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第43話 やっと終わった

 赤城さんが表れ、その手腕とカリスマ性をいかんなく発揮されたお陰で、室内に流れていた嫌な雰囲気が物色され、私の激務も減った。


 まぁ、減ったというよりかは赤城さんの方に流れこみ、上手いこと佐南さんの方にも流れていると言った感じだ。


「佐南、ここの予算の報告と交渉に行ってくれ」


「はい!」


 佐南さんも、さっきまでの暗い雰囲気が無くなり、明るく元気で可愛い感じに戻った。


 佐南さんは、赤城さんが好きなんだと思う。


 赤城さんに話しかけられた時、凄く嬉しそうで、目をキラキラさせ、顔を少し赤らめる姿は物凄い可愛いくて恋する乙女であり、これが可愛げがあるということなのだろう。


 私はそんなことを思いながら、指示を出す役割から事務の役割をこなしていた。









 仕事が終わり、各自でみんな帰って行き、私も自分の荷物を纏めていたら……合同イベントについての大事な書類が出てきた。


 それは、予算案と判が押された許可証であり、それなりに束が出来ている。これが無いと予算は降りてこないし、許可証はその重要性から再発行は難しいものだと言われていた。


 私は近くにいた実行委員の一人に渡す。


「あ、その書類預かってくれない?大事な書類だから無くさないでね~」


 嫌々、可笑しい。そんな大事な書類ならば、小学生の私に渡すもんじゃない。と抗議をすると、実行委員の人はキョトンとした顔で


「だって如月さんは、合同イベント担当でしょ?」


 何時から私はそんな担当になったんだと、思ったがよくよく考えれば元々私は、その為にこの学園に来た訳なので、それもそうだと思う。


 聖火学園の仕事もしてたので忘れてた。というか何で私は他の仕事も請け負ってるんだろ……?


「……わかりました」


 私はその書類をファイルの中に入れて、会議室を出た。


 夏だというのに、冷房が効きすぎて寒い部屋から脱出したと思ったら、何故か廊下も冷房がかかってることを思い出し、超寒いから、肌寒いだけになった事実を密かに落胆する。


 初めての仕事をしたことも合間って、とても眠気にさいなまれている私は、若干フラつきながら、人が少ない廊下を歩いていた。


「茜……大丈夫か?」


 後ろから抱き上げた人間の正体を確信しながら目をみやれば、やはり赤城さんだった。


 調度いい。赤城さんの体はいい感じに暖かいので、冷房で肌寒く感じていた私は顔をうずめ、体を少し丸めるようにして小さくなる。


「赤城さんは暖かいね…」


「ぇっ……!!!?」


 上の方で少し驚きの声をあげた赤城さんに、やはり重いか、それとも体制を変えたなら辛くなったのかと思えば、いきなりギューっと締め付けられた。


 凄くいい香りがするが、それより酸欠でめっちゃ苦しい。


「(可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い甘える茜スゲー可愛いスゲー柔らかい。つーか可愛い……)」


 もうダメだ。暖かいし、疲労と酸欠で意識がヤバイ。いっそのこと意識を手放そうかと思ったとき…


「おいこらロリコン、うちの生徒を放せ」


 ビュン!と、いきなりの浮力に驚けば、それは一樹先生が、私を持ち上げていて、そのまま私を下におろした。


「もうちょっと触らせろ!茜が自分からくるなんて滅多にねーんだぞ!」


 般若のように怒る赤城先輩は凄くこわいが、一樹先生は気圧されなかった。


「アレは単に茜は寒くて眠かっただけだ、お前みたいな不純じゃない……


 というか、理事長がお前を呼んでたぞ」


「は?……っち…あのクソ野郎……


 ちゃんと茜を帰せよ」


 赤城さんは、苛立ちを隠せないようにそういいながらも、素直に理事長室へといった。


「ったく……茜もロリコンには気を付けろよ」


「でも、先生もロリコンですよね?奥さんは6歳年下ですし」


 私と赤城さんも6歳差だから、この理論でロリコンならば奥さんが年下の一樹先生はロリコンということになる。


しかし、そのことを指摘すれば一樹先生はやれやれと言った風に答えた。


「相手が結婚が出来る歳になっちまえば、手を出しても、どれだけ歳が離れても、最終的に合意ならばロリコンじゃないし犯罪じゃない」


 と、まるで当たり前のように断言した一樹先生に強烈な犯罪臭がしたがそれは言わずに心の中にしまった。


一瞬、赤城さんに、見えたのも気のせいだ。

一樹先生もロリコンというか好きになった相手が年下でした。奥さんラブな人なので子供には手を出しませんよ。



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