表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

掌編集

摂る

作者: 風花 深雪


あつい…あつい……



燃えそうだ。




虚ろな目で見上げれば、発光体がこれ見よがしに照っている。





先ほどまで涼しい部屋にいた私。


暗く閉ざされた部屋にはたくさんの仲間がいる。


けれど毎日いなくなる。



みんなどこへ行ったのか。




一度外に出されたら、二度と同じ姿では帰ってこない。切られていたり、焼かれていたり。







男の人に運び出されると、特殊な部屋に入れられて





ガチャンと鈍い音がした。

















………あつい。




数分経った今も 私はまだ部屋の中。




肌はすでに焼けている。


それでもまだ外には出してもらえない。





突き刺さる熱で肌はジリジリと痛み、吹き出る汗は止まらない。




視界は歪み始めるし、意識もだんだんおかしくなっていく。


うっ、と嗚咽を漏らせば不意にくる吐き気と

ガンガン響いてくる頭痛。











───あぁそうだ、



私、閉じ込められているんだった…。






ぼんやりとそんな事を思い出す。


身体中の水分を奪われて、動くこともままならない。






このまま干からびてしまうのだろうか…。









狭い部屋の中、ただひたすら耐えた。















───ガチャ。




扉が開くと中の熱気が溢れ出て、冷たい空気に包まれる。


解放感でふっと意識が飛びそうになった。






男が労うように白い円盤の上に乗せると、手際よく色鮮やかなものを飾り付けていく。


ひび割れた肌からは湯気が立ち、液体を垂らすとじゅっと音が鳴った。







長い間焼かれていたせいだろうか、




痛みすら感じなくなっていた。










そして一人の男の前へと差し出される。




「どうぞ。」




男は会釈をすると、朦朧(もうろう)とする私を見下ろして、ゆっくりと口端をあげていた。






美しく飾られた私。


ほんのりといい香りが広がる。


香水でもつけられたんだろうか。


だから笑ったんだろうか───?









男は小さく唾をのむと、






私の身体を













切り裂いた。
























「ごちそうさまでした。」






…謎ですね~。「私」は一体ナニモノだったのか。

あるモノの立場になって書いてみました。


このような作品を読んで下さってありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ●「ハンバーグこの前、実家でフラフラしていたら母親にこう言われた。」 「おい、ハンバーグ!そろそろ仕事に就いたらどうだ?あんたハンバーグだろ?」 「そう。定職(定食)にね!」 ●「ハンバーグ…
2017/07/01 20:13 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ