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第38話 会議

 昨日、死ぬ程に抱き締められたせいで、内蔵が出る幻覚にさいなまれた。


 それはそうと、赤城さんがいうには、今日はオーケストラの打ち合わせがあるので、委員会には出れないらしいので、私は一樹先生と一緒に学園にきていた。


「ここって学校だよな?町じゃねーよな?」


「町じゃないです。学校です」


 ポカーンとしている先生の気持ちはめちゃ分かる。現代の便利さを合わせつつも、花とレンガが特徴な建物や道は、まるで一昔前の西洋の小さな町のようだ。


「わぁ…あの人格好いい…」


「モデルさんみたい……」


 ポカーンとしているので気づいていないが、一樹先生は外見だけはいいために、女子生徒からの視線やカメラを向けられている。


 とりあえず、昨日の道のりを思い出して歩いていると、前からバッタリと、オデコが特徴の女性とあった。


「あ!……あ、茜ちゃん!!……えと…久しぶりだね!」


「(昨日あったばかりだろ……)」


 目をバタフライの如く揺らしまくり、少し汗をかいているようで、必死に何か言おうとしてるみたいだ。


「えと…あ、あのさ……」


「もうすぐ、会議の時間だと思いますよ」


 あ……という声が聞こえたが、私は何もしらないフリをして、会議室に入った。佐南さんも慌てて入る。


「あのデコっぱちの可愛い子誰だ?」


「生徒会の人です」


 一樹先生に耳元で言われ、私はそうかえすと、少し目を細めて、ふーんと呟いた。


 中に人は既に何人か入っており、どうやら最後は私と佐南さんだけだったらしい。


 私と佐南さんが、席に座ると、眼鏡の真面目そうな男の人がそれを見計らって、号令をかけた。


「では、会議をはじめる。よろしくおねがいします。進行は、副会長の 草野(くさの) (まこと)です」


 草野さんはペコリと頭を下げたので、私たちも頭をさげてよろしくお願いしますという。


「では、まず始めにレプラを決めます」

 

 レプラとは、レプラコーンの略称であり、西洋の妖精で人をお手伝いするものと伝承されている。


 ようは、実行委員長の意味なのだが、元々私たちはそれぞれ実行委員長として来ているので、区別する為らしい。


「本来は会長がする筈だったんですけど、オーケストラの方が忙しいみたいなので、ここで決めます。


 誰か、やりたい人はいますか?いるなら、挙手してください」


 シーンと、誰も手をあげようとはしない。


「お前がやったらどうだ?」


「小学生ができる訳ないでしょ」


 そんな、ことを小声で喋ってると、何時のまにか、おずおずと手をあげる人がいた。誰かと思ったら、佐南さんだった。右手をあげ、左手は自分の胸元でギュッと握っている。


「わ、私……やります」


 目をギュッと瞑って宣言する姿はとてもとても可愛らしい。


「本当ですか?ありがとうございます。他に立候補がいないなら、レプラは佐南さんに決定します」


 異論はないみたいで、佐南さんは、レプラに決定した。


 ……何故か、一瞬だけ私を敵視するように睨んだ気がするけど、きっと気のせいだろう。







「つまり!僕たちは映画を作ろうと思うわけだよ!!」


「いや、相手は小学生だぞ!映画とかできるのか?」


「そうだ!いっそ皆で歌うっていうのは!?」


「バカ!!聖歌合唱団と小学生じゃあわないだろ!」


「そもそも、誰が指導するんだよ」


 議会は物凄い白熱していた。クーラーを入れているのに凄く暑く、さっきチラリと草野さんを見たら、リモコンのボタンをずっと押していた。きっと温度を下げる為だろう。


 因みに、議会の内容は柚木小と聖火学園の合同でやるイベント内容のことだ。


 因みに、柚木小と聖火がやる合同は一つだけすることとなっており、他のことは私たちは別々でやるらしい。


 まぁ、小学校と高校ということを考えたらそれが妥当な判断ともいえようし、人数制限のある催し物なら喧嘩や摩擦も少なくすむだろう。


「佐南さんはどう思われますか?」


 草野さんが、佐南さんに話をふった。まぁ、肩書き上でも佐南さんはレプラで、この中で一番上だから意見はきくだろう。


 いきなりふられて驚いたのか、目をパチクリさせた後、佐南さんは一生懸命に答えようとする。


「わ、私は、映画がいいと思います!ほら、みんなでやれば、一致団結って感じがするし、青春って感じもします……


 予算はあるし、皆で頑張れば出来るとおもいます」


 まるで綿菓子のように、フワフワとして甘くて溶けるような曖昧な答えが出た。青春とか、一致団結とか、具体的なことをいってくれない。


「っしょー!?内容は青春でどうすっか!?」


「あ、それいいですね!友情とかがいいとおもいます!」


 同意を得たのが嬉しいのか、佐南さんはニコっと笑って意見を出してきた。それに相手ものり、いつしか流れ的に映画に決定しはじめている。けれど、なんとなく本能で分かる。


 これ、絶対に成功しない。


 先生が放っておいたら、聖火学園の玩具にされるという言葉を思い出して、私は立ち上がった。


「私から意見と提案があるんですけど」

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