第4話 前日の出来事。水城視点
隼人は、言うなれば僕たちの絶対的な存在であり、太陽のような存在だ。長年の付き合いで親友の俺はその光を失いたくない。
ある日、隼人はいった。
「俺....好きなやつができた」
照れながら、はにかみながら言った、その瞬間に周りはお祭り騒ぎになった。
赤城 隼人という男は、目付きの悪い俳優のような綺麗過ぎて、慣れないうちは恐怖を覚えるフェイス、生まれ持った身体能力、スタイル抜群、高身長、高収入....etc.
数えだしたら切りがない程に恵まれている我らがアニキである。異常なまでのカリスマ性と厚き人望のせいで、周りは若干狂気に走る程だ。
しかしながら、色恋沙汰についてはてんで聞いたことはない。
いや、隼人を好きになったという女性は沢山いるから、暇潰しでの相手はいたし、許嫁もいるみたいだけど、自分から好きと言ったのは見たことがなかった。
「前に、路地裏にいたあの女の子なんだ」
と、いった隼人の言葉に僕を除くみんなが見覚えあるらしく、それについて腹がたったが、なんとかこらえた。
隼人の悪口をいっていたグループを潰してたときだったなんて、酷いタイミングだ。
「で、どんなの?どんなの?」
僕は隼人が好きになったという子を見たことが無かった為に、見たという人たちにきいたら。
「目付き悪いっす」
「目が腐ってたっす」
「前髪が貞子みたいな感じだったっす」
そんな答えが出た。
うん、意味がわからないよ。
えっと、総括すると、前髪が長くて目が腐ってて目付き悪くてホラー映画のような女の子。
どこに好きになる要素があるんだ。
「後、小学生っす。可愛げ無かったすけど」
....今、とんでもない単語が出てこなかった?
「今、小学生って言った?」
「うっす。小学生っす」
どういうことなのだろうか?
いま、コイツは小学生といったか?え、マジで?アレでしょ、小学生みたいな小さい女....え?
マジもんの小学生!?
「別に、ロリコンって訳じゃないんだが....好きになったんだ。ダメなことだよな、これって」
小学生を好きになるという、ある種の罪悪感のようなものがあるらしく、悩んでいる隼人は痛々しく、いつもの眩しい笑顔が雲ってしまう。
そんな顔、みたくない。
「別にいいじゃないか!!隼人は間違っていない!好きになってもいいんだよ!僕たちは応援するさ!」
「そうっす!!アニキは間違ってないっす!!」
「アニキを応援するっす!!」
僕たちは、隼人を激励した。
このさい、隼人が小学生を好きになったとか、その小学生が不気味とかブスとか、ついでに人権とかどうでもいい!!隼人が幸せになればいいんだ!
「....ちょっとまて、それって本当にいいのか?」
「いいんだよ!!何も悩む必要なんかない!!」
「そうか....ありがとうな!!」
一瞬、疑問の顔をしたが、僕が力強く肯定するといつものニカッとした、アニキスマイルがもどった。
それはもう、素晴らしい笑顔だ。
うん、隼人は何も心配することも悩むこともないんだよ。
「じゃあ、相談したいことがあるんだ....茜はスマホをもってないから、スマホを渡したいんだが....」
なるほど、大量にスマホやら携帯やらを購入してたのはこの為か。それで、最新型スマートフォンにしたのか。
「俺たちに任せるっす!」
「見事に渡してみせるっす!!」
隼人の相談が言い終わらないままに、彼らは宣言した。
本当に、みんな隼人が好きなんだなと思う。
取り合えず、あの隼人のことだからきっと居場所は掴んでると思うし、掴んで無かったら僕の家を使えばいい。
明日辺り人気の無い時間を見計らって....その女の子にプレゼントしよう。
「なんか、その女の子可哀想っすね....」
誰かがポツリとそんなことを言ったけど、僕は何も聞こえなかったので無視した。
水城は、隼人の親友で理性のあるヤンデレです。
隼人の幸せしか見えてません。
主人公は前髪を伸ばしているので、貞子状態です。