第一章「謎の吹奏楽部」4音目
第一章四話
「もう1度聞くわ。あなた、私達の楽器に何をしようとしてたのですか?」
先ほどの少女はそういった
「いや。こんな雑に楽器をおいていたら、楽器に負担がかかると思って置き直してたんだよ。」
そう俺が弁解したが少女は
「それは余計なお節介をどうも。」
と、簡単に言うだけだった。
「お節介って…。こんな新品な楽器が可哀想だろ。ちゃんと正しく置きなよ。」
「貴方には関係ないでしょ?私達の勝手でしょ?」
その言葉を聞いた途端、湊は鋭い口調でこういった。
「あぁ、そうかいそうかい。そんなんだからあの程度の演奏しか出来ないんだね」
「…!。あなた…よくも…」
そう言い少女が手を上げると
「千夏、千秋。何をしてるのですか?」
「明日香ちゃん、この人が私たちの楽器を触っていたのよ」
その後から先ほど演奏をしていた裏の吹奏楽部の部員達がやってきた。
「君。私たちの楽器に何をしようとしたのか?」
「いや。置き方が楽器に負担のかかる置き方だから正しい置き方に直してたんです」
湊はさっき千夏に言った通りのことを説明した。
「なるほど。それはお気遣いありがとう。でも、怪しまれるから余計な事はしない方が身のためだぞ。」
明日香はどうやら湊の言ったことを信じてたみたいで特に何も言及しなかった。ほかの部員達も楽器の片付けを行い始めた。
「いや。こちらもいてもたってもいられなかったもので。」
「その言い草だと。君は吹奏楽部の関係者か?」
「いや…。全く関係ないですよ。吹奏楽なんて関わったことないですよ。」
湊は誤魔化すようにそういった。
「ふむ。そうか。そういえば名前をなのってなかったな。私は東條明日香。この吹奏楽部の部長を務めている。」
「俺は瑞月湊。一応同じ学校に通っている。」
俺は簡単ながら挨拶をした。
「さっきは変な言いがかりをしたわね。私は那月千夏。アルトサックスを担当してるわ。そしてこっちが双子で妹の那月千秋。バリトンサックスを担当してるわ。」
「千夏さんに千秋さんか。よろしく。」
千秋と言われた少女に握手をするつもりで湊は手を出したのだが
「……!」
千秋は手を引っ込めてしまった。しかも湊に怯えてるようだった。
「どうかしたのですか?」
「千秋は男性嫌いなの。気にしないで。」
「なるほど、千秋さん、だったかな。そんなに怖いことしないから、気軽に接してもらえたら嬉しいよ。」
「……。よろしく…。」
千秋はとてと小さな声でそういった
「うん、よろしくな。」
湊はそう返した。
「珍しいね、千秋。男の人に話しかけるなんて。」
「うん。だってこの人怖そうな人じゃないし。それに…」
湊の方をみて千秋はこういった。
「この人、瑞月湊ってとても上手なサックス奏者なサックス奏者だもん。」
「……。…え?。」
湊は自分の事を知ってるとは思わず、何も言うことが出来なくなってしまった。