同盟
俺は、口の中にワインを入れ飲み込んだ。
毒のワインかな。それとも・・・・
そして、家臣のコール将軍が大粒の涙を流していた。
ワインを飲んだ後、スラン王が俺の方に歩いて来た。
スラン王も毒が入っているワインを手に持ち飲んでしまった。
俺は
「スラン王・・・毒が・・・」
そしてスラン王は
「うん。なかなか美味しかったな!!セントラル王よ、ぶどうの最高級ワイン美味しかっただろう」
俺は・・・・スラン大王に諮られたとすぐに解った。
「セントラル王よ。貴殿は己の自分に勝った。私は約束守る、これより同盟を結ぶ!!」
俺とコール将軍は、嬉しさのあまり笑顔で握手をした。
「大王おめでとうございます!!」
「ありがとう、コール将軍、そなたのおかげじゃ」
そして同盟が決まり、俺とコール将軍はテーブルの左側に移動した。
スラン国の家臣が右側に座った。
スラン王が立ち上がり
「これより、スラン国とセントラル国は同盟を結び、いわば兄弟国だ。皆仲良くし、飲んで、食べてくれ」
全員が
「大王の恩恵、ありがたくお受けいたします」
俺とコール将軍も続いて言った。
そして目の前にある料理を二人でがむしゃらに食べた。
「セントラル王よ。ゆっくり食べていいのだぞ。お代わりを持ってまいれ」
俺はふと我に返った。王たるものあまりにも空腹の為・・・・無我夢中で・・・・
スラン国の家臣達が
「おお。さすが、小国の王は違いますね。とても大王の前でそんなに下品でたくさん食べて」
俺は、心の中で油断したと思った。あまりにも空腹の為、自分が王という立場を忘れていた。
スラン王が目つきを変えて
「こら、貴様ら、セントラル王に何という失礼な言葉を皆謝りなさい」
家臣達は立ち上がり、俺とコール将軍を睨みながら、
「言い過ぎた。セントラル王よ。どうか許して下さい」
俺は、感じた。この同盟はスラン王と家臣達とのすれ違いがあると感じた。
そして俺はコール将軍に目で合図した。
コール将軍が立ち上がり、
「この度、スラン王には感謝しています。セントラル王国からスラン王に献上品を持って参りました」
コールは鎧の中に隠していた黄金の短剣を出した。
「この黄金の短剣は先祖代々の王が常にお持ちになりました。この剣をスラン王に献上します」
コールは今いる場所に跪ついた。
スラン国の兵士が黄金の剣を取りに来た。そしてスラン王へ渡した。
スラン王は黄金の剣を見て、
「この様な素晴らしい剣を初めて見た。見てみろ、セントラル王が私に宝剣を下さったのだ」
家臣達は笑顔で喜んでいた。
あの剣はセントラル王国では宝剣だった。私の前、そして先祖代々が必死に守ってきた剣。
しかし、現実は厳しい。この同盟が成功しないと、セントラル王国は滅亡、そして多くの民が死んでしまう。これは4大将軍と相談して決めた事であった。
そして俺は鎧の奥の中から小さな袋を取り出した。
「スラン大王、この袋を私から、プレゼントします」
俺は跪き、小さな袋を兵士に渡した。兵士はスラン王へ渡した。
「セントラル王よ。何だ。この袋は・・・・開いて良いか?」
「はいお願いします。」
「うわあーーー!!これはあの有名なセントラル金ではないか」
「はい、これより、黄金の3分の1をスラン王へ納めます」
「何と素晴らしい金ではないか。皆、これが有名なセントラル金だぞ」
スラン王は、小さな袋に入ったセントラル金を小さな皿に平等に家臣に与えた。
家臣達はセントラル金を見て、しばらく見とれていた。
「セントラル王よ。そなたの頼みは何だ。遠慮なく申してみよ」
「はあ、恐れながら、スラン王、兵をモース帝国へ攻めるふりをして頂きたい。敵3万、我が軍で対応いたします」
スラン王はしばらく考え、一人の兵士がスラン王へ耳打ちで何かを話した。
「セントラル王よ。そなたの作戦で我が軍も戦おう。そなたに頼みがある。隣にいるコール将軍を借りたいどうだ。そして我が軍のミール将軍と今動員出来る兵3千をすぐにそなたと預ける」
俺には、選択権がなかった。
今国元では多くの民、そして家臣達が待っている。一刻の猶予もない状態だ。
「スラン王解りました。大王の援軍には感謝します」
その時、奥の部屋から、
「父上、私が、セントラル王国へ援軍として参りますわ」
とても美しい女性が部屋から出て来た。
「こら、リース何故出て来た。部屋へ戻っていなさい」
「父上、私、セントラル王に興味を持ちましたの。父上が何を言っても行きますわ」
スラン国の家臣達が騒ぎ出した。
そして、しばらく二人の抗論が続き、スラン王が一歩引き下がる結果となった。
「仕方ない。リース許可する。そしてセントラル王よ、我が一人娘リースを頼みます」
俺は戸惑った表情を見せながら、
「リース姫を死ぬきで守ります。そしてこの戦勝利して無事にお戻します」
「頼んだぞ!!セントラル王よ」
「はあ」
そして、スラン城の部屋で俺は一人出発までベットで横になっていた。
俺は元の世界の記憶が段々と消えて、何をしていたかさえ解らない状態だった。
唯一、俺の名前誠也だけは、何とか覚えている。
その時奥の扉から、コール将軍が入ってきた。
「大王、この様な結果、誠に申し訳ございません」
「コール将軍、そなたが常に私を支えてくれた。感謝する。」
「大王、困った時、この巻物を読んで下さい。私が考えた作戦が書いてあります。」
俺はコール将軍と握手を交わして
「ありがとう。そなたもこのスラン国での役目しっかりと頼む」
その時、奥の扉からリース姫が鎧を着て数名の兵士と部屋へ入って来た。
「うわあ・・・・男同士握手気持ち悪いわ!!」
後ろの兵士が
「セントラル王よ。私が、今回賛同するミールです。王の命により、これからの主はセントラル王です。兵3千、王の指示に従います。」
「リース姫、そしてミール将軍頼りにしている」
リースとミール将軍達は部屋を出て行った。
部屋の中にはコール将軍と二人きりになった。
「コール将軍、私の護衛の王軍は生きているいるのか?」
「はい、生きております。大王、王軍を借りてよろしいでしょうか?王軍でスラン国の秘密を調べたいと考えております」
「解った。10名全員コール将軍に預ける。王軍を呼んできてくれ」
コールは部屋を出て、王軍全員を部屋に連れてきた。
そして一人一人に、小さな金の棒を渡した。
兵士達は、喜びのあまり涙を流し、座り込む兵士が続出した。
「皆、セントラル王国の為に・・・・頼んだぞ」
兵士達は一斉に
「忠。忠。忠。」
と叫んだ!!
そしてこの時が来た。太鼓の音が城中鳴り響いた。
一人の兵士が部屋へ入ってきた。
「セントラル王よ出陣です。急いで下さい」
俺は部屋を出た。どうか・・・・間に合ってくれ。
心の中で叫んでいた。モース軍がセントラル城へ到着2日前であった!!




