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失せ物探しの力で人助け! ― 閉ざされた病棟と姉妹の真実⑤

病院の敷地を出てしばらく歩いた頃、涙を拭いた静は進と美月に深く頭を下げた。

「ありがとう。二人がいなかったら、今頃私、どうなっていたかわからなかったわ」

美月がその肩をぽんと叩く。

「私たちは何もしてない。静が自分で真実と向かい合って、耐え抜いた。よく我慢した。私なら母親の喉笛にあの場で噛みついてた」

「俺たちは、あの人の……静さんのお母さんの言うことを、聞いているだけで……考えを改めさせることができなかった」

角間香から静に向けられた言葉は、進や美月にとっても、衝撃的な内容だった。

当の本人である静にとって、どれほどのものだったか、想像もつかない。

二人の言葉に、静は微笑んだ。

「二人のあの時の言葉、すごく嬉しかった。それに進君、本当にありがとう。どうにか一年間は猶予ができたわ」

美月も頷き、しかし不安げに問いかける。

「うん、進氏は見事だった。でも、一年後にあの二人が出てきたらどうする? また静に危害を加えようとするかもしれない」

「大丈夫。主治医は遠瀬信二さん……静さんの叔父さんで、遠瀬先輩のお父さんだろ? あの二人は、多少なりとも俺たちに恩義を感じてくれているはずだ」

「確かに、あの遠瀬病院で眠り続けている遠瀬先輩の実の母親に嘘判定の力を使って、先輩を止めて……使ったふりをして騙したことになるけど、先輩は静や私たちに感謝してくれてた」

進は頷き、続けた。

「静さんが花ちゃんに川に突き落とされた日のことを、二人に全部話そう。花ちゃんが街で配った毒薬が遠瀬先輩の手に渡って、その結果実の母親が倒れたのであれば、遠瀬先輩は絶対に花ちゃんを許さないはずだ。信二さんも同じだと思う。主治医の許可がないと出られないのなら、信二さんがこの病院の院長であるうちは、最愛の人の仇の花ちゃんを外に出さないし、遠瀬先輩が後を継げばその後もずっと出さないよ」

静は驚き、そして少し笑みを浮かべた。

「進君、あなたってば、すごく考えてくれていたのね。でも、お父様が叔父様に命令をしたらどうなるかしら?」

進は肩をすくめた。

「もともとお父さんは、花ちゃんを閉鎖病棟に黙って入れたわけだから、積極的に外に出そうとは思っていないんじゃないかな。それが世間体のためなのか、良心からなのか、奥様を独り占めしたいからかはわからないけれど……」

静は小さく笑った。

「たぶん、一番最後の理由でしょうね。お父様は、お母様のことを本当に愛していたから」

「愛か……。俺は理想のお嫁さんが悩んでいたら、解決できなくても一緒に悩んで……止めるべき時は止めてあげたいなぁ……」

静と美月は顔を見合わせ、思わず笑った。

「そうね、いいこと言うわね、進君」

「神様の力で楽してお金儲けして理想のお嫁さんをゲットしようとしている、欲望まみれの進氏を止めない私たちは、愛情が足りてない?」

三人は笑いながら神社へと向かった。


進が手を合わせると、社殿の奥から浴衣姿の福の神が音もなく現れる。

「福の神様、今回は……どうでしょう?」

「今回は大変だったな。よくやった。失せ物探しの能力を永久に与える」

福の神の声は、冬の空気を震わせるように響いた。

福の神は、静に視線を向けた。

「お互い、ろくでもない親族を持つと苦労するな」

「え……?」

「ではまた来週。励むがよい」

軽く手を振って、福の神は去っていった。

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