2つのワイン
俺は、目を覚ました。
ベットから、起き上がり周りを見た。周り一面が黄金であった。
「何だ・・・・この部屋は・・・全てが金ではないか。あれ、私達の家臣はいったいどうなったのだろう?」
その時、黄金の扉が開き、黄金の仮面を被った女が部屋に入ってきた。
「王がそなたと特別に対面する。私についてきなさい」
女の後ろを、ついて行った。
そして黄金の大きな扉で女は止まった。
「王がお待ちです。どうぞ中に入って下さい」
俺は扉を開け部屋の中に入って行った。
部屋の奥には黄金の仮面を被り、黄金の冠を付けて、スラン王らしき人物が座っていた。
その時、扉の外から、カチカチと音がした。俺は心の中で鍵をかけられたとすぐに解った。
そして俺は少しずつ、黄金の仮面の男の方へ歩いて行った。
急に黒の仮面の男達が奥の扉から入ってきて、テーブルと料理を運んできた。
俺はあまりにも突然の事であった為、入り口の扉へ自然と戻ってしまった。
そして、椅子と料理とテーブルが並べられ、
「セントラルの王よ。よくぞ、参った。我がスラン国へ。どうぞ座りたまえ」
俺は歩いて椅子に座った。テーブルには豪華な料理が並んでおり、
ヤバイ・・・こんな料理現実の世界でも食べた事ないぞ。
目を丸くして見ていた。
「セントラル王よ。食べてくれ。遠慮はいらない。さあ・・・」
俺は朝から、何も食べてなかった。料理に手をつけようとした。
しかし・・・・国では家臣や多くの民達が戦の準備をしている。その気持ちがよぎった。
「王の気持ちには感謝している。私は、王と同盟を結ぶ為に、スラン国に参った。食べてる時間はありません」
そして、スラン王が急に鈴を鳴らした。奥の部屋から兵士が出て来た。スラン王が兵士に
「例のものを持ってまいれ!!」
「了解しました」
そしてスラン王は料理を黙々と食べ始めた。俺のお腹は悲鳴をあげていた。お腹すいたな・・・・
我慢。我慢と言い聞かせた。
奥から兵士が出て来た。コール将軍も出て来た。
「大王、ご無事ですか」
「コール将軍」
その時、スラン王が立ち上がり
「例の準備にとりかかれ」
コール将軍が隣に座らされ、目の前には黄金の丸いコップの様な物が置かれた。
「セントラル王よ。貴殿の行動は私の間者達が全て調べておる。そこに2つのワインを用意した。片方には毒が入っている。見事に毒のワインではなかった方を飲めば、同盟を約束しよう。さあどうする」
俺は、死ぬのが怖くなり、コール将軍を見た。
コールが
「大王この様な、屈辱受けてはなりません」
俺は同盟が失敗すれば、多くの民が死に、国が滅んでしまう。多くの民、そして、セントラル王国の為に、
「コール将軍。許してくれ。私は飲む」
俺は、死の恐怖のあまり、大粒の涙を流していた。
コール将軍を見つめながら、右にあるワインを持った。
「大王・・・・・・・」




