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高校生男子に好かれた小学生女子  作者: 黛 カンナ
柚木小祭り。準備編
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第37話 紹介

「赤城さんって、ただの不良軍団のボスじゃなかったんですね…」


「だろ?これでも結構人望あついんだからな」


赤城さんがまさかの生徒会長だったという衝撃の事実に驚いていると、いつの間にか学校についていた。


というか、この校内デカすぎるだろ…


部屋につけば、カードでシュッとしてから、赤城さんはドアを開いて中に入る。


「よう、遅れて悪かったな」


赤城さんが入った部屋には何人かいて、私を見た瞬間に驚いた顔をした。一人の少女が、こっちにくる。


可愛らしい人で、前髪をアップで留められツルりとしたデコを出し、腕につけてるシュシュが可愛さを引き出してるが、見た感じ真面目っぽそうな美少女だ。


「か、会長!この子は誰ですか?」


「ん?あぁ、茜、紹介しろ」


赤城さんが私を下ろし、そういって来たので、取り合えず笑顔で自己紹介する。


「どうも、柚木小学校から来ました、実行委員の如月茜っていいます。よろしくお願いします」


「え、えぇ……よろしくね!」


少し困惑しながらも、すぐにお姉さんっぽい雰囲気をだして、ニコっと笑う彼女はとても可愛いらしかったと思う。


「わ。私の名前は 佐南(さなみ) 祐実(ゆみ) よろしね」


「……はい」


なんというか……いい子だとは思うけど、…いや、うん、何でもない。


若干自覚があったのか、途中で涙目になって落ち込んでいた。


「皆も知ってると思うが、今年は柚木小学校と一緒にやることになった。理事長の突然の思い付きとはいえ……つーか、あいつマジ死ね……まぁ、よろしくやれ、」


ちょっと待って!理事長の突然の思い付きって何!?私はそんな理由で駆り出されたの!?というか、今死ねって言わなかった?


色々聞きたいことはあったのだが、回りの人たちは気にしてないみたいで、はい!と返事をした後、長い机に座りだした。


会議の内容は殆どなく、課題をあげただけで終わり、赤城さんのいった通り、本格的なものは明日からみたいだ。










会議は1時間くらいですぐに終わった後、赤城さんは理事長への書類があるとかなんとか言ってたが、一緒に帰るので少しの間まって欲しいといわれた。


小学生一人では目立つので校内の隅っこにいる。人が余り通らない場所だ。


「あ、茜ちゃ~ん!」


後ろの方で私を呼ぶ声が聞こえたので、振り返るとテカーンとデコが光っている佐南さんがいた。


「はい、ジュース」


「ありがとうございます」


正直にいって、美味しそうではない蛍光灯の赤の飲料を渡され、どうしようと思った。なんかドロドロしてる。


ペットボトルの蓋をあけ、恐る恐る飲み、まさかの炭酸だったので噎せそうになった。


「茜ちゃんってさ、会長の妹さんなの?」


「は?」


いきなり突拍子もないことを言ってきだした。


「ほら、抱っこされて入って来てたし、茜ちゃんにだけめっちゃ優しい声を出してたし!!なにより茜ちゃんも会長も綺麗な顔してるし!!」


「そうですか?」


「そうだよ!!」


いきなり詰めよってきた。可愛いデコがピカーンと光ってる、なんだか苺の香りがほんのりする。


「あの、冷徹の会長だよ!?生徒会始まっていらいの暴君と言われてるんだよ!?人でなしの鬼畜野郎とか言われてる人だよ!?」


赤城さん、アンタ何やってたんだ。


そして、佐南さんはそんな事をいいながらも口はニヤけており、少し頬を赤くしていた。


「だから、茜ちゃんは妹だ!!」


「いや、その理論は可笑しい」


それを言った瞬間、ガーンという文字が顔に張り付けていた。絵文字にするならば(゜ロ゜;だ。

嫌々、そもそも名字が違うだろ。


この人やっぱアホの子だ。


「え、じゃあ……どういう関係?」


……うん、赤城さんもいないし、別にいいよね。


「近所の兄さんで「恋人だ」」


私が近所の兄さんと言う前に、そんな声が聞こえた。上をみると赤城さんがいる。光の逆光で顔が分からないが何となく分かる。


ヤバイ、凄い怒ってる。


「え?ふぇ!?恋人って…」


驚いている佐南さんは私と赤城さんを交互にみてあたふたしていた。


そんな佐南さんを気にかけれない程の力を私の頭にかかっている。赤城さんの握力マジスゲェ。握り潰されそうだ。


怖い怖い痛い怖い、何にたいして怒ってるのか分からない。というか怖い、何に怒ってるの?怖い。痛い。


「そういうことだ」


そういって、赤城さんは私の頭を掴んだまま歩きだした。





「茜~……近所の兄さんってどういうことだ?」


赤城さんはニコニコと、キラキラと、それはそれは素晴らしい笑顔で私の顔をみていた。


どうにかして顔をそらしたいが、両手でガシッと捕まれているので、どうにも出来ない。あと少し近ければキスしちゃいそうだ。


「すみません、近所に住んでませんでしたね」


「俺がいいたいのは、そこじゃない」


「恋人と即答出来なくてごめんなさい」


「よし」


素直に謝れば、赤城さんは顔から手を離し、よしよしと頭を撫でてくれた。


「悪いな、八つ当たりして……少し理事長と問題があったんだ」


「何があったんですか?」


そういうと、思い出したのか、鬼と般若を合わせたような恐怖の顔をして、怒りながら説明した。なのに何故か頭に乗っけている手をどかしてくれない。


「あのクソ男……いや、理事長が俺を指揮者に任命しやがった……」


「指揮者?」


私が聞き返すと、赤城さんは撫でるスピードを速めて答える。


「聖火学園の文化祭では、オーケストラをするんだよ。その指揮者を俺にしろって言われたんだ…」


そういわれて、少し想像する。

赤城さんは、見た目は完璧な不良というか物凄い怖い人だが、それは、言い換えると恐怖を感じる程に美しい人なのだ。


タキシードを着て、舞台に上がって棒をふるうのはきっとさまになるだろうし、宣伝としてもいいと思う。


「赤城さんって、音楽出来るんですか?」


「昔、親父に一通り叩き込まれたことはある」


アンタの親父さん、何してんだろ……


「ったく……俺が指揮者になったら、茜から目を離さなきゃダメになるだろ…まぁ、隙をみて逃げるけどな」


いいのかそれで……


「私のことは大丈夫ですから……」


何時までも撫で続ける赤城さんの手を退かそうと、腕を手で掴んでいるのだが、全然動かない。なのに力加減はやさしく、気持ちいい。


「茜……」


ギュウウウゥ!!!


「うくぼ!!」


私の喉から蛙のような音が出た。いきなり抱き締めないで欲しい。死ぬ、吐く、死ぬぅうう!!


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