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夢見る未央のモノローグ  作者: 宇目 観月(うめ みづき)
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未央の疑問

私ね、『人間って、何で生きてるのかな?』


って、いつも思うの。


だって、不思議だと思わない?


人はみんな訳も分からずにこの世の中に生まれて来て、いろんな苦労をして、やがて歳をとって死んでいくのよ。


若いのに事故や病気でくなる人もいるし、テロや戦争や、自然災害で亡くなる人だっているわ。



去年の暮れにおじいちゃんが亡くなって、

私とても悲しかった。


私のこと、いつも可愛がってくれてね、

とても優しいおじいちゃんだった。


おじいちゃんはクリスマスの朝に死んじゃったの。



◇◇



しらせを聞いた日の夜、私とパパとママの三人で車に乗っておじいちゃんの家に行ったわ。


私たちは海辺の町に住んでてね、おじいちゃんの家は車で二十分くらいの所にあるの。


私ね、車の中で泣きながらパパにいたの。


「ねえ、パパ。何で人間って死んじゃうの?

どうせ死んじゃうなら、生まれてくる意味な

んてないんじゃない?」


ってね。


そしたらパパはね、車を運転しながら大きな

目で前を見つめて、少し考えながらこう言っ

たの。


「本当にそうだなあ。人間は何で生まれて来るのかな。パパにもよく分からないよ。だけど生まれて来たからには、生きて行くしかないだろう? 自殺なんかしたら、家族も友達も悲しむからな。パパだってこの世に生まれて来た意味なんてよく分からないよ。仕方なく生きてるだけさ。だけど人生には楽しいことも一杯あるし、パパには未央みおやママが居るから幸せだよ」



私、パパの答えを聞いてガッカリしたの。


パパだったら、もっと生きる勇気や希望が湧いて来るような話をしてくれるって期待してたのに。


でもパパのような大人の人だって、人生を生きる意味なんてよく分かってないんだって思ったら、私ますます悲しくなっちゃった。



◇◇



海沿いのおじいちゃんの家に着くと、

大勢の人達が集まって来てた。


私のいとこ達や親戚の大人達、その他にもおじいちゃんの知り合いの大人達がたくさん集まって来ててね、みんなでお通夜つやをしたの。



私もいとこのみんなと一緒に、白や紫の綺麗なお花がたくさん飾られた仏壇ぶつだんにお線香を上げたの。


仏壇のそばのボンボリの光が畳やてんじょうえてとても綺麗だった。


だけど仏壇の前に置かれたひつぎの中のおじいちゃんは凄くせてて、とても小さく見えた。


おじいちゃんはガンで亡くなったの。



おじいちゃんは白い浴衣ゆかたみたいな和服を着せられて、ひたいに白い三角形の頭巾ずきんのようなぬのを付けてたわ。


とても奇妙きみょうな感じだった。


私が亡くなった人を見たのはそれが生まれて初めて。


とてもショックで、


[私もいつか、こうやって死ぬんだわ]


って思うと、凄いこわくなって、私、隣に座ってた順子じゅんこねえちゃんの腕にしがみついたの。


「大丈夫よ、未央ちゃん」


と言って、順子お姉ちゃんは私の手を取って向こうの部屋に連れて行ってくれたの。


せっちゃんとなっちゃんも一緒にね。



順子お姉ちゃんは私よりむっつ年上なの。


私はその時、小学校四年生で十歳、

順子お姉ちゃんは高校一年生で十六歳よ。


私を実の妹のように、いつも可愛がってくれるの。

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