王の涙
俺は目を覚ました。まだ生きてるんだな。俺の手を握りしめてる女性がいた。
「お兄様、目が覚めたのですね。よかった。私お兄様がいなくなったら・・・」
そこにコールが近づいてきた。
「大王。お目覚めですね。命には別条ありません。心配しないで下さい。エレナ姫もずっとお傍に・・」
おれの妹はエレナか。綺麗な名前だな。
「エレナ、心配かけてすまなかった」
「お兄様」
エレナに強く抱きしめられた。
廊下で待機していたサーチ、カール、エレン達が部屋に入ってきて、跪ついた。
突然サーチが
「大王、心配しましたよ。大王と私は唯一・・・・・見たのですから。とても素晴らしかったですのよ」
「サーチ、変な事を言うでない。皆が勘違いするではないか」
エレナがいつまでも強く抱きしめているので、顔が赤くなり、息が出来なくってきた。
「エレナ。解ったから。もう大丈夫」
エレナは俺の体を離した。
「お兄様、バカ・・・・心配かけて」
涙を流しながら部屋を出て行った。
コールが
「大王、その体でこの話をする事は、誠に心苦しいですが、モース軍先鋒隊があと4日でこのセントラル城に到着します」
「何・・・・・あと4日・・・」
「はい、それぞれの城主から報告がきております」
「解った。コール、所で、マース将軍と将兵達の寝返りの人数を教えてくれ」
「はい。2500です」
「そうか・・・・ありがとう。」
俺が意識を無くしている間、事が進み、この戦いでの不利になって行く事を感じ、
「サーチ、これより、スラン王国へ行く」
「大王解りました。同盟を結ぶ為、私もお供いたします。大王にお見せしたい物があります。」
家臣達4人が目を合わせて、突然サーチが俺に近づいてきて、
「大王。失礼いたします。」
俺はサーチの背中おぶられ、部屋を出た。
「皆どこに行くのだ。おい。おい・・・・・」
そしてある部屋へ連れて来られた。
コールが言った。
「大王、驚かないでください」
俺はゆっくり歩いて、カーテンを開けた瞬間、目の前の光景に驚いた。
セントラル城周辺に大勢の民が座り込んで
「大王様・・・・大王様・・・」
泣いている老人、小さな子供達が叫んでいた。
俺の目から自然と涙が出ていた。現実の世界では、負け組で、人間のくずと思って生きてきた。
「コール、民達はどれくらい外に座り込んでいるのだ」
「1日でございます」
俺の為に・・・・・こんなにも多くの民が・・