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第57話 告白2

茜は白雪姫の服を着替えた後、ゆかりの元へと行った。


「ゆかりちゃん、間に合ってよかっ……」


「白雪姫とか、流石茜ちゃんは凄いね。部外者なのに主人公やるとか……図々しいくらいに凄いね」


ゆかりは、まるで嘲笑するかのようにそう言いったが、茜は特に何も思わず、寧ろ元気そうでよかったとホッとしたが、ゆかりはそう捉えなかったらしい。


「何よその余裕づら!?少し見た目が綺麗ってだけで、根暗なアンタが……」


「ごめんなさい」


茜は素直に謝った。

純粋に、茜はゆかりに悪いことをしたなと思うし、リカのグループに入ってから、ゆかりとの仲は悪くなっていた。


「また遊べたらいいね、ばいば」


十中八九、そんな日はこないだろうと確信しながらも茜は控え室から出ていった。


茜はゆかりのことが嫌いじゃなかった。


目立ちたがり屋な所や仕切りたがり屋な部分も嫌いじゃないから、従っていたし、大きな役目を渡されると怖じ気ずつがちゃんと努力する部分も嫌いじゃなかった。


しかし、茜はゆかりが好きでもなかった。


だから、ゆかりに嫌われた今、もうあの日のように遊ぶことは無いだろうと思いながらもたいして悲観せずに歩いた。


何となく、賑わう道から外れて人影のない非常階段を登ってると……


「茜ちゃん」


上から覚えのある声が聞こえて、顔をあげると佐南がいた。


「佐南さ……」


茜は少なからず驚いた。佐南が泣いているのだ。


「ッアハ!ちょっと格好悪いな~…本当に最後まで年上の威厳なない……や…」


明るく振る舞いながらも、涙があふれる佐南。しかし、最後の意地なのか、それが流れるのを必死で堪える。


「顔……みないで…」


「はい……」


堪えるのも限界だったのか、佐南は両手で顔を隠しながら、階段を下って茜を通り抜ける。


しかし、佐南は茜の方に顔を振り向き、両手を下に降ろして、笑顔でいった。


「茜ちゃんは本当に、ありがと!!」


自分は役立たずで、小学生の女の子に迷惑をかけた。それだけじゃなく、嫌がらせまでしようとした。


だから、茜にはたくさんの感謝がある。

作り笑顔でも、なんでもなく、本当の感謝から出た言葉と笑顔。純粋で、優しくて、可愛い佐南の性格がよく分かる行動だった。


「佐南さん……こちらこそ、ありがとございました」


茜は頭をさげて礼をいった。


「うん……うん…」


佐南は再び手を顔に当てて声を殺して泣き、階段を下りていった。


茜はそれを見送りながら、屋上の扉を開けて外に出る。


「赤城さーん、佐南さんを泣かせましたね?」


「泣かすつもりは無かったが、泣くとは思ってた」


矛盾してそうで、何となく理解しながら、茜は隼人の横のフェンスにもたれ掛かった。


「告白されて……フッたんですね?」


「まぁな」


アッサリと答えた隼人に、フーンと茜は生返事をする。不思議と嫉妬はせず、あるのは単純な疑問だった。


「意外でしたよ。佐南さんは赤城さんに告白しないと思ってましたから」


「なんでだ?」


「『見ているだけで満足。私なんかが告白するなんて恐れ多い』ってタイプだと思ってましたから」


「あぁ~…」


茜のいわんとすることを理解したらしく、隼人は納得の声をだした。


「まぁ……憧れから恋に変わったんでしょうね」


小学生の自分はまだ分からないが、本でそんな感じに書いていたなと茜は解釈したが、隼人はそれを笑った。


「逃げ出したくなって、向き合いたかったんだよ」


「意味分かりません」


「俺もわかんねー」


茜の小さな頭をクシャっと撫でながら、隼人はいった。


「愛してるぜ茜」


「私も好……ムゥ……嫌いではありませんよ」


顔を背けながらそういった茜を愛しく思いながら、隼人は茜を優しくなでた。

次で祭編終わりまーす。

新章、いくつか考えてます(^o^;)

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