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『ケンジとタカシ。彼女役編』~息抜き短編小説集~

「どうしたアツシ?お母さんが40歳だと思ったらすでに70歳を超えていた時みたいな顔をして」


「どうしたのアツシ?お父さんが石油王だと思ったらニートだった時みたいな顔をして」


「そんな顔してたか?確かに二人のそれはどちらも俺の家で、どちらも聞いた時ちょっと驚きの余り鼻水出たが。でもそんな衝撃的事実は最近聞いてないな」


「じゃあどうしたってんだいアツシ」


「うむ。彼女が欲しいと思ってなケンジ」


「確かになぁ。俺達未だに彼女出来たことないもんなぁタカシ」


「そうだねケンジ。なかなかナンパも成功しないもんね」


「そうだなタカシ。今の所806戦中、0勝806引き分け0敗だからな。繰り返すが0敗だからな。負けはない。引き分けだけだ。」


「うむ。負けたことはないなケンジ。勝ったこともないが」


「じゃあ彼女が出来た時の為に皆で彼女役やって付き合ったときの練習するのはどうケンジ、アツシ」


「天才かタカシは。それでいこう。将来の為になる時間になりそうだ」


「うむ。素晴らしいアイディアだタカシ。是非やらしてくれ」


「じゃあ行くぞ?『あらアツシお久ー!!元気ー?ちょっと最近お金がないんだけど貸してくんないー?』」


「『ア・ツ・シ・君!ごめんねお待たせ!お腹すかない?早速だけどイタリアン?フレンチ?それとも中華?私お金持ってないけどどれにする?』」


「『ケンジにタカシお待たせー!最近ー、ちょっとー、太っちゃってー、150kg超えちゃったんだけどー。テヘペロ!』」


「おいおいちょっと待てアツシ。お前まで彼女役やったらただの女子会の開催じゃないか。それに何だちょっと太って150kgって。ちょっとじゃねーじゃねーか」


「うむ。確かにそうだったなケンジ。「皆で彼女役」と言っていたから俺も彼女役なのかと。すまない。因みに150kgの子は最近狙っている子の真似だ」


「アツシは相変わらず変わった子が好きなんだね!ところでケンジ大丈夫?完全に財布目当てでデート誘われてない?」


「俺も最近そんな気がしてきたんだタカシ。でもタカシもそうだろう?高級そうな店に連れて行ってそうだな。気をつけろよ?」


「うむ。二人とも男女間でお金の関係は危ないぞ?だからお金を狙ってこないで、食べ物を狙ってくる子をお勧めする」


「アツシは財布は狙われないけど食費が凄そうだね。特盛お替りしそうな子だね」


「それは間接的に財布を狙われてるといえないかタカシ?兎に角アツシは男役だ。いいな?」


「了解した。二人の優しさに鼻水が出そうだ」


「出すなら涙にしてくれ。じゃあ行くぞ?『アツシお待たせー!!今日はどこ行く?表参道?六本木?銀座?』」


「『ア・ツ・シ。お待たせ!今日も同伴してくれてありがとう!これから直接お店行く?何か買い物してから行く?』」


「うむ。だから二人はいつも金欠なんだな?バーテンのバイトも7分で店長に泣きながらクビ宣告されたのによく金があるな。ケンジ、そんな高級街にはいかないよ。タカシ。それは水商売の子だな?騙されないように気をつけろ」


「ちょっとアツシが何言ってるか分からないな。女の子は大抵そう言う所を好むんじゃないのか?」


「俺もアツシが何言ってるか分からない。女の子とのデートは「同伴」以外に何があるの?」


「そうか。俺の方が間違っていたのか。すまない。だがデートは出来れば特盛のある定食屋がいいかな」


「まだ彼女を太らせる気か?やめとけ。それ以上行くと健康面からみてもよくないぞ?」


「そうだよアツシ目を覚まして!彼女の健康を気にできる男が本当のいい男だよ!」


「うむ。確かに二人の言う通りだ。やはり二人は頼りになるな。ありがとう」


「いいんだよ。気にすんな。俺たちの仲だろうアツシ?昔から近所で有名なゴールデントリオの仲じゃないか」


「そうだよアツシ。生まれた時から病院の隣のベットで寝てた仲じゃないか。俺たちの友情は不滅だよ!」


「うむ。俺たちの仲は不滅だ。よし、仕切り直していいか?二人とももう一度彼女役を頼む」


「頼まれた。『アツシー。ねえ最近太っちゃったー。180kgになっちゃった。どう?可愛い?』」


「うむ。実に魅力的な体系だ。だが健康面が心配だな。少し俺と一緒に歩いて汗を流さないか?気持ちいぞ?」


「いい感じだよアツシ!『えー歩くの?でもアツシが一緒ならいいかな?定食屋にだって中華屋にだってどこにだって向かって歩ける気がする』」


「うむ。それは素晴らしい。なら定食屋に向かって歩こう。」


「待てアツシ!騙されるな!それは罠だ!定食屋に向かって歩いたら行きつく先は特盛お替りだ!」


「ぬ?確かにそうだ。巧妙な罠を張ってきたなタカシは。だがもう騙されない。飲食店が目的地はもう止めよう」


「それがいいなアツシ。『えーじゃあどこに向かって歩くの?私達の歩く先に明るい未来はあるの?』」


「ああ、あるさ。俺たちは常に未来に向かって歩いている。特盛がなくたって明るい未来はあるさ」


「おお!!素晴らしいセリフだアツシ!今のセリフがあれば大抵の女は未来に向かって歩きたいとと思うぞ?」


「ほんとだよアツシ!歩きたいどころか走って市役所に婚姻届けを貰いに行くよ!!」


「本当か?全く俺としたことが名言を残してしまったな。帰ったら父ちゃんにも聞いてもらおう」


「父ちゃんにはそんなセリフより「働け」って言ってあげた方がいいと思うぞ?よしアツシ。どんどんいこう。『ねぇねぇアツシ君。私最近変なの。アツシ君と一緒にいると胸が苦しくなるの』」


「なんだと!?それは完全に肥満からくる心不全だ!すぐに病院に行こう!!」


「ぶっぶー!!ぶっぶーだよアツシ!女性に体形の話をしたら駄目だよ!それに胸が苦しくなるって肉体的な物じゃなくて精神的な問題だから!」


「ぬ?そうなのか?なら精神科に行った方がいいのか?まぁどちらにせよ、体調には気を付けてくれ」


「病院に行くような話じゃないんだが。アツシはいい奴なんだが真面目過ぎる。もっとリラックスして俺たちみたいにプールで全裸でナンパできるくらいの気分で行け」


「そうだよアツシ!俺たちみたいに授業中ですら全裸でいる様にリラックスしていくんだ!」


「あれ未だに疑問なんだがなんで誰一人問題視しないんだろうな?完全に受け入れられてるよな二人は」


「アツシだってなんだかんだ言いながら毎年身体測定の時全裸だよね?何で視力検査でフルチンなの?何で穴の開いた円の方向をさすのに息子で方向を示すの?


「その方が先生も楽しめるかなって。ちょっとしたユーモアさ」


「ユーモアセンスがあるかないかは置いといて、今は彼女の話だ。関係は良好なのかアツシ?告白とかしないのか?」


「関係はかなりいいと思うぞケンジ。この前も二人でご飯を食べに行ったんだ。定食屋なのに会計が18500円だったよ」


「それ完全に特盛お替りしてるね。しかも一回や二回の話じゃないねアツシ」


「だがいい関係じゃないか?『私愛の大きさと体重は比例するの』って言ってたぞ?」


「もし付き合ったとしたら愛が大きくなりすぎて破裂しそうだな彼女は。因みに身長は何センチなんだアツシ」


「135センチだケンジ。小さくてなかなか可愛らしいんだぞ?この前も『身長と横幅が同じになりそう』って笑ってたからな」


「それは笑うしかないねアツシ。最早笑わないとやってられないね」


「そうなことないぞタカシ。性格はとびっきりいい子なんだ。この前だって階段で大変そうに登っていたおばあちゃんに手を差し伸べてたんだ。まぁ結局彼女の方が階段上るのきつそうでおばあちゃんに助けられてたけどな」


「寧ろ迷惑かけちゃってるなそれ。アツシが何故彼女が好きなのか分からんな」


「そうか?俺には全てが魅力的に見えるが。兎に角俺は彼女が好きなんだ!」


「まぁ恋は盲目って言うしねケンジ。もう告白してみたら?」


「そうだぜアツシ!!俺たちが全力でサポートするぜ!!」


「ぬ?本当か?二人のサポートされると安心だ。早速してきていいか?」


「ああ!行こうぜアツシ!!俺もタカシも後ろで応援するから!裸で応援するから!!」


「いいねケンジ!!なんなら歌も歌っちゃおう!ラブソングを二人で歌おう!!」


「二人のBGM付きなら今夜はロマンチックな夜になりそうだ。では二人とも頼んでもいいか?」


「「おう!!」」

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