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高校生男子に好かれた小学生女子  作者: 黛 カンナ
柚木小祭り。準備編
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第35話 迷子の子猫状態

 結局、茜は仕方なく実行委員をすることになり、委員会に参加するために聖火学園へといった。


 一樹の車に乗せられて連れてこられた場所は、まるで城のような学園であり、大きな門やその奥にキラキラとした建物がある。


 厳重に警備されているのか、いかにも鍛えてますよという感じのヤクザっぽい警備員が結構な数いる。


「もの凄いアウェーだ……」


 少し離れた場所で茜は思わずそういった。


「(これはアカンパターンや、完璧にアカン。ヨレヨレのTシャツに半ズボンの子供が行くところじゃない)」


「……頑張れ」


「え、私をおいて行く気なんですか?それでも教師なんですか?」


「このアウェー空間に俺みたいなチンピラが出てきたら捕まるだろ」


「チンピラっていう自覚はあったんですね」


 こんな感じのやりとりを続けたが、一樹は結局学校の仕事が残ってるということで、帰ってしまった。


 仕方なく、茜は学園内に入るためにヤクザな感じの警備員に話かけることにした。


「ん?どうしたのかな?お嬢ちゃん。迷子?」


 近寄ってきた茜に思いの外フレンドリーに優しく接してきたヤクザに安心して用件をいう。


「柚木小の如月 茜と言います。実行委員として来ました、学園には言ってるので中に入れて貰えませんか?」


 それをいうと、ヤクザAは小さな通信機に何かを喋りだし、また茜に向き合って優しい声で告げる。


「うん、確かに許可があったよ。入っていいぜ」


「ありがとうございました」


 大門が開き、茜は入っていった。







「(ここは町か…)」


 校舎内に入ってまず目に入ったのは、まるで町のような建物たちだった。服屋やら喫茶店やらが沢山あり、例えるなら遊具施設のない某ネズミの国に入ったようだ。


 そこでは、いかにもお金持ちっぽい感じのお嬢様やらお坊ちゃんやらが沢山いる。


「(校舎……校舎はどこ?)」


 何故か学校はみえるのに、道順がわからない茜は必死で考えるがやはり分からない。


 しかも、小学生の……それも小柄の域に入る茜は周りからしたらとても目立つ。


「まぁ、小さな子がいますわ…」


「迷子かしら?」


「綺麗な子ね……」


 どうやら、お嬢様たちが集まるエリアに来てしまったようで、茜は好奇の目に晒されてるが、本人は必死で校舎への道を探しているのでわからない。


 周りはただ見るだけだったが、完全に男のいない、お嬢様エリアの中心に茜が入ってしまった時。


「きゃー!小さな子が迷子になってますわ!!」


「…っ…うわぁ!?」


 お嬢様のうちの一人がついに、茜を抱き抱える。茜はなんだ何だと混乱するが、その時にもお嬢様たちは寄ってくる。


「本当ですわ!幼稚園児かしら?」


「ちゃわれ!!……ウチは5年生…うぐぅ…!」


「必死で喋ってますわ!!」


 茜の状態をいうのならば、学校に迷い込んだ野生の子猫状態であり、女の子たちに好き勝手に触られている。


 この女の子たちは多分、聖火学園内で暮らしている寮生で、庶民の小さな子供など、未知の存在なのだろう。


 しかも、外見が整っている茜は絶好の相手だ。


「まぁ!?服がボロボロですわ!!新しいお洋服を買ってあげましょう!」


「待てや!…っ…これはウチなりのアンデティ…っ!!」


 必死で反論しようとする茜だが、女の子たちにギュウギュウに抱き締められ、言葉は遮られる。


「それはいいですわね」


「いっそ、学園内で飼いません?」


 こうなった女子は本当に怖い。いや、真に怖いのは普段なに不自由なく育った純粋なお嬢様だろう。


「いいですわね」


 よくない。


 男がいれば、まだ止まったのだろうが、ここは女子エリアであり、男は完全にいない。暗黙の了解で男禁制になってるのだ。


「…ちょっ…服を引っ張らないで下さい」


「迷子ちゃんも、親に捨てられたの?」


 も、という事は他にもあったのだろうか?と茜は思った。


「怖いこと言わないで下さい……私は迷子ではな…」


「本当に綺麗な顔をしてますわ~」


「お願い…触らないで…」


 もはや、体力の限界で疲れた茜に救いの声が響く。


「おい、なにやってんだ?」


 隼人がたっていたのだ。


 まるで、カリスマというのを言い表したかのような雰囲気と、美という一文字を擬人化させたような隼人の登場に、お嬢様たちはポカーンと空白が出来た。


「隼人さま…」


 その空白の瞬間に茜は腕から逃れて、隼人の方へといく。


「赤城さん……」


 余程怖かったのだろう。茜は半泣きで隼人の背中にひっついた。


「お、おぉ…」


 そのことに隼人は感動を覚えながら、茜をヒョイっと片手で抱きかかえる。


「とりあえず、校舎に…学校に入れてください。安全な学校に……危なくない学校に…」


「わかった、分かった」


 隼人は可愛くて仕方がないとばかりに、茜の頭を撫で、ポンポンと背中を叩きながら歩いていった。


 その様子をお嬢様たちはただただ驚いたようにみていた。

茜の災難ですね……

ほら、学校の中に猫とか犬とか迷いこむと大体さわりません?病気とかの問題は取り除いて。

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