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「ダメだ!!」
鋭く威嚇するような声が、捜索隊を結成したあたしたちに浴びせかけられた。
「わざわざ爆心地に行く?
クスリでもやってんの?
危ないから絶対ダメ」
三階と二階を繋ぐ階段、その踊り場から、三年生で寮長の宇佐先輩があたしたちを睨め付けていた。
こ、怖い……。
隣にいる明美ちゃんの様子を窺う。
明美ちゃんは、叱られてしょんぼりと肩を落として俯いていた。
ここで止められたら、佳世ちゃんを探しに行けなくなるかもしれない。
さっきはあたしと佳世ちゃんのために明美ちゃんが人を集めてくれたんだから、今度はあたしががんばる番だ。
怒ってる人の顔を正面から見据えるのは気が引けるけど、あたしは寮長さんの顔を見つめた。
そうしたほうが、誠意的なものが伝わると思ったからだ。
「寮長さん、佳世ちゃんが忘れ物を取りに行って、まだ寮に帰ってないんです。
探しに行かせてください!」
嘆願と共に、勢い良く頭を下げる。
あたしのおさげが、あたしの頬をぺちんと打つ。
「ダメだ」
さっきと変わらないトーンで、ピシャリと却下された。
「どうしてですか?
あたしはただ、友達を探しに行きたいんです!
行かせてください、お願いします!」
正直言ってダメ元のお願いだった。
どうしてダメなのかはわかっていた。
爆破された場所へわざわざ出向くのが危険なことくらい、幼稚園くらいの小さな子でもわかる。
それでも、その危険を犯してでも探しに行きたい。