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この生き地獄のような最低な世界

「やめろー!」

「早まるなー!」


10月20日。この町で一番の高層ビルの下で、沢山の人がビルの屋上にむかって叫んでいる。


屋上には一人の少年が立っている。これだけならば騒ぐことではないのだが、少年が立つ位置に問題があった。普通、施設の屋上には落下防止のためフェンスがある。

このビルにも当然フェンスはあるが、少年はそのフェンスを乗り越えた位置にいるのである。


この少年の名は【水無月 火煉】十五歳の中学三年生。特技は喧嘩。趣味も喧嘩。


何故彼がこんな所にいるのか、その原因は数時間前に遡る…







「はっきり言います。お子さんの学力では、最低ランクの私立校にすら入れません。」


「そうですか…先生!どうすればいいんでしょう?!」


「本人の頑張り次第です…私からはそれしか…」


そう言って担任は火煉を見る。が、火煉はつまらなそうな顔をしたまま何も言わない。


「水無月…あまり親を困らせるな。」


そんな事を言われたって仕方がない。勉強が出来ないのは生まれつきなのだ。

その代わりに体力や腕力に自信があった火煉は、中学を卒業したら土木関係の仕事に就職しようと考えていた。

だが親がそれを許してくれなかった。水無月家はそこそこ由緒ある家系で、世間体を気にしているのだ。


「俺は進学希望じゃない。もっと自由にさせてくれ」


そう言った途端母親の平手が飛んできた。


「どうしていつもそうなの!?あんたなんか産まなきゃよかった!!」


母親はそう言い残し、走って部屋を出ていった。

受験を間近に控えた、三者面談での出来事だった。







「ったく。本気で殴りやがったなあのババァ…」


これが理由である。つまり、火煉は自殺しに来ているのだ。親の都合で権利を奪われ、自分の意見になど耳を傾けてもらえない。

不良のレッテルを貼られ、友人もいない。

生きていても仕方がない世界なら、いっそ面倒が起こる前に死んでしまおうと何度も思った。

そして今回の事件。これで火煉の決意は固まった。


「人生最後の花火だ…派手に逝くぜ!」


決め台詞を残し、火煉は虚空へと大きく跳躍した…

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