お勉強しましょう〜暦、魔法〜
語学の習得に有効なのは書き取りだ。
心を無心にひたすら書く書く書く書く。
ミミズがノートで踊ってる。
あとは話すのもいい。
話す相手は一人しかいない。
目の前の大人の男性だ。
私達は教科書を見ながら、話す。
『アキ、この服とても似合っているね』
『トーマス、この服はボロよ。』
『アキ、その靴可愛いね』
『トーマス、これはほんのツッカケよ』
アキは何故褒められる事を全力で否定するのか。
そしてトーマスはめげない強い男だ。
篠崎さんも眉をしかめている。
「二人共、発音がいいですね!
その調子で次のセンテンスにいきましょう!」
『オーブ』には二つの太陽がある。
この太陽は双子星であり名をルナとルカと言う。東の大陸で見る事が出来るのはルカの方のみ。
このルカはおよそ24時間かけて『オーブ』を1周して1日とする。
しかし、暦という概念が『チキュウ』より未発達で一年が360日計算で周るが閏年の計算は考慮されていない。また、曜日、月数は存在しない。
『オーブ』は現在2016年120日目と言うらしい。
私達が旅立つ予定日は270日目との事。
『オーブ』と『チキュウ』最大の違いは魔法の有無だ。
「私達も魔法は使えますか?」
「勿論使えますが貴方方が思っているのとは違うかもしれません」
『?』
「こちらでいう所の科学を向こうでは魔法と呼ぶといえばわかりやすいでしょうか」
『オーブ』でもボタン一つで明かりがつき、お風呂が温まり、部屋の温度を快適に出来る。
そこに呪文も魔法陣も才能も魔力なる謎物質も必要ない。
夢も希望もありはしない。
「だったら魔法学校ってなんなのよ」
私はぼやく。
「そこで魔法の理論基礎概念を学ぶんですよ。
科学も理論基礎概念が前提として存在しているでしょう?
そこで学んだ事を生かして新しい魔法を発明するというのが最終目標です。」
「山がどかーんとふっとぶとか、空をビューンと、飛ぶとかそういう魔法はないの?」
「戦争地に行けばあるそうですよ。」
派手な攻撃魔法見たさに戦地に行く程馬鹿じゃない。
なんだか、異世界へのワクワク度ががくんと減ったような気がした。