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第71話 酔った勢い

「赤城しゃん…ごめんなさい」


 まだ酒が完全に抜けきっていないのか、茜は舌ったらずな喋りをしながら、涙をぬぐう俺の腕にしがみついていた。


「(……ヤベー…茜が可愛いすぎて襲いたくなる衝動がヤバイ。触りたい柔らかそう。駄目だ、気をしっかりもて、俺はもう別れた男だ……)」


 そして、俺は理性との戦いを繰り広げていた。


 久しぶりにあった茜は可愛くて…いや、いつもも可愛いんだが、アルコールのせいか、茜の顔は少し赤くて、しかもいつもより素直だ。


 涙をこらえようと、口をギュッと結んでるのも可愛いし、それでも耐えきれなかった涙がポロポロ落ちるのもまた可愛い。


 しかし、手を出してはいけない。


「赤城しゃん?」


 理性との戦いを繰り広げて、無言になった俺がきになったのか、茜はコテンと首をかしげながらこっちを見ていた。


 だから!!だから!!それがヤベーんだよ!!可愛すぎるな畜生!!


 何故か意味不明な逆ギレを起こしながら、俺は自分で自分をぶん殴って理性を取り戻す。


「赤城さん!?」


 驚いた拍子に茜は涙が止まり、目を見開いている。涙が止まってホッとしたような、残念なような…


「物凄い勢いで自分をぶん殴ってませんでしたか!?」


「大丈夫だ、茜」


 俺は手をヒラヒラさせて茜に大丈夫だとアピールした。


 そうだ、大丈夫だ。俺はまだ性犯罪者じゃない。


「あの……赤城さん……」


「ん?どうした?」


 茜は涙の後が残った赤い目をしながら、俺を見上げてこういった。


「あの時は…すみませんでした。酷いことや……勝手なことばかり……」


 あのときとは、きっと俺が龍馬をブチのめした件だろう。あのときは嫉妬で頭が可笑しくなっていたので、最高にヤバかっただろう。


「いや…俺の方が悪かった」


 俺は素直にそう謝った。


 茜は普段、俺がカリスマ性を発揮しようが暴力性を発揮しようが、基本的にはポー…っと見ているか、普通の反応をして側にいるだけだ。


 だから、龍馬を壊そうとしたときに茜が怒ったのは、茜の友人だったからだ。友人が殴られているのを見て、怒らないほど彼女は冷たくもなければ怖がりでもない。


 だから……


「赤城さん……なんで泣いてるんですか?」


「今、トラウマを思いだしてしまったんだ」


 別れてくださいと、言われた出来事を思いだしてしまい、俺は思わず涙を浮かべてしまった。


 あの後は本当に大変だった。酒を飲みまくり、仕事をしまくり、喧嘩で発散しようと思ったらトラウマが呼び起こされるし、沙羅には茜との仲を取り持ってくれと煩かったり……あ、これは関係ねーや。


「赤城さん?」


 また無言となった俺を心配してるのか、茜は俺を見つめてる。凄く可愛くて……それでいて、今いう勇気がでた。


「茜……俺と…ヨリを戻してくれないか?」


「やです」


 即答だった。悩む価値もなかったのか、茜はバッサリとそういい放った。ヤベー……鼻の奥がツンとする。


「いや、そりゃそうだよな。大丈夫だ、安心しろ…俺はそれで逆恨みもしねーし、もう会わな……いや、少しは会いに…………」


 チュ


 俺の頬に、何か柔らかいものが当たった。マシュマロみたいに柔らかくて、それでいて弾力があって……それでいてシャンプーの香り。


 目の前には長いマツゲ、ほんのり赤い頬に涙筋が残っており、小さな手は俺の顔を包んでいて……早い話、茜からのキスだった。


「結婚してください。隼人さん」


「今、お前……隼人って……いや、今……」


 状況が飲み込めず、嬉しさでパラメーターが振り切ってぶっ壊れた俺の感情は襲うという選択肢をするより早く……


 茜は、倒れた。


「うわっ…おい!」


 思わず俺が、茜を支えるようにして抱き上げれば、茜は泣きつかれたのか、酔ったせいなのか俺の腕の中でスヤスヤと眠っていた。


「ハァー…普通こういう状況で寝るか?」


しかし、その寝顔すらも可愛すぎると思ってしまう俺は相当末期なのだろう。


「起きたら、覚悟しろよな…」


茜の頬に優しくキスをした。

やっちゃいましたね。もうどうしようかな~…と思ってます。

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