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砂金を生み出す力で人助け! ― 鈴本千絵と恐喝事件③

二人は剛男と親しい生徒数人を呼び出した。

「剛男の父親から頼まれた。これを払うから、剛男を止めてほしいって」

進は砂金を見せた。

「金だ、十グラムはある」

「これ、価値あるの?」

「金は、今の相場なら、数十万にはなる。それだけ剛男の父親も必死で、お前たち仲間を頼りにしているということだろうな」

「止めるっていうのは、何を……?」

「剛男は、お前たち仲間を想うあまり、恐喝で金を集めているんだ。このままだと、警察沙汰になりかねない」

「警察!?」

「お前たちが遊びに使った金は、大人しい女の子から巻き上げたものだ。剛男が単独で恐喝をして集めたものだと、剛男の父親からは聞いているが……まさか共犯はいないよな?」

「いや、俺たちは皆で一緒に遊んでただけで……」

「ならよかった。だが、恐喝で得た金とわかっていて、その金の世話になるなら、今後はお前たちはただ遊ぶだけで共犯になる。剛男の父親はそれも申し訳ないと思っているそうなんだ。お前たちで剛男を止めてやってくれ。このままだと確実に警察に捕まるから、お前たち自身の手で通報をして、警察に剛男の面倒見の良い人柄を話して、今回のことはお前たちのことを想うあまりやってしまったんだと説明してあげてくれ。剛男の父親は、現場を見て通報してくれた生徒には追加報酬を出すと言っている」

生徒たちは半信半疑ながらも、進と静に付き合うことにした。


公園に着いたとき、空はすっかり茜色に染まっていた。街灯がぽつぽつと灯り始め、冷たい風が落ち葉を巻き上げる。進と静は息を切らしながら、木々の間から広場を見渡した。

そこには、鈴本千絵が立っていた。制服の裾を握りしめ、剛男の前で怯えた表情を浮かべている。剛男は苛立った様子で、スマホを振り回していた。

「金はどうした! お前が持ってこなきゃ、角間を滅茶苦茶にするって言っただろ!」

「……ありません。もう、無理です」

千絵の声は震えていた。剛男は舌打ちし、スマホを千絵に差し出すと、にやりと笑った。

「じゃあ、もう一度角間を呼べ。泣きながら、すぐに来ないと自分の体が滅茶苦茶にされるって叫んで、角間を呼べ」

その言葉に、千絵は顔を強張らせた。

「嫌です。お金は出さないし、静さんは呼ばない。あなたの思い通りにはなりません」

その時、公園の入り口から数人の生徒たちが現れた。剛男の仲間たちだ。男女混じったその顔ぶれは、皆どこか困惑した表情を浮かべていた。

「おい、なんでお前らがここに……」

剛男が目を見開く。生徒の一人が一歩前に出た。

「剛男の父親から頼まれた。お前を止めてくれって」

「はあ!? 何言ってんだよ! 俺の親がそんなこと言うわけねえだろ! 俺の何を止めるってんだよ!?」

「でも、あんた今、その女の子に何してた?」

剛男は言葉に詰まる。

「女の子相手に金をせびって、体をどうするとか……それ、普通じゃないよ」

「俺たち、相模さんのこと兄貴分だと思ってたけど……こんなの見たくなかった」

「あんたの羽振りの良さって、そういうことだったんだ。女相手にカツアゲって、引いたよ」

静かに、だが確かに、仲間たちの言葉が剛を包囲していく。

「ふざけんなよ……俺は……」

剛男の声は震えていた。仲間の生徒たちは、失望と、哀しみと、願いのこもった目で彼を見ていた。

そのとき、一人の女子生徒がスマホを取り出し、警察に通報した。

「今、公園で未成年への恐喝と脅迫が行われています。場所は……」

剛男はその様子を見て、膝をついた。


翌日、学校は休みだったので、進と静は朝から再び神社を訪れた。朝の空気は澄んでいて、鳥のさえずりが境内に響いていた。

「福の神様、昨日の件で、俺……千絵を救ったと思うんだけど」

福の神は社殿の前に現れ、首を横に振った。

「静の知恵と、剛男の仲間たちの行動によって、千絵も剛男も救われた。お前の能力によるものではない。よって、認められぬ」

進は肩を落とした。

「俺の砂金の貢献は認められないか……」

「毎週、何かしらの能力は授ける。これからも励むがよい」

そう言って、福の神は社殿の奥へと消えていった。

静は進の横顔を見つめながら、申し訳なさそうに口を開いた。

「ごめんなさい。私が余計なことをしたせいで…」

進は首を振った。

「気にしないでくれ。角間さんの助言が無かったら絶対解決できなかったし。そもそも、アルバイトでもしたほうがずっと稼げるし、意味のない、不要な能力だったよ」

静は少しだけ笑った。

「だから、あの時、公園に向かう時に何度も聞いたじゃないの。それなのにあなたは、千絵のために走り出して……」

「何か聞かれたっけ?」

静は言いかけて、言葉を飲み込んだ。

「何でもないわ。あなたにとっては当然のことなのよね。ありがとう、私とあの子を助けてくれて。これから私も手伝うからね」

進は静の言葉に少し驚いた。

彼女の瞳には、どこか決意のようなものが宿っていた。

「手伝うって、俺の金儲けを?」

「ええ。あなたが理想のお嫁さんといちゃいちゃできるようになるまでね。幸い私はもうあなたが神様の力で人助けをしていることを知っているから、条件についても問題ないし」

「角間さんが協力してくれるなら心強いし、本当にありがたいけど……そういえば鈴本千絵ちゃんだっけ? 実は俺のこと少しカッコいいと思ってくれてたりとか……」

「あの子は駄目、というかそういう紹介とかは一切しないわよ。あなたが頑張るのを手伝うだけ」

「今回みたいなハズレの能力が続くかもしれないし、どれだけ時間がかかるかわからないよ?」

「実は、私のちょっとした目的のために、あなたが与えられた能力を使ってもらうことがあるかもしれないの。そのためにも、あなたの傍であなたの動向を把握しておきたい思いがあって……私にも利益のあることだから、気にしないで」

「わかった。そういうことなら、よろしく」

「よろしくね! 波風君より進君の方が短くて効率いいし、これから進君って呼ぶから、私のことは静さんか静って呼んでちょうだい!」

来週の能力はどんなのだろう、お供え物をすればもっといい能力が授けられるんじゃないか、そんな風に相談しながら、二人は神社を後にした。

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