王の言葉
家臣と王軍を引き連れ、馬で城門へ向かった。
そこで、見た光景は多くの民が荷物もち、城門で兵士達と小競り合いをしていた。
ある老人は
「もう、この国はおしまいじゃ。どうか扉を開けて下さい」
子供連れの女性は
「お願いです。どうか城から出して下さい」
この国を支えてきたマース将軍の人望に俺は尊敬の念を抱いた。
俺は小競り合いの中に入り
「我は、セントラル王アルトである。皆やめよ」
その時、一人の男に棒で殴られた。
俺は地面に倒れた。一瞬気を失いかけたが、頭から血が出たのを確認した。
「大王」
「大王」
王軍と家臣が駆けつけた。
兵士達と農民達は、事の重大さで、全員地面に伏せた。
コールが
「これから、大王が皆に話がある。」
兵士と農民達が
「ははあ」
といい深々とさらに頭を下げた。
おれは何を話すか、全く考えていなかった。しかし自分の思う事を話すと言い聞かせ
「皆、この度は、マース将軍の裏切りはとても、無念である。しかし、マース将軍より皆がいる限り1000倍心強い!!そしてこの城は先祖代々このセントラル王国が支配して来た。この城がある限り、負ける事はあり得ない。どうか皆の力を貸してくれ」
俺は頭を下げた。
一人の少年が泣きながら俺の前に出て来た。
「王様、私を殺して下さい。私は王様をこの棒で・・・・・」
「泣くなよ。少年」
俺は少年の手を持ち上げ額を触らせた。
「この血が、セントラル王国の血、そして皆の血である。少年よ。自分を責めるでない。」
おれは左腰に付けていた短剣を少年に渡した。
「少年よ、この短剣は先祖代々伝わる物である。大人になったら、私の家臣となれ」
この光景を見て、多くの兵士、農民達また家臣達も涙を流していた。
周りが暗くなってきた。おれは死ぬのかな。心の中で思いながら意識が亡くなって行った。