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夢見る未央のモノローグ  作者: 宇目 観月(うめ みづき)
2/9

おじいちゃんのお通夜

その日は、いとこ達と同じ部屋で、

(おそ)くまでテレビをて過ごしたわ。


けいちゃんとしんちゃんは、


「おじいちゃんのおけが出るかも

しれない」


って、怖がってた。


啓二けいじ、ちょっとおじいちゃんを見

て来いよ」


って、伸ちゃんが言ったらね、 


いやだ、にいちゃんが見て来いよ」


って、啓ちゃんが言うの。 


「何だ怖いのか?」


「兄ちゃんこそ怖いんだろう?」


とかって、言ってるの。



この二人は本当に笑っちゃうくらい、いつも

ケンカばかりしてるの。


啓ちゃんはその時小三。伸ちゃんは小五。

この二人はママの二番目のお姉さんの子供。



◇◇



節ちゃんと、夏ちゃんは、順子お姉ちゃんの

妹なんだけど、この二人は普段から、とても

おとなしくて優しいの。


節ちゃんは学校は違うけど、私と同い年で

小四。夏ちゃんはまだ幼稚園で四歳だった。


三人はとても仲の良い姉妹。

この三人もママの一番上のお姉さんの子供。


だから、私のママはおじいちゃんの一番下の娘なの。



夏ちゃんはまだ小さいから、おじいちゃんが亡くなった意味が、よく分からないみたいだった。だけど、


「あーあ、おじいちゃん死んじゃった」


って、何度もつぶやいてたわ。


それが可愛くて、私、こんな時なのに、

つい笑っちゃったの。



節ちゃんは悲しそうに泣いてたわ。

節ちゃんも本当におじいちゃんのことが

大好きだったから。


順子お姉ちゃんから肩を抱かれて、

なぐさめられてた。



◇◇



その日の夜はテレビを観ながら、いつの間

にか私もいとこ達もコタツで寝ちゃったの。



大人達は遅くまでお酒を飲んでた。


時々、大声で泣く声や、笑い声が聞こえて来

たわ。ずっとザワザワしてうるさかった。


時折り、潮騒しおさいの音も聞こえて来たの。


[お通夜って、こんなににぎやかなんだ]


って、私、夢うつつの中で思ったわ。



◇◇



私ね、実は、


[おじいちゃんのお化けが出て来てくれない

かな]


って、思いながら寝てたの。


伸ちゃんと啓ちゃんは、お化けを怖がってたけど、実は私、お化けは全然怖くないの。


死ぬことに対する恐怖心きょうふしんはもちろんあるわ。


その日だって、人のがらを初めて見て、

とてもショックだったし、凄く怖かった。


だけど私の中では、お化けはまた別なの。


だってお化けがいるってことは、人間って死

んだらそれで終わりじゃないってことよね?



やっぱり、人間にはたましいがあって、死んでも

かで生き続けるってことでしょ?


それに私、前に一度お化けを見たことあるし、免疫めんえきが出来てたの。


その話はまた後でするね。



とにかくその日、私はおじいちゃんに、

ちゃんとお別れが言いたかったの。


だから、お化けでも何でもいい、夢の中ででもいいから、おじいちゃんに会いたかった。


だって、私が最後にお見舞いに行った時、

おじいちゃんはもうすでに意識いしきが無くて、

植物しょくぶつじょうたいだったんだから。

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