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「んっ……」

「リン!?大丈夫か!?」

「アル……あれ、私……」

「事件の現場を見てたら急に倒れて……無事でよかった……」


そうだ、私、視たんだ……アルの様子から見て、私の目は元に戻ったのだろう。よかった。アルにバレたらどうしようかと思った。

そんなことよりも、事件の解決しなきゃ。意識が途切れる直前に視えたもの。それがきっと手掛かりになるはず。


「アル、あの事件なんだけどね、」

「そんなの後でいいからちゃんと休め。」

「だ、大丈夫だよ。もう目も覚めたし、早くしないと。アルだって解決したいでしょ?」

「……あのなリン。確かに、これは早く解決しないといけない事件だし、俺もそうしたい。」

「なら、」

「でも!!リンがまた倒れたりしたら困るんだ。リンに無理させてまで解決する必要はない。俺はリンの方が、」

「解決する必要はない……?何言ってるの。」

「だからリンが、」

「ふざけないでよ。アルは……アルは領民を守るって言ったよね?」

「当たり前だ。俺は次期領主なんだから。」

「なのに、解決する必要はないって言うの?」

「それは違う。俺はただリンの体が心配なんだ。」

「だから大丈夫だって言ってるじゃない。ねえ、もっと視野を広げて?アルが今すべきことは私の心配じゃなくて、領民のために調べることでしょ?」

「……リンには分かんないよ。俺がっ!!……どんなにリンのこと心配してるかなんて……」

「アル……」

「いいから、もう少し休んでて。俺は、とりあえずリンが起きたこと報告して来る。」


アルが私の事心配してくれてるのは嫌という程分かる。でも……私はそんなに心配して貰えるような人じゃないんだよ。だから私なんか気にしないで、もっと領民のこと考えて欲しい。アルはきっと、いい領主になるはずだから。

アルが居なくなった今、私がすべき事。ごめんねアル。どんなに心配してくれても、私は立ち止まって居られない。今回の事件の責任は私がとらなきゃいけないから。

ベッドから出て、窓から外を見る。どうやらここはアルの家のようだ。なら、迷子になることはないな。


「リンフェニさん、お着替えをお持ち……え?」

「あ、ごめんなさい。着替え大丈夫です。アルにちょっと行ってくるって伝えておいて下さい。」

「えっ、リンフェニさん!?」


そりゃ驚くよね。まさか窓から飛び降りるなんて思っていなかっただろうし。













「リンフェニ、おかえり。」

「ただいま帰りました。あっ教父様、実は、久々に目を使ってしまって……」

「あの事件の調査の為だろう。大体予想はしてたし私は別に何とも言わないよ。ただ、バレてないかい?」

「はい、それは。アルは全く知らないみたいでしたし、問題ないかと。」


私の出生のことを知っているのはもう教父様と昔からいる修道女の方1人だけだ。この目を使わないことを決めたのも教父様と。だから使った時は報告しなきゃいけない。


「君のお母さんと約束したんだ。君がその血で悩むことが無いようにする、と。君の血は……国レベルでの何かを起こしかねないからね。」

「そうですね。」

「それで……何が見えたんだ?」

「狼です。」

「ということは、最初の見立てに間違いはなかったのか。」

「はい。でも、その狼……操られてました。一瞬しか視れなかったので何とも言えませんが、多分……術者だと。」

「なるほど……狼が操られていたならその可能性は高い。ただ、術者が術を使ったのならそこには霊玉が残るはずだ。」


さすが教父様だ。知識ならこの国の誰よりもある。


「はい。だから、それを探しに行こうかと思っています。」

「……それをリンフェニがする意味はなんだ?あそこの調査なら、領主様の私設調査団が行っているのだろ?なら、任せて休んだ方がいいのでは?」


そう、そして教父様は痛いところをついてくる。何となくだが、教父様は私が倒れたことを知っているのだろう。

「これは……私の贖罪です。」

「贖罪……」

「最初の事件の時、アルがいるからって、私は力を使いませんでした。でも、それが間違いだった。私があの時力を使っていたら、早く犯人に行きつけて、被害者を減らすことだって出来たはずなのに。」

「リンフェニのせいではないよ。」

「それでも……私の血が、許してくれないんです。私の中の王族の血が……だから私が何とかしないといけないんです。」

「……夕飯までには帰ってきなさい。」

「はい。」

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