第15話 赤城の祖父とご対面
ボヤ~っとした意識の中、意識が覚醒すると、そこには洋風の屋敷があった。
イギリスの貴族とかが住むような屋敷で、日本になんで存在するのか分からない感じの屋敷だった。
「おやおや、よく来てくれたね~」
年は30後半か40にも見える、渋い感じの男性がニコニコして迎えてくれた。
思いの外筋肉質であり、衰えることを知らないというか、大人特有の格好よさと、まるで美術品の如く美しさがあった。まるで赤城さんの未来図みたいだ。
「じいさん、この子が茜だ」
じいさん!?今じいさんって言った!?
ちょっとまて!!どうなってるんだ!?私は完璧に赤城さんのお父さんだと思ったのに!?
そんな素敵なおじさまは、長い足をおって私の目線に会わせてきた。
「こんにちわ」
「こ、こんにちわ」
その言葉に満足したのか、おじさまは立ち上がって、手招きをした。
「さあ、お菓子も用意しているんだよ。お座り」
逃げたい、本気で逃げたい。
しかしながら、ニコニコなのに威厳が出ているおじさまと、背中をグイグイおしてくる赤城さんに逆らえる筈もなく私は座った。
出されたお菓子にタバスコをかけてからモギュモギュ食いながら考える、どうしてこんなことになったのかと。
たしか、私はカフェで肉姉さんと赤城さんとの修羅場の中心にいながら、蚊帳の外になってて、何か二人が口論してたけど、私は飽たから赤城さんに出されたジュースを飲みながら本を読んでて……
えっと、そこから肉姉さんが泣いて外に出て……アレ?そこからの記憶がない。
どうしたのかと聞こうとしたら、意識がブラックアウトして、気がついたらここに……
「何を考えているんだ?」
今の状況処理をしてパニクっている私に、赤城さんは紅茶を入れながら話しかけた。
「なんでこんな状況になったのかな~って……」
その問いに赤城さんではなく、素敵なおじさまが入れた紅茶を差し出して答えた。
「人生、色々あるもんだ。一々考えなくても生きていける」
素晴らしく素敵な笑顔でそういい放った。
そっか~人生色々あるもんね~考えなくてもいいのかな~?
でも、何となく出された紅茶を飲みたくなかった。
「安心しろ、今度は何も入ってない」
今度は?今度はって言ったのよね?じゃあ前はどうしたの!?何か入れたよね完璧に!?
「子供なんだから余り負担はかけるなよ」
「後遺症の残らないやつだよ」
……
人生、色々あるもんだ。一々考えなくても生きていける。
「あの、砂糖入れていいですか?」
「……うん、いいよ」
角砂糖を大量にいれまくり、砂糖が若干浮き出るまでいれたのを紅茶の中に入れて私は飲む。じいさんに奇妙な目で見られている。
「甘いものが好きなのかい?」
「あ、いえ……」
お茶を濁すように私は曖昧にいう。私は無償に甘いものが食べたい時もあれば、辛いものを食べたいときもある。
「隼人、すまないが私の眼鏡をとってきてくれないか?」
「わかった」
赤城さんは、そういって何処かへときえた。
それを確認したあと、おじさまは私のほうに向き直り……
「で?君は隼人のことが好きかい?」
……まるで、死ぬ寸前にやっと出来た初孫を慈しむような、溺死しそうなほとに慈愛タップリの雰囲気と
餓死寸前の時にやっと表れた獲物を喰らおうとする猛獣の雰囲気があった。
なんて答えればいいんだよ……なにが正解なんだ。
「えっと、嫌いではないです」
目を極力避けながら、遠回しにいう。
「じゃあ、好きなんだな?」
「好きというか……ほら、綺麗すぎるのである意味尊敬的な……」
「好きは好きなんだな?」
好きだなんて一言もいってない。
「いや、嫌いじゃないというだけで……」
「そうか、好きなんだな」
苦手なんだよ、好きとか一言もいってないよ。
そう言いたいのに、おじさまの目力が半端ないせいでいうのは無理だ。怖い。というか、威厳がありまくりで世界を支配する魔王さんがいたらこんな感じかな~って思う。
あ、この人は魔王なんだ!
現実逃避をしなきゃ、私は今泣きわめいている自信があった。
肉姉さんはまだ登場しますよ~




