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第24話 再会

母の許可を得た次の日の朝、私は家を出た。

早朝の為にまだ霧があけてない道を歩き、1台の車と一人の赤と黄の頭をした男をみつけた。


「赤城さーん。まってましたか?」


手をふりながら、私はトテトテとかけよると、赤城さんは無言でヒョイッと私を抱き上げた。


「いや、今きた所だ。車にのれ」


「もう乗せてるじゃないですか」


私を助手席に座らせ、なんか厳重そうなシートベルトをさせてから、赤城さんは運転席に座る。


「赤城さん、車運転出来るんですか?」


「出来る」


17才って、免許取れるんでしたっけ?


「免許証もってますか?」


「免許証がなくても俺は乗り物は全部出来る」


……この車に乗るの、物凄くやだ!!出よう!!すぐに出てやっぱりタクシーで行こ……何でドアが開かないの!?


ガチャガチャガチャ!!開かない!!


「あぁ、安全性を考慮して助手席はオートロックにした」


全然安全じゃない。


無免許運転より、君が安全じゃない。


そうだ!怖そう!!ガンガンと、窓を足で蹴りまくったが全然ビクともしない。


「ハハハ、茜は本当に可愛いな~。車のガラスは普通はそんなんじゃ壊れないし、この車は防弾だから無理だぞ」


猫がじゃれついているのを微笑ましく見るかの如く、赤城さんは笑って出発した。


もう諦めるしかないと、腹をくくる。


「赤城さ~ん。一体どこまで……その……私の事情を知ってるんですか?」


「茜が優しいってとこまでだ」


「………」


答えになってませんよ。


でも、まぁ……余り贅沢はいってられないのも確かなんで、文句はいわないよ。


若菜家は、正直にいって小学生の私が行くには遠すぎる。駅やバスを乗り継げば、そこそこ行けるとは思うが、その後が大変だ。


歩いたら子供どころか、大人でさえ3時間以上はかかる田舎の道をあるかなければならない。都心なのに、何故かそこだけが田舎になってる。


「赤城さん……なんか、すみません。返事をしてないどころか、こんなことまで……」


私は赤城さんに恋人になって欲しいと言われたが、まだ返事はしていない。


「好きでやってるから大丈夫だ」


好き。の部分をやけに強調している赤城さんに若干寒気がしたが、きっと気のせいだろうと思い、取り合えず礼をいう。


「ありがとうございます……」


都心を抜け、あの特徴的な竹が大量にある田舎道へと車は進む。


あぁ、どうしようかな~……やっぱ帰りたいな~…


「恩知らず、って言われたら私は死ぬ」


「言われる訳ないだろ」


そうかな~?そうなんか~?

いや、だってさ考えてもみてよ。私は4年間も連絡とってなかったんやで?


いや、手紙は送ろうと思ったけど、何故かお母さんにバレて泣かれるし、お父さんにバレると理屈でダメだと言い出すんだ。


まぁ、その理由は実は若菜家から手紙が何度か送られてきたからなんだと、最近わかった。全部私が見る前に処分されるんだけどね。


「ついたぞ」


ウダウダと考えてたら、ついたらしい。


竹林に囲まれ、観光地のような大きな日本古来の和式の屋敷があった。確か、江戸時代からあるらしいので、結構大きいとおもう。


「茜、危ないだと思ったら大声あげろ。いやな事を言われたらこの防犯ブザーなら、死ねと思ったらこの催涙スプレーをかけろ。殺してやると思ったら、この改造スタンガンを……」


「ここは戦場か!?」


なんか大量の防犯グッズや一歩間違えたら大惨事になる道具まで渡してきた。いや、私は戦場にでもいくのか?


「大丈夫です。いってきます」


私は、裏門をくぐり抜けて入った。










よく考えれば、私はオカンに行くとはいってない。

その場の雰囲気やらノリやらで来てしまったが、どうしよう。


裏門から入り、小さな池のところでそんなことを考えていた。いやいや、マジどないしよ。


「もしかしたら、オカンもおらんかもしれへんし……」


「そこにいるのは誰!?」


シュッと、薙刀が横から表れた。

驚いた私は反射と咄嗟の判断で体を横にそらし、地面を転げて逃げようと思って……


近くに池があるの忘れてた。


ポチャン!!


そんなに深くはない小池にはまり、鯉や金魚たちが逃げていく。ごめんなさい、魚たち。


「プハッ」


私は顔をだして、酸素を吸い込む。

目にまだ水がついているので、拭って薙刀をもった人に視線を向けると……


「茜……なの?」


「……」


ジャボン


私は無言で水にもどった。


「(これが久しぶりの再会とか嫌だ、時よ戻れ)」


残念ながら、時が戻ることはなかった。

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