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さらさらした髪に、優しげな印象を抱かせる垂れ目、左目の下の小さな泣きぼくろ、すべすべした白い肌に薄桃色の唇。
相変わらずかわいいなあ、とその笑い顔につい見入ってしまう。
陽菜ちゃんはわたしの親友で、幼なじみ。
陽菜ちゃんは美人で頭も良くて、いつもわたしを気遣ってくれる優しい子。
いくつから側にいたのか、思い出せないほど小さな頃からの、大切な人。
わたしたちは、登下校も、勉強も、遊びに行くのも、いつでも一緒に行動していた。
わたしと陽菜ちゃんの髪を結う、丸い球のついた髪ゴムは色違いでお揃いの物。
猫さんのペンケースも柄違いのお揃い、わたしは三毛猫で陽菜ちゃんはトラ猫。
ハンカチもパジャマも、お気に入りのマグカップも、ぜんぶぜんぶお揃いの物を持っている。
それくらい、わたしと陽菜ちゃんは仲良しだ。
今も手をつないで歩いている。
中学に入ってからは、そこにるうちゃんが加わった。
るうちゃんはとってもしっかりした子だった。
いつもわたしと陽菜ちゃんに「ぼやぼやするなー!」って言って笑っていた。
「るうちゃん、今何してるかなあ」
るうちゃんに会いたくなって、素朴な疑問が口をついて出た。
「ロケットの中でガイドブックとか読んでるんじゃないかなぁ」
陽菜ちゃんがぼんやり答える。
「火星に着いてからの計画を立てているのかも」