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ヒューマンドラマ

アホな上司を実力で黙らせたときの話

作者: 山目 広介

【2018.07.03追記】ざまぁタグがありますがスカッとはしません。 後書きへ続く。


 私は派遣社員だった。

 そのときは工場のラインの応援だった。

 回収されたものの不具合を訂正して再度出荷するというものだ。

 最初、作業のセッティングは自分の好きにセッティングして良いとのことだった。

 後ろの方の作業だったため、なかなか順番が回って来なかった。

 流れて来て説明を受けても、前の方の作業が順調ではなく連続して作業が出来なかった。

 ちょっと面倒だったのはラベル貼りだ。

 枠内に丁寧に貼る。ゴミなどの物混(ぶっこん)はダメだ。

 布でふき取り、奇麗にしてからピンセットでラベルを貼る。

 (しわ)もダメ。

 貼る時に皴にならないように引っ張る。

 しかしちょっとした皴は手の汗で湿気らせて伸ばす。そのときはゆっくりとする。

 他でも似たようなことはしたことがあった。対応はできる。


 そうこうしてると派遣先の会社の人が作業を確認しに来た。

 作業中、話しかけられて、PCの画面のシリアルナンバーを確認しきれなかった。

 見逃したがこれでもいいか確認すると上司を呼んできた。

 とりあえず順番なため今回は良いとのこと。

 しかし作業のラベルの向きが上下反転してることに文句をつけてきた。

 なぜ文句をつけるのか意味が分からない。

 話によると数字がひっくり返っていることで間違えてしまうという言い分らしい。

 連番で次がどんな数字かは分かっているのに。予測と照らし合わせれば間違えることの方が難しい。

 友人と宿題したりするときに友人の答えが間違ってるのを指摘したことがないようだ。

 ひっくり返っていても慣れればそんなに問題ではないはずなのに。

 余程、数字に弱いと見える。

 ラベルのシリアルナンバーを読まさせられた。

 最後は一気に引いて順番でもない数字を読ませる。

 しかも戻さない。くるくる巻き巻き。せめて元に戻せよ。ラベルは巻いてあるのだ。

 終いには日に800台作らんといけないんだぞ、と無意味な恫喝。

 30秒で作らんといけないんだぞ、と時間を測るという。

 そもそも作業は次のようだ。

1.前工程から逆さまの本体が来る。

2.半回転して正常位置にする。

3.ラベルを貼る。(シリアルナンバーを確認してPCと見比べる)

4.もう半回転して逆さまにする。(逆さまの状態で装置に入れてデータの書き換え)

5.後工程に逆さまの本体を流す。

 これを

1.前工程から逆さまの本体が来る。

2.逆さまでラベルを貼る。

3.後工程に逆さまの本体を流す。

 と幾つかの状態がシリアルナンバーを確認することが上下逆さまの状態ということ以外、作業工程が減って楽になると私は言っている。無駄が減って楽になるでしょ、普通。

 どちらが楽か、ということだ。物理的な作業量を減らした方が楽でしょ。

 時間もどちらが速くできるか、分かろうものだが実際にやれとご所望だ。

 そもそも連続で来なかったから、速さを競ったこともないのにいきなり速さを要求とは。だが、この話で前工程の終わったものが溜まったため、連続で作業ができる。

 見られているのでちょっと緊張したが要求を見事に満たした。

 文句を言った本人に、まだ何かありますか、と振り返って尋ねると何も言わずに歩き去る。

 ふっ、勝った。などと私は心でドヤ顔を決めていた。


 休憩の時間になり、休憩していたら自分のところに横にデカいおっさんがPCのキーボードを叩いていた。

 しばらくすると終わったのか、どこかへ行った。

 なぜに私のところだけ? と思ったが、画面を見てもなんともない。

 他にも回収のラインはいくつもある。にも拘らず、他にはいかない? なぜ?

 しかし休憩後、作業が始まって理解した。これはいやがらせだ。

 最初は普通に作業した。がデータ処理が終わらない。

 作業後画面を確認すると30秒超えていた。

 もう一度作業する。やはり30秒超えてしまう。

 あの上司は自分の言い分を通すためにここまでするのか、と思った。

 自分で仕事に支障きたすようなことするとは思わなかった。

 私は意地でも30秒で作業してやる、と作業に没頭した。

 以前の状態でなら20秒切っていることだろう。

 定時が来た。

 30秒はちゃんと切った。

 画面表示のアベレージタイムは20秒台だ。

 ふっ、ざまぁみろ。バカ上司めっ!


 翌日、朝早く仕事場へ行くとバカ上司がいた。

 元気に挨拶する。

 おはようございます。

 派遣先の上司は顔を上げると一瞬表情を(しか)め、おはよう、と返した。

 PCのところへいくと、夜勤のアベレージタイムは30秒超えていた。

 そして気付く。

 定時の時に30秒切ってなかったら、文句言われるのか? と。

 そして腱鞘炎になりそうになっても全力で作業した。

 その回収が終わる日まで。

 夜勤がアベレージタイムを30秒超えるため、それを一日かけて20秒台へ引き下げる。


 そして最終日の定時。

 アベレージタイムは30秒切っていた。

 私は、やり切った。


 ちなみに派遣元の上司には怒られた。叱られた、ではない。こちらに理があることを訴えたためだ。

 だが、怒られた。

 納得がいかぬ。



【2018.07.03追記】

現実では大勢の前で「ざまぁ」すれば嘘だろうが本当だろうが名誉棄損で訴えられます。

完全な不法行為の証拠があれば別でしょうが。

現実社会だと、この程度が限度では?

タイトルにあるように黙らせるだけでしょう。

また別工場の管理者がその後どうなったかなんて下っ端が分かるはずもありません。

実力行使する脳筋ならなおさらね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 実力で屈服させる。よい話です。 [気になる点] 後書きの名誉毀損についてマジレスすると、民事法上の名誉毀損は結局709条の問題に帰着します(723条は原状回復の規定)。名誉毀損は709条が…
2018/11/11 15:46 退会済み
管理
[気になる点] タグに「ざまぁ」があるのに ざまぁがないですね 上司が工場長とかに叱られるとかないですか?
[一言] 返信で説明されて、もう一度しっかり読みなおしたら、読み落としがかなりあったようです。申し訳ないです。 完全に思い込みで感想を書いてしまっていたようです。 今後はしっかり読んでから書くようにし…
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