しそうに私の手を引いて行く。ふかふかの絨毯に、摘みたての良い香りの花が所々に生けられている。こんな大きな屋敷なのに私たち二人というのが少し寂しい気がしたけれど、ウィルが嬉しそうだから気にするのはやめよう。


 ウィルは二階の奥の部屋へ進み、大きな合わせ扉を開いた。とても広い部屋で、天蓋付きのベッドはキングサイズくらいありそう。


 他にも机や応接セットもあるし、窓辺にはテーブルと椅子、それにバルコニーもあるようだ。


「どうぞ、座って下さい」


 私が座ると、体が重なるんじゃないかってくらい密着してウィルも隣に座ってきた。


 やる事がウィルらしいなーと思って笑っていると、ウィルが私の頬に触れてきた。


「良かった、やっと笑った。ルカ様、この世界に来てからずっと元気がなかったから、心配してたんですよ」


 私の頬を触るウィルの手が温かくて、私はその手に自分の手を重ねた。


 ずっとウィルと話したかった。でもコノエやルーカス、キザリハ、ファトゥム様もいてなかなか話せなかった。その上、いきなり女神の仕事が始まってしまい、ずっと胸が苦しかった。


「ウィルに謝りたかったの……私を庇ったせいで死なせてごめん。それから、勝手にこの世界に連れて来てごめん」


 ずっと言いたかった。大神殿で蘇った時はウィルとゆっくり話もできなかったし、神の世界に来てからもほとんど話せなかったから。


 あの時ウィルが私を庇わなければ、ウィルは今もズーアスにある本当の自分の屋敷でいつでも自由に過ごせただろうし、蒼騎士団の仕事も、生活も、何もかもが普通に続いていたはず。


「私を庇ったせいで、何もかも失って、この世界に来る事しか出来なくなっちゃったから……本当にごめんなさい」


 私の目から涙が溢れて、頬を濡らしていく。


 ウィルは私の顔を覗き込んで、温かい手で涙を拭ってくれた。


「僕、嬉しかったですよ。ルカ様を守れた事。騎士として、男として守れた事は誇りに思ってます。それに……僕が死んでから、たくさん泣いてくれましたよね。すごく嬉しかった」


 そう言って、ウィルは今度は私の涙を手ではなく唇で舐め取った。顔がすごく近づいてきて、私の心臓の鼓動が早まる。


「僕のためだけに泣いてくれて、本当に嬉しかった。僕はルカ様がいれば、他には何もいらないんですよ。何度も言ってるでしょう。貴方だけが欲しいって」


 ウィルは私の涙を舐め尽くしてから、今度は頬を舐めて、そのまま首筋まで移動していく。


 ウィルが嫌な思いや後悔をしてないって分かってホッとした。そんな私を、ウィルはきつく抱きしめてくる。


「ウィル……苦しい、けど、ありがとう」


 ウィルの髪がくすぐったい。首筋に当てられた唇の感触にドキドキする。ウィルは指先までしっかり力を込めて私を離さない。


「この世界に来れば、ルカ様と未来永劫離れる事なく共に生きられるってファトゥム様から聞いて、心底嬉しかった。大好きですよ、ルカ様。もう絶対離したくない」


 ウィルにきつく抱きしめられて、私は息が苦しくてため息をついた。


 それに気付いて、ウィルは腕を緩めて私の顔を見つめてくる。綺麗なオッドアイが私を真剣に見つめてる。


「ルカ様。僕と共に生きる事を、僕を愛する事を選んでくれますか? 僕はいくらでも誓います。貴方だけを永遠に愛すると。だから聞かせてください、ルカ様の気持ちも」


 その時初めて気付いたのだけれど、ウィルの指先が微かに、本当に微かに震えていた。女神になったから気付いたんだと思う、それくらい微弱な震え。


 いつもしつこいくらいに好意を伝え、迫ってきたウィル。でも本当は不安だったんだね。こんな風に小さく震えて、緊張してたんだ。


 そう思った瞬間、目の前のこの容姿端麗な犬人を愛おしいと思った。


 私は自分からウィルの首に手を回し、優しく抱きしめた。ウィルがぶるっと震える。私はふわふわのウィルの耳にそっとささやいた。


「ウィル、あなたを愛します。私を守ってくれてありがとう。この世界まで一緒に来てくれてありがとう。私も……ウィルがしてくれたように、私の全てをウィルに捧げます」


 その瞬間、ウィルは全身を大きく震わせてから、突然立ち上がって私をお姫様抱っこした。


 その顔は、満面の笑顔に、少しの恥ずかしさも入り混じっている。


「やった! ルカ様が僕を選んでくれた! 絶対後悔はさせませんよ。いつも、いつでも幸せいっぱいにします。貴方の事は二度と離さないし、常にそばにいます。常に僕の愛でいっぱいにします」


 ウィルが笑っているので、私も控えめながら、彼の頬にキスをした。


 するとウィルは一瞬固まってから、またぶるぶると震えて、感激している。


「ああもう、ルカ様。匂いも顔も声も何もかも大好きです。ずっとずっと、こうなる日を夢見てました」


 嬉しすぎてとろけそうなウィルを見て、私も顔が赤くなる。


「私も、ウィルの気持ちと通じ合ったら、きっと世界一幸せになれるだろうなって思ってたよ。ズーアスにいる時は余裕がなくて決められなかったけど、今なら分かる。ウィルの愛が嬉しいし、ずっとそばにいてほしいの」


 ウィルは嬉しそうに私をお姫様抱っこしたまま、部屋の中を早足で歩き回る。嬉しすぎてじっとしてられないみたい。


「ルカ様、このまま、僕のものになってくれますか?」


 ウィルはベッドの前で足を止めて、私をベッドに下ろしてから、その上に覆いかぶさるように乗ってきた。

 

 恥ずかしさと緊張から私はぎゅっと目を閉じる。するとウィルは私のおでこにキスをして、それから隣に寝転がった。


「大丈夫、時間はいくらでもあります。それこそ無限に。焦ってしまいましたけど、僕たちの気持ちが一つになった今この時を、もっと堪能させてください」


「堪能って……どうするの?」


 横に寝転ぶウィルの顔を見つめながら聞き返す。まつ毛も長いし鼻も高い。なんて整った顔なんだろう。


 ウィルは嬉しそうに笑って、私の顔に手を触れた。


「こうやって二人でベッドでごろごろして話したり。抱きしめたり、キスしたり。それから、一緒に美味しいごはんを食べて、散歩をしたり。好きだって何回も言いたい。愛してるって言いたい。髪に触れたいし、貴方の体の全てに触れたい。一緒にお風呂も入りたい。僕が貴方と出会った時から今日まで、どれだけ狂おしいほどに愛してきたのかも話したい。眠る貴方の顔も見たいし……とりあえず、話しながらでいいので、キスしましょう」


 喋っているそばから、いても立ってもいられないと言わんばかりにウィルが体を起こして顔を近づけてきた。


 恥ずかしくて息が止まる。照れて固まっている私に、ウィルが優しく口付けた。


 温かくて柔らかい唇が重なる。


 ウィルの吐息がくすぐったい。私もウィルの体を抱き締めると、ふさふさの尻尾に触れた。柔らかくて艶やかで、目を閉じていても思い出せるウィルの美しいブルーマールの毛色。


 ふと思い出した。ファトゥム様がいつも身につけている色とりどりの毛皮。あれは、神の世界に一緒に来た犬人猫人達のものなんじゃないかな。


 みんな満足して消えて行ったと言ってたけど、愛した者達の毛色を肌身離さず身につけているのでは。本当の毛皮ではなくてファトゥム様が作り出したものだろうけど。


 そう思うと、ウィルも五日私を残して消えて行ってしまうのかなって気付いて、急に不安が込み上げて来た。


「ルカ様……? どうしました? 僕のキス、下手でしたか……?」


 そんなはずないと言わんばかりの顔をしながらウィルが聞いてくる。この犬人は、いちいち私を笑わせて明るい気持ちにしてくれるから、大好き。


 私は意を決して、自分からそっとウィルにキスをした。


 バタバタと、ウィルの尻尾が千切れんばかりに振られる。


「ウィル、ずっとずっと一緒だよ。私のことを一人にしないでね」


 私が不安そうに言うと、ウィルはにっこり笑って私の頭を撫でてきた。柔らかくて優しいウィルの手が心地良い。


「ルカ様がしつこいって言っても、絶対離れませんよ!」


 ああ、いつものウィルだ。


 そしてそのウィルの甘い言葉を、全身で受け止めて、嬉しくて笑顔になれる自分がいる。


「何ですか、その可愛すぎる笑顔はー!! ああ、もう、ベッドの隣でルカ様がにこにこ寝ていたら、正気でいられる訳がないっ!」


 ウィルはガバッと私に抱きついて来て、そのままキスをして、耳を舐めてくる。


「わぁ、くすぐったい」


 ちょっと恥ずかしくなりながらも、ウィルに腕を回して抱きしめた。


 ウィルはハァと熱いため息を漏らして、私のことを見下ろしている。


「今日は犬種属やめます。狼になります」


 狼になるって……。言っている意味が分からないほどお子ちゃまではないけれど、恥ずかしさのあまり両手で顔を隠した。


「ルカ様。僕の運命、ずーっと、ずっと、愛し続けます」


 耳元でウィルが囁いている。


 ウィルがいてくれて、こんなに愛してくれたら、それだけで幸せ。私は目を閉じて、小さく呟いた。


「これから一緒に、のんびり楽しく暮らそうね。愛してる、ウィル」

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