第1章『謎の吹奏楽部』1音目
四月一日。今日は瑞月湊の通う学校の入学式の日だ。
湊が選んだ学校はこの都市の中心あたりにあり、交通の面でも、遊ぶ場所、買い物にも困らない場所にたっている。学校指定の制服もあるが私服で登校も可能という比較的にラフな学校だ。そもそもあまり制服が好きではない湊はある程度のゆとりがある学校が良かった。入学するまでに勉強はしたが後のことを考えたらそれも苦ではなかった。
「なんともまぁ、やっぱり都会は人が多いし、建物は高いね。」
そんなことをつぶやきながら今日の入学式に向かう湊は呟いていた。自分の田舎では歩いても歩いても森や畑などしかなかったため湊とっては何度見ても呆気にとられていた。電車で駅をおり、少し歩いた場所に湊の通う学校が見えてきた。
「ここが新しい学校か。建物も綺麗だし、いい学校生活が送れそうだ。」
湊は今まで田舎に暮らしいたためこのような都会に住むのを憧れていた。高校選びの際にただ都会に行きたいからっていう理由でこの学校を選ぶくらいだ。当然知り合いもおらず何のあてもない状態で都会まで出て来たのだ。
「それに、この場所だったら俺の事を知ってる人もいないだろう…この学校もそんなに力を入れてるわけでもないみたいだしな」
そう。湊はある事から逃げるためにこの都市にも来たという理由がある。この学校を選んだのもその「過去」から逃れる理由もある
「さてと。はやく始業式終わらせて、街に出かけるか。あわよくば、街を案内してくれる友達が出来るといいんだがな。」
そういいながら学校の校門をくぐり抜けるのであった。
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始業式もおわり現在時刻は12時を指していた
「ふー。始業式つかれたなぁ…はやく帰してくれないかな。」
そんな事をいいつつ湊は机に突っ伏していた。
「やれやれ。まだ気が早いんじゃないの?」
「だってさー。こんな都会、初めてなんだよ。はやく遊びに行きたいよ」
「そう焦らさんな。急がなくとも、遊ぶ場所は逃げないぜ。」
「遊ぶ時間はどんどん逃げていくけどな。奏馬だって早く帰りたいんだろ?」
湊が奏馬と呼んだ男。古賀奏馬は同じ趣味ということでこの長い始業式中に仲良くなったのだ。湊が始業式が始まる前、読んていた小説について話しかけられそこから色々な話が盛り上がり気が合いこうして親しくなったのだ。
「それで。今日はどこにつれて行ってくれるの?始業式の時にいいところに案内してあげるって言ってたけど」
「今日はバスを使って少し遠くの場所に行こうかと思ってるんだ。ちょうど今日はそこの場所で、イベントも行われてるみたいだからね」
「へー。どんなイベントがあるの?」
「えーと。水族館コーナーでのショーに、景品付きスタンプラリー。あと、吹奏楽部による演奏もあるみたいだよ」
「……吹奏楽。か。」
「ん?どうかしたのか?」
「い、いや。何でもない。そんなこと聞かされると余計にはやく行きたくなるよ。」
「まぁまぁ。この後軽くHRしたら終わりみたいだからも少し辛抱してね」
「はいはい。わかりましたよ」
そんな会話をしてると、一人の女性が教室に入ってきた
「皆、席についてください。HRを始めますよ」
そう言いながら自分の先生が入ってきた
「それじゃぁ。また」
「おう。楽しみにしてるぞ」
それだけを交わし自分の席につき、ただ、時がすぎるのを待つことにした。