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バードバトル  作者: oga
4/5

キジバトvsドバト

「作戦はこうだ」

隊長のハトが説明した作戦はこうだ

まず、キジバトの住んでいるマンション付近で待機

その後、やつらが飛び立ったところで、マンションを一斉に占拠

そこで帰ってきたキジバトをボディでブロックし、入ってくるのを防ぐ

という結構な力技を用いた作戦だ

他のハトたちもざわめく

「う、うまくいきますかね?」

ちっさいハトが言った

周りを見渡すが、そんな武闘派なハトは見つからない

みな、都会派の狩りをさぼってきた連中ばかりのようだ

唯一、隊長ハトだけは、少しは戦えそうな体つきをしている


「静粛に! これより訓練を受けてもらう おのおの、近くのもの同士とペアを組んでくれ」

え、いきなり言われても……

ヒョコヒョコとそれぞれペアを組む

俺とペアになったのは結構年のいったハトだった

「よろしゅう~、おねがいしますだ」

めっちゃゆっくりしゃべる

「は、はあ」

そして、隊長ハトが言った

「では、これより、ブロックの訓練を行う! 私を見ておのおの、マネをしてくれ」

そう言って隊長ハトは胸を張り、ジャンプした

バッサと一回羽ばたいただけで、30センチくらい飛んだか 

そこからバサバサバサっと3回羽ばたいた

おおおーっと一同拍手の代わりに羽をばたつかせる

「では、開始!」

その掛け声でみなジャンプを始める

若いハトはピョンっとジャンプするものの一回バサっと羽ばたいてバランスをうしなって着地に失敗する

「これ、思ったより、むずかしっ」

みな、なかなかうまくいかないようだ

目の前の老ハトは一切動かなくなってしまった

「だ、だいじょぶっすか?」

俺は声をかけた

「ふぉっふぉっふぉ、若い者は元気じゃのう」

……ジャンプする気なしかいっ

と俺はまたしても一人で突っ込んでしまった


俺はアホらしくなり、しゃがみ込んで休憩していた

隊長のハトがこちらに向かってきた

「おい、君、なかなかいい体つきをしているな いっぺんやってみてくれないか」

そう言ってきたので、俺はジャンプしてバサバサバサっと3回羽ばたいて見せた

おおおーっと周りから歓声があがる

「君! やるじゃないか 身体能力は私とほぼ同じだな 頼もしい限りだ よし、君は私とペアを組もう」

そう言われ、隊長と共に、しばらくブロックの訓練を行った


みな慣れ始めたのか、結構様になってきた

「自信出てきたぜ」

とか

「いける、いけますよ!」

といった声がちらほら聞こえてきた

俺も、周りの雰囲気にのまれていけるかも、という思いを抱き始めた

しかし、その思いは無残にも初日で崩されることになる……


翌日、隊長のハトを含めた計20羽のハトが、キジバトの住むマンション付近までやってきていた

早朝である

キジバトが狩りに出かけるのをみなじっと待っている

「静粛に! 私の合図があるまで、君たちは飛び立たぬようにしてくれ」

隊長の合図があるまで待つ

しばらくして、キジバトたちが一斉に飛び立っていった

「まだか?」

「もういいでしょう」

と声が聞こえる

だがここで飛び立つのはまだ早い

俺たちはじっくり、相手の姿が消えるまで自分を抑え続けた

そしてその時がきた

「よし! では、おのおの持ち場につけ!」

隊長の合図とともに、20羽のハトは一斉に飛び立った

俺もそれに合わせて飛び立つ

狙うは15階のベランダだ

ヒュン、ヒュンとそれぞれのハトたちがべランダに止まっていくのが見えた

俺もグググと上昇し、15階までやってきたところで、ベランダに足をかけた


きれいに1階から20階まで、ハトがベランダに並ぶ

「ここからが、本番だ」

そう言って、しばらく待っていると、異変に気付いたキジバトたちが一斉にこちらに戻ってくるのが見える

「来るぞ! 皆のもの、ブロック準備!」

そう言って、みな胸を張り、ジャンプをする構えになった


だが、俺は望遠鏡の目で相手のスピードをうかがった

「おい、おいおい」

そのスピードは思った以上だった

やべえ、これは相当にやべえ

キジバトは主に野生での狩りを好む

俺たちドバトとは違い、ニンゲンの与えるエサは好まない

そのため、常に狩りをするだけの、引き締まった体を持っていた

「こいつら、全員が兵隊だ」

グーンと予想だにしないスピードで突っ込んで来たキジバト

そして、ヒュンッとカミソリのようなスピードでこちらに突撃してきた

「くっ」

ズガっと体に相手の爪が食い込む

「お前ら、ドバト連盟か 覚悟はできてるんだろうな?」

この前のタックルとは違う

本気で殺しにかかってきている

俺は必死に羽をばたつかせもがく

バサっと空中でわかれ、少し距離をとる

「はあっ、はあっ」

俺は息切れし、相手の殺気に充てられ、呼吸がなかなか戻らないでいた

くっそ……このままじゃやられる……

ヒョコリ、ヒョコリ、と相手は間合いを詰めてくる

く、後ろは壁か

俺はどうにか自分を奮い立たせ、ヒョコリ、と前に出た

お互いの体がぶつかりそうなところまで来た

そして、

ピョンっと相手がジャンプする

それにあわせ、俺もピョンっと飛んだ

バサバサバサバサっと空中で激しく羽ばたきあった

お互い3回のジャブを空中で放つ

互角!

完全な互角だ




もりあがってまいりました

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