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バードバトル  作者: oga
2/5

住まい探しの○ーモ

「わかりました そしたら早速紹介してほしいんですが」

そういうと、

「了承いたしました お探しのほうはどういったところがよろしいでしょうか?」

ん?希望とか聞いてくれるのか、と思い、試しに言ってみた

「だったら、川から近くて、狩場もすぐそばにあって、んでもって、死角の多い物件がいいですね」

と、結構欲張ってみた

「えー、ちょっとお待ちを 少し質問させてもらいますね 築年数は気にされます?」

築年数か、今まであまり考えてこなかったため、とりあえずは気にしないと答えた

「了承いたしました、では向かいましょう」

そういって鳩は羽をばたつかせ、空を舞った

俺もそのあとについていく


「なるほど、いろんなハトに物件を紹介するために飛び回ってるだけあって、結構胸周りはいい筋肉ついてるな」

うしろを飛びながら前のハトを見てそう思った

2,3分飛んだところで、紹介屋のハトが木の枝にとまる

俺もすぐ横に体を寄せた

「こちらになります」

ん、どこどこ?

俺はキョロキョロしながら周りを見た

川を挟んで向かいには結構マンションが建っている

しかし、こちら側にそれと思しき建物はない

紹介屋のハトが片方羽を広げて、足元の木造の家を指さす

まさか・・・

足元にあって気づかなかったが、木造の一軒家だ

しかし、どうみても傾いている

たぶん、誰も住んでないと思われた

「ここ・・・ですか」

完全に顔が引きつっていたと思う

「屋根裏にスペースがあって、今ならまだ空いてるんですがね」

川は目の前、狩場も近い、しかし、超おんぼろの物件だった

「もうちょっとこう、セイケツカンがあったほうがいいかなあ・・・」

「そうですか、では、もう一軒回ってみましょうか」

なんだ、あるのかよ 

その物件を後にし、もう一軒別のところに飛び立った

飛びながら俺は聞いた

「マンションとは言わなくても、結構がっしりして、雨水を防げるくらいのところは空いてないんですか?」

さっきのところは木が腐っててとても雨水を防げるとは思えない

第一、隙間風ハンパなさそうだ

「そうですねえ、鉄骨や鉄筋コンクリートでできた建物は人気物件でもうあまり空きもないんですよねえ あったとしても、ハトよけのネットなんかが張ってたりして、我々が住めないところだったりもするので」

やっぱり、増えすぎたハト事情はそこまで軽くはないらしい

そうですよねー、と相槌をうって、そのまま次の物件に向かった


次のところは、若干水場からは遠いいものの、木造だが、割としっかりめの作りのアパートだった

住宅街の真ん中で、広い道路沿いにあった

騒音が気にならなければ、まあまあかもなーと思い、空き室のベランダにとまる

そのアパートは全部で6つの部屋があり、上は3部屋とも人が住んでいるようだ

ちょうど真ん中の下の部屋が空いてるため、そこのベランダで住めるとのことだ

「なんだ、結構いいじゃないですか」

「喜んでもらえて幸いです ただ、この物件、一個だけ注意点がありまして・・・」

注意点?なんだろ、人目に付きやすいとこかな?

「ペット、可、なんです」

そういって紹介屋は俺をおいて少し離れた止まり木にとまった

「ちょ、まっ」

ニャーオ、と猫の声がした

全身に危険信号が通達され、即座にそこから飛び立った

「はあ、はあ、命の危険がある物件には、すめませんよっ」

俺バサ付きながらそう言った

いったん休憩するために、近くの電線にとまる

「あー、なんか腹減った」

乱れた羽を撫でつける


「もう狩場は遠くていいです その代わり、ちゃんとしたとこ紹介してください」

俺はとりあえず、まともにハトが住める物件ならいいやと思って、狩場は捨てた

「わかりました では、向かいましょう、今日中には見つけましょう!」

そういって意気揚々と飛び立つあとについていった

ヒューンと川とは反対方向に飛んでいく

そしてそのまま3分くらい飛んだところで止まった

ガッと電線にとまる

「ここは・・・」

「そう、ハトの共同住宅、「駅」です」

そこは駅だった

たくさんのハトがねぐらにしている

駅のスペースは恰好のハトの住処なのだ

「無断でここに住もうと思ったら、たぶん他のハトに怒られて追い出されてしまいますが、私が許可をいただきますので、そしたら住まわせてもらえるかと思います」

俺は迷った

駅は確かに住みやすい

あったかいし、アマ風は100パーしのげる

ただ、他のハトと一緒にすまなきゃならない

そこにはルールがあるし、堅苦しい生活を強いられてしまう

普通のハトなら、本来の集団生活の適応性の高さからすぐなじめるだろうが、俺は街を転々とする気ままな生活スタイルを好む

「ここは、ちょっと俺には合わないですね、とりあえず、最初に紹介してもらったところにしようかなと思います」

「そうですか、それなら、あの物件はあなたが住むということで、了承いたします」

俺は「クルッポー」とありがとうの意をこめ、頭を下げた

そして、帰巣本能であのぼろい一軒家のところに帰って行った

後ろのほうで、

「ドバト連盟の件、よろしく頼みますねー」

と声がした



ハトも大変ですね

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