第42話 赤城視点。茜の激務
「俺はまだ状況が分かってないから、ここら辺で少し見てから入る」
「はぁ、分かりました」
俺は、取り合えず状況を判断したかったので、そういうと、茜は素直に了承して先に入った。
壁の物陰に隠れるように横たわり、ドアはこれから交渉やら要請に行くので、一々ドアを開け閉めしない為か、開いてるので、中の様子と声がある程度聞こえる。
「では、休憩も終わったので、会議を再開させます」
草野がそう宣言しだすと、茜の方へと流れ込む人たちが表れた。
今は初期の段階なので、予算決めが主になっている。足りない部分を他で補えないか、もしくはどうやって妥協させるかが課題となっており、茜はそれについて相談され、受け答えしている。
茜は小学生だと思えない程に的確な指示をだし、時には冗談で場を軽く和ませもする。
確実に茜は戦力として認定され、周りの人たちに必要とされている、生徒会や実行委員会での人間関係は多分良好……なのだが…
「問題のある光景だろ?」
俺の心情を的確についた言葉が横から聞こえ、見てみるとチンピラ、もしくはインテリヤクザのような男がいた。
「俺は如月の学校の教師だ、チンピラでもインテリヤクザでもないから。
今の現状、中々に問題があるだろ?」
「そうですね…」
一見、何の問題もないように見えるが、確実に問題がある。
まず、第一に小学生である茜に頼り過ぎている部分が目立つ。この学園は徹底した実力主義な部分がある為に、年齢やら地位を無視する時がある。
「まぁ、頼り過ぎてるっつーより、小学生ということを忘れてるな」
「いや、一応は理解してるけど、無理してないならいいやって感じですね」
優秀で、コミュ力や指示を出す能力も備わってる人間は、自然とリーダー格にされてしまう。
まぁ、この学園内の生徒ならば、いいかもしれないが茜は小学生である。つまりは責任能力がないのだ。
仮に問題が起こった場合、本来ならば指示を出した人間が責任を取るのだが、茜に責任は生じることは出来ない。それは色々なリスクを生じる。
「んでもって、あのデコっぱちの可愛い子と取り巻きが、気に食わないって感じがするぞ」
「あぁ、佐南か…」
そう、佐南 佑実の問題も存在するのだ。
というか、佐南もどちらかと言えば茜を頼る側の人間であったと思う。しかし、俺が不用意に茜を恋人だと言ってしまったせいで、対抗心というか、意地のようなものが出てしまったらしい。
佐南はそれなりに優秀で、経験もあるし、持ち前のキャラで人望もあるが、上に立つタイプではない。しかし、机の席的に多分、レプラをやってるのだろう。
茜のことをジッと見ていた佐南だが、ついに口を開いた。
「ちょっと……私、許可してないんだけど…」
上手く聞き取ることは出来ないが、どうやら茜に責任が取れないということや、年下であることを指摘している。
まぁ、佐南の意見は一応正論ではあるし、佐南は意地悪でいってる訳ではなく、本気で心配もしているし、同時に立場を分からせる為にもいってるのだろう。
茜もその辺を理解し、無難に佐南を立てて謝まっていたが、痺れをきらしたらしい草野が話しかけてきた。
「あの、そろそろいい?」
「あ、うん!!いいよ、何かな?」
佐南はレプラとしての自分が話しかけられたのだと思い、笑顔で対応を始め、茜も他をやろうとしていたが…
「いや、如月さんにお願いしたいんだけど……」
多分、一番最悪なことをコイツはいった。
もうダメだこれ以上は茜の手に負えないし、いや、茜ならば対処出来るかもしれないがこれ以上負担をかけさせるのは、恋人としても会長としても年上としてもダメだ。
そう判断し、俺は会議室に入った。
「悪い、遅れた。今から俺も加わる」
何か、思ってたのとちょっと違う話しになってきた。
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