摂る
あつい…あつい……
燃えそうだ。
虚ろな目で見上げれば、発光体がこれ見よがしに照っている。
先ほどまで涼しい部屋にいた私。
暗く閉ざされた部屋にはたくさんの仲間がいる。
けれど毎日いなくなる。
みんなどこへ行ったのか。
一度外に出されたら、二度と同じ姿では帰ってこない。切られていたり、焼かれていたり。
男の人に運び出されると、特殊な部屋に入れられて
ガチャンと鈍い音がした。
………あつい。
数分経った今も 私はまだ部屋の中。
肌はすでに焼けている。
それでもまだ外には出してもらえない。
突き刺さる熱で肌はジリジリと痛み、吹き出る汗は止まらない。
視界は歪み始めるし、意識もだんだんおかしくなっていく。
うっ、と嗚咽を漏らせば不意にくる吐き気と
ガンガン響いてくる頭痛。
───あぁそうだ、
私、閉じ込められているんだった…。
ぼんやりとそんな事を思い出す。
身体中の水分を奪われて、動くこともままならない。
このまま干からびてしまうのだろうか…。
狭い部屋の中、ただひたすら耐えた。
───ガチャ。
扉が開くと中の熱気が溢れ出て、冷たい空気に包まれる。
解放感でふっと意識が飛びそうになった。
男が労うように白い円盤の上に乗せると、手際よく色鮮やかなものを飾り付けていく。
ひび割れた肌からは湯気が立ち、液体を垂らすとじゅっと音が鳴った。
長い間焼かれていたせいだろうか、
痛みすら感じなくなっていた。
そして一人の男の前へと差し出される。
「どうぞ。」
男は会釈をすると、朦朧とする私を見下ろして、ゆっくりと口端をあげていた。
美しく飾られた私。
ほんのりといい香りが広がる。
香水でもつけられたんだろうか。
だから笑ったんだろうか───?
男は小さく唾をのむと、
私の身体を
切り裂いた。
「ごちそうさまでした。」
…謎ですね~。「私」は一体ナニモノだったのか。
あるモノの立場になって書いてみました。
このような作品を読んで下さってありがとうございました。