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「とりあえずは、1週間分の寝床は確保したわけだが...」


 結構眠い。しかし、ここで寝ると昼夜逆転になってしまう。我慢するか。

 さて、この後はどうするか。最終的な目的としては、家を買ってラノベを読み(ふけ)て悠々自適に過ごす事だが...その為にはお金を稼がなきゃいけないだろう。お金を稼ぐには職に就くことだが...盗人になる?論外だ。

 まぁこういう場合は冒険者になるのが手っ取り早いだろう。しかし冒険者になるにも防具や武器などでお金が掛かるはずだ。残りが日本円換算で大体9400円だから、食費のことを考えると懐がかなり心許ない。足りるのだろうか?。それはそうとまずは冒険者なる方法を誰かに教えてもらおう。酒場のマスターにでも聞くか。ついでにトイレと風呂の場所も。


「酒場のマスターさん。冒険者になりたいのですが、どうすればなれますかね」

「...そうだな。冒険者が集まるギルドに行けばそこでいろいろ(・・・・)教えてもらえると思うぜ」

「そのギルドの場所を伺っても?ついでにトイレと風呂の場所も」

「ギルドはこの町の中心部...つっても分からねぇか。ここを出て道沿いに門とは逆方面に歩いていけばでっかい建物がある。そこがギルドだ。トイレは階段の右にある。湯浴みはこの町には貴族の屋敷にしか無いと思うぞ」


 風呂無いのかよ。まぁ定番だな。


「じゃあそのギルドに行ってくるので鍵を渡します。名前は言っておく必要はありますか?」

「いや顔は覚えたからその必要は()ェ。お前は特徴があるしな」


 俺の特徴って何だろうか。やはりこの服だろうか。とりあえずギルドに行くか。



===


「どうやら此処の様だな」


 さっきの酒場よりも更に大きい建物が在ったので覗いてみるとそこには武装した集団がいた。剣を持って鎧を着ていたり、ローブを着て大きな杖を持っていたり、身軽そうな服を着て弓を持っていたり、ローブを着て杖...魔法使いみたいなのがの多いな...。と様々にいるがいかにもギルドって感じの所だな。受付がある様だし、そこで聞いてみることにしよう。

 と思ったんだが明らかに足を引っ掛けようとしているニヤニヤした柄の悪いグループが道を塞いでる。見た感じだと俺よりは年齢が低そうだ。15歳になったばかりなんじゃないか。こういうのに絡まれると面倒くさいよな。遠回りするか。大きい建物とはいえ大した距離じゃないしな。


「はっ!あのガキ遠回りしやがったぜ!とんだ腰抜けヤロウだぜ」


 そんな低レベルの挑発に引っかかるとでも思ってるのか?3年前は引っかかってしまったが...その時に我慢をすることを覚えたからな。

 あの時は...確かクラス替えの直後で調子に乗った体格の良い奴がクラスにいて、今と同じ様な事を言われて少し頭にきてボッコボコにしてやったんだが...親を呼び出されてめっちゃ怒られた。そしてその日以来ソイツは俺に怯える様になり、中学では担任以外誰も近寄らなくなってしまった。後々が面倒臭くなるから、こういうのは無視するのが一番だな。

 幸い、受付にはそれほど並んでなくすぐに順番が来た。並んでいる時に声で分かっていたが女性のようだ。結構若い20台前半といったところか。


「ここがギルドですよね?冒険者になりたいのですが」

「あーごめんね。冒険者は15歳からなの」


 またそれか。面倒臭いな、本当に。


「ステータスオープン...17歳です」

「えっ。本当だわ...この見た目で?...あっ、ごめんなさい。えーと冒険者になりたいのでしたね。登録料の銀貨10枚になりますがよろしいですか?」


 本音漏れてるぞ。まったく...そんなに若くというか幼く見えるのか?。まぁいいか。

 それにしてもやっぱり会員登録系か。有料の。地味に高いし...仕事紹介所とかって事なら安いのか。知らないからよく分からんが。銀貨10枚...まぁいいか。足りなくなったときはその時に考えよう。


「10枚ですね。ハイどうぞ」

「...はい、確かに10枚ですね。ではこちらを首にお掛けください」


 そう言って取り出した銅色のプレートのネックレスを俺に渡してくる。会員証みたいな物だろうか。


「これは、銅ランク冒険者の証である事を証明してくれるものです」


 ふむ、ランク制か。とりあえず掛けておこうか。


「簡単にで良いのでランクの説明を伺っても?」

「はい。銅ランクは駆け出し冒険者がいるランクですね。その上に銀級、金級、銅上級、銀上級、金上級とあり、その上に最高ランクのミスリル級が有ります」

「金級の上が銅上級ですか?」

「そうですね」


 つまりあれか、モンスターハンティングゲームで言う下位と上位みたいな物か。モンスターも下位にいたのを強化した奴が出てくるのかな。モーションが増えた奴とか色違いとか。


「依頼の受注はどうすれば良いですか?」

「左を向いてもらえば分かると思いますが。そこに依頼書が有るので丁寧(・・)に剥がして持ってきてくれれば確認します」


 ...まぁ分かってたことだが、まったく読めんな。


「なるほど。しかし俺は字が読めないのですがどうすれば良いですか?」

「そういう人のために、尋ねてくれればおすすめの物を紹介しますのでご安心ください」

「そうですか、分かりました。いろいろとありがとうございます。では」

「あ、登録名はどうしますか?」


 ...無難に名前で良いかな。


「トシカズ・キラでお願いします」


 後ろにいつの間にか人が並んでいたし、そろそろ退くか。今日は眠いから帰ろう。

 まだ1泊もしていないのに帰ると言えるのだろうか。まぁ細かいことはいいか。

 ...さっきのニヤニヤとしたグループが鳩が豆鉄砲を食らったような顔してこっちを見ている。どうしたのだろうか。今度は足を掛けようとしてこない様だ。まぁ絡まれないのは良いことだな。

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