第73話 説明
あ、ありのまま今起こったことを説明するぜ。
色々とあって、赤城さんと喧嘩別れした私はなんやかんやで酔ってしまい、色々とあって赤城さんの家で寝ていて、目の前には若すぎる赤城さんのお母様がいて、なんか私は赤城さんと結婚するみたいです。
何をいってるか分からないと思いますが、私にもよく分かってません。
「えっと、説明もとめます。まず、結婚とはどういうことですか?」
赤城さんのお母様である花梨さんが、『息子と将来の娘でごゆっくり~』なんてフワフワしたこといいながら、出ていったので、今は私と赤城さんだけがこの部屋にいる。
赤城さんは、少し意地悪そうな顔をしていった。
「酔った茜が勢いに任せていったんだ」
おっふ。原因は私にあったようだ。ジーザス!
思わず頭を抱え、記憶を辿ればそんなことをいったような、言ってないような……あのときは、自分が死ぬと思ってたから、仲直りくらいはしたいなと思ってて……
「俺、幸せにするからな
最終的にはな……」
頭の中で危険信号がなったと同時にベッドの柔らかいシーツを蹴って、私は脚力に任せて上の窓へと逃げようとする。逃げろ!本気でヤバイ!
しかし、窓へと投げようとした足を赤城さんに捕まれ、そのままベッドへと戻され、しかも両手を拘束された上に赤城さんがのってる。
小学生女子の上に馬乗りでのっているエロいイケメンというのは、色々な意味でアウトだ。
「さっきの冗談だ。本題は別にある」
「なるほど、聞くのでどいて下さません?」
「あぁ、わかった」
そういって赤城さんは、私の首にチュウゥとキスをしたあと、上からどいてくれた。
「え、ちょっ、なんで今ナチュラルにキスしたんですか?」
「あ?口がよかったか?」
「……えっと、本題をどうぞ」
私はこれ以上踏み込まないように、話題を変えた。藪蛇、君子危うきに近寄らず。ここで赤城さんが『唇』と言わずに『口』といったことも怖いが、取り合えずはスルーだ。
「親戚連中やら、親父の取り巻きやらが勝手に正式な婚約者を出そうとしてんだよ」
うんざりしたように、赤城さんがそういった。
婚約者、という内容で一人の胸のデカくて、なんか色々とすごい人を頭に思い浮かべた。
「肉姉さんですか?」
「いや、沙羅とは正式に婚約破棄をしてる。というか、それのせいで保守派が騒ぎだしたんだよ。あいつらは臆病だからな……」
「んっとですね……婚約破棄したことによって、何らかの不都合が起き、保守派と呼ばれる人たちが別の婚約者を推してきたって感じですか?」
「あぁ、俺は茜と結婚するといってんのに……あいつらときたら……じじいにも紹介済みだといっのに、『あの人の時代は終わって……』とかなんとか……古い考えなら、ずっと忠誠を誓っとけよ……」
「まぁ、相手が小学生だったら、そうもなりますよ……」
大企業のお坊っちゃんが、小学生と結婚するとか、単なる冗談にしか聞こえないし、というか世間体がダメだ。ってか、私だって今の言葉が冗談であることを心から願いたい。
「いや、世間体が本当に心配なら俺が不良のリーダーやってる時点でダメだし、この世界では16才の女が50代のとこにってのもザラにある」
「じゃあ、どうしてですか?」
「一つは……お前の父親」
「あ……あぁ~…」
なんか、凄い納得してしまった。うちの父親は金持ちに対して詐欺まがいのことをしでかしている弁護士だ。当然、恨みをもたれやすい。
「結構、有名だぞ。能力は凄い高いが中身が最低最悪男、頼まれた仕事はキチンとするから、縁を切りたくてもきれなくて、法外な金も言葉巧みに相手から出させる悪魔……」
「人の父を悪魔呼ばわりしないでください!」
まぁ、大体その通りなのが救いようなくて悲しいです。
「如月の名字を調べて、その事実を知った奴等の中には、泡を吐いたやつもいる」
父よ、貴方は一体なにをしでかしたのですか?
「まぁ、もっとも大きな要因は婚約者候補だった女とその周りがこれ幸いとばかりにごり押ししてきたんだ」
「あらゆる意味でアレな肉姉さんとの婚約が破棄され、しかも新しい相手はただの小学生……なら、確かにこれ幸いとばかりに来ますね」
「茜は本当に理解が早いな。まぁ、つまりはそういうことなんだ。あいつらは婚約者を無理にでも仕立てるつもりなんだ。当然、俺はそんなのは嫌なんだが、結構大きなものになっててな……」
「ふむ……」
つまり、赤城さんが焦ってる要因はそのためか……
まだ10代の男がいきなり婚約とかいわれても、そりゃ嫌だろうし、それに赤城さんはそれ以前にその婚約者候補を苦手がってるような感じがする。
「次のパーティーで色々と決まるみたいでな……それまでに結婚したかったんだが……」
「それっていつですか?」
「来月」
どうやって結婚するつもりだったんですか……
「ハァ、分かりました。本当に結婚することは無理ですが、婚約者のフリはしましょう……色々と迷惑かけてしまいましたしね(ボソッ」
「本当か!?っシャア!」
赤城さんはガッツポーズをして、私に飛びついた。それはもう結構全力なものだった。
「ッウボォゴ!」
内蔵が飛び出る錯覚にみまわれながら、本日2度目の気絶を体験することとなる。




