第1話 彼女にとっての出会い
私の名前は、如月 茜。
小学校に通っている子供である。
小学生ということを考慮すれば、不自然では無い程度に周りより少しだけ容姿に恵まれたのと、若干冷めた性格がある以外は普通の女の子だ。
私は塾の帰りに某ハンバーガーショップに立ち寄った。そしてお持ち帰りで紙袋にハンバーガーを入れてもらい、店の外に出ると。
ガダ!!ザガガ!!「ウォルァァア!!」「死ねぇええ!」
路地裏で凄く物騒な音が聴こえたので、取り合えず行ってみることにした。
「面白いことでもしとんのかなー?....」
今思えば行かなきゃよかったと思う
そこはまるで戦場で、沢山の年上と思う男達が殴りあったりけりあったり、時には鉄パイプを持っていた人たちがいたりと混沌としたいた。
結構路地裏の深くまで行っていた私は、逃げたら逆に目立つと判断したので、近くのごみ箱の隅っこに身をよせて隠れていた。
時間がある程度たった時、突如金髪の男が表れ、次々と男達を倒し始めていた。
「アニキ!?」「やった!アニキが来たぞー!」
周りの人たちがアニキアニキと言っていたのはちょっと面白かった。そのアニキと言われる人が次々に倒して、遂に仲間だけになっていた。
まるで映画のアクションみたいだなーって思ってたら
「なんだこのガキ!!??」
見つかっちゃいました。
ゴミ箱のよこで小さくして隠れていたけど、どうやら後の男に気づけなかったらしい。
私は猫のようにビヨーンと引っ張られながら、アニキと言われる男の前にだされた。
「アニキ!!へんなガキがいました!」
大声で報告されたので正直耳が痛かった。というか、アニキって呼んでいるということは、コイツらは兄弟なのか?何人いるんだよ兄弟。
アニキと言われる男は一瞬目を見開いて言ってきた。その目は探し物がやっと見つかったかのような、そんな目だった。
「ガキ…名前は?」
「茜……如月 茜」
と私は言った。別に隠すことでもなかったので。
しかしながら、正直もう帰して欲しい。と言うか今すぐハンバーガー食べたい、ハンバーガーどこに行ったんだろうと思って見渡すと
「うぉ!ハンバーガーがあるぜ!ウメー!!」
「ハッピーセットのオモチャとか懐かしぜ!!」
男達に食われていた。
……返せ私のハッピーセット、返せ私のオモチャ。
「俺は赤坂 隼人だ」
そっか、よくわかった。血に塗れた人だね、よくわかった。だからさっさと帰して欲しい。うっとりとした目で見ないで欲しい。恐い。
もうハンバーガーとかどうでもいいから、ハッピーセットのオモチャとか諦めるから。
「(綺麗な人だなー)」
目の前の男は、眉目秀麗をそのまま具体化したかのような男で、私が小学生であるということを考慮しても、身長がとても高く、顔も恐怖を抱かせる程に綺麗だった。
異常な程に整っていて、ピアスや髪からも分かる通り完璧な不良であるにも関わらず、何処か気品があり、神々しささえ感じるのが不思議だ。
「なぁ、俺のこと覚えてるか?」
何かを期待しているような、何かを確信したがっているような目で言われ、ギシリとなる程に肩を掴んでいるこの恐い男にあったことがあってたまるか。
けれど、この男を見ているとスポドリが頭を過った気がしないこともない。
「俺のこと覚えてるか?」
「会ったことなんて無いです」
そう言った時、目の前の男が残念という顔をした後、何か開き直ったかのような顔をした。
これが、私にとっての彼との出会い。