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「...知らない、天井だ」


 とお決まりの台詞を口にする。少し明るく、日が昇り始めていた。早朝のようだ。


「あー...腰が痛い」


 寝始めたときはあまり気にしていなかったが、長時間寝ているこうなるようだ。出来れば早めに改善したいところだが、現状、あの店の串焼きを1本買ったら無一文となるので、まだ体が元気な今日でどれくらい稼げるかによって決まりそうだ。これが続くとさすがに調子が悪くなりそうだしな。


「のどが渇いたな...水もらえるんかなっと」


 ベッドから降りて、朝はかなり肌寒いのでジャケットを着てから外に出てみると、まだあまり起きている人が少ないのか物音も少なく足音が大きく聞こえる。

 階段を下りると、まだ部屋は暗いが酒場のマスターはいるようだ。


「酒場のマスターさん、水をもらえますか?」

「ん? あぁ、銅貨一枚で水筒1杯分だ」


 有料か、そりゃそうだよな。無一文になるがしょうがない。最後の銅貨を渡すが水筒を持っていない事に気づいた。


「ここで飲むのでコップを貸してくれませんか?」

「今持ってくる」


 これで無一文だな。今日は最低でも食費は稼がないと体が弱ってジリ貧になるな。


「ほらよ、水だ」

「ありがとう」

「1つ助言するが、水魔法は早めに取っておいたほうがいい。飲み水にも使えるから、こういった事でお金を使わずに済むからな」


 なるほど、水魔法で飲み水を作れるのか。それだけきれいな水なら、体も洗えそうだな。


「ステータスオープン、スキル......なるほど、とてもいい情報をありがとう」


 現在取得済みなのはないな。ポイントも1余ってるし、女神様からもらったスキルも表示されてない。

 恐らく別枠なのだろう。先ほど言っていた水魔法も取れるがもう2ポイントないと攻撃方法にはならないみたいだ。


「では、出かけてくるので鍵を渡します」

「そうか...ギルドには早めに行ったほうがいい。依頼書は早い者順だからな」


 たしかに、良い仕事は取り合いになりそうだな。それこそ採取系等は報酬は少ないが、安全といったイメージがあるから初心者同士での争奪戦になるだろう。殴り合いまでには発展しないだろうが...しないよな?


===


「昨日の昼と同じ位いるな。これ」


 

 冒険者ギルドの入り口脇から見てみると、そこには掲示板やその近くの周辺の椅子に座って、依頼を眺めている冒険者がひしめき合っていた。

 どうやら殺伐とした取り合いではないようだ。

 まぁ、依頼数も多いので吟味する時間は必要なのだろう。


「ブルードッグ討伐で銀貨3枚か...悪くねぇな」

「グレラビット・・・いいわね。私たちはこれにしましょうか」

「んー...もう戦ったことのないやつはいないな。ほかの町にでも行くか...」

「コボルド...15体はきついな。そんなに多くは見つからないだろうし、夕方まで掛かるだろうから、朝と昼で別のクエスト....」


 等といった声が聞こえる。参考にさせてもらおう。

 しかし、採取系統の依頼書を受けるといった声が聞こえないということは、思いのほか報酬がまずいのか、または、討伐系の仕事を安定して稼いでいける腕を皆が持ってるという事か。

 なんにせよ、競合相手がいないのはいい事だな。怪物相手の戦い方も知らないし。

 で、どうしようかな...文字がわからないし、取り合えず受付で聞いてみようか。

 幸い、今は三人一組が並んでいるだけのようなので、すぐに順番が回ってくるだろう。

 並んでいると、2分程で順番が回ってきた。どうやら昨日の受付嬢ではないようで、若い青年の男性が受付に座っていた。


「えーと、何の用...いや、冒険者なのか?...うーん」


 どうやら子供っぽい見た目と首にかけている銅のプレートを見て、かなり困惑しているようだ。割と失礼な気がするんだが、まぁいいや。


「思案中失礼ですが、採取系依頼書のお勧めとかは有りますか? 実は昨日、冒険者になったばかりで、何からしていいか分からないもので...」

「んー...労働系がいいとは思うけど...まだ小さいし、採取しかなさそうだね」


 この人、かなりズバズバ言ってくるな。


「まぁ、1時間後くらいに行けば冒険者も増えて危険はないだろうし、大丈夫か。...えーと、このヘルス草の採取3本一束のクエストとかはどう? 一束につき2銅貨だよ」

「すみませんが、ヘルス草って言うのを見たことがないのですが、どのような物なのですか?」


 質問を質問で返してしまったが、しょうがないだろう。知らない物の採取はどうしようもない。


「ヘルス草を知らない?...そうだねぇ、色が他の雑草より色が濃くて、葉の形がギザギザしているようなやつかな。まぁ見れば分かると思うから、そんなのを探してみて。草木があるところならどこにでも生えてるよ」

「はぁ...分かりました。一束につきということはそれ以上持って帰ってもいいんですかね?」

「3本ずつ、提出してくれるなら。何束でも大丈夫だよ」

「では、それでお願いします」

「はい、ではコレにサインをお願いします」


 文字は読めんし書けんってのに...まぁ、この人はそんな事知らんだろうしな。


「文字は、代筆でも言いのでしょうか?」

「代筆はできませんね...書いた本人との契約になってしまうので。文字自体は書けますか? 他国の文字でも本人が了承したって思いで書けば、大丈夫です」


 他世界なんだが、大丈夫かな。まぁ書いてみるか。

 はい、「キラ」と。

 名前のほうが良かったかな。お、文字が光った。


「はい、大丈夫のようですね。...見たことのない文字だなぁ」


 声に出てますよ。そういえば違約金とかあるのかな。採取系はさすがに失敗しないと思うけど。

 まぁ、後ろも並んできてるし、また今度にするか。


「では、頑張って下さい。...はい、次の方どうぞ」


 さて、武器はインベントリしまってあるし、早速向かいますか。1時間も待ってられないしな。

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