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サイコメトリーの力で人助け! ― 美月の予言と炎の疑惑①

午後の校舎は、試験期間が終わって安心した生徒たちの明るい声で溢れている。

その明るい雰囲気の中で、白鳥美月は銀茶の髪を肩まで揺らし、進と静に切迫した様子で告げた。

「これからする話は、衝撃的かもしれないけど、落ち着いて聞いてほしい」

進と静が緊張感した面持ちで頷く。

「静はもともと綺麗ですごくいい子で、女の私も見ているだけで幸福感を感じられるほどだったけど、最近はより朗らかで爽やかに感じられて、魅力がすごいことになってる。男子生徒からの人気がますます上昇している」

「そ、そうなの。照れるわね」

「それで、進氏が男子生徒に目の敵にされつつある。進氏と静は、少し前からすごく仲良く見える。何かあった?」

「え……」

静が幼い頃からついていた嘘を、ずっと言えずにいたことを進に告げて以来、確かに静はこれまでよりも進と接する時間が増えていた。

「何かあったというわけでもなく、私はもともと進君には一定の信頼を置いているわよ」

「じゃあ……どうして仲良く見えるんだろう。呼び方の問題?」

美月は合点がいったとばかりに、進に問いかける。

「進氏は私のこと白鳥さんって呼ぶけど、どうして? 美月って呼ぶのは抵抗がある?」

「いや、数週間前に知り合ったばかりだし、馴れ馴れしくするとよくないと思って……」

「気にしないでほしい。進氏と静とは、一緒に濃い時間を過ごしてる。むしろファミリーと思ってくれていい」

「ええと……じゃあ、美月……さん、これからもよろしく」

「よろしく、ファミリー」

静が思わず笑う。

「ファミリーじゃあ、隠し事はよくないわよね。実は、少し前に進君に相談に乗ってもらったのよ。私にとってはすごく重大なことについての相談で……いつか美月にも話したいけど、今はまだ心の整理がつかないから待っていてほしいの」

「なるほど、そういうことなら納得した。それで、ここからが本題なんだけど……夢で見たの。部室棟で火事が起こって、消火器具は壊れていて、たくさんの人が死ぬ」

進は息を呑み、静と目を合わせた。

「……うちの学校で、近いうちにか?」

「うん。だから、消火器を持って待機してほしい。火は消えないから、部活棟を使ってる人たちには何かあったら逃げるように伝えてある」


三人は放課後、部室棟の周囲に消火器を抱えて立っていた。夕陽が校舎を赤く染め、風が冷たく吹き抜ける。

緊張で汗ばむ進の掌に、鉄の筒の重みがずっしりとのしかかっていた。

やがて――。

「火事だ!」

誰かの叫び声とともに、部室棟の窓から黒煙が噴き出した。

美月の予言を聞いていた生徒たちの大半は、すぐに避難を始めた。彼女の言葉を信じていたからこそ、消火を試みることなく、迷わず校庭へ走り出す。

だが一部の生徒は、煙の中で慌てふためいていた。

「消火器がない! どこにあるんだ!」

「壊れてる……どうすれば!」

進は叫んだ。

「こっちだ! 逃げろ、俺たちが消す!」

静が冷静に誘導し、美月は必死に声を張り上げて避難を促す。

進と静は持参した消火器を構え、炎に向かって噴射した。白い粉が舞い、火の勢いが次第に弱まっていく。

「進君、もう少し右!」

「了解!」

二人の連携で、炎は鎮まり、煙が薄れていく。

そして煙が晴れた先、目の前の床に、煙を吸い込んだ稲穂葵が倒れていた。

「葵!」

静が駆け寄り、進も慌てて抱き起こすが、葵は意識を失っており、どうにか外に運び出す。

しばらくして到着した救急隊に搬送されていった。

残された生徒たちは、進と静と美月に駆け寄り、口々に感謝を述べた。

「ありがとう! あのままだったら危なかった!」

「白鳥さんの予言、また当たったんだね……すごい!」

「たまたま。でもみんな無事ならよかった」

美月はぺこりと頭を下げる。

「白鳥さんのおかげで、本当に助かった!」

声を張り上げたのは、女子生徒から人気のある運動部の部長だった。

長身で爽やかな笑顔を持ち、普段から仲間を引っ張る姿勢で慕われている彼は、真っ直ぐに美月を見つめて言った。

「予言がなかったら、俺たちはどうなっていたかわからん。本当にありがとう! 噂には聞いていたけど、ファンになってしまいそうだ!」

その言葉に周囲の女子生徒たちが一瞬息を呑み、次の瞬間には嫉妬の色を帯びた視線を美月へと向けた。

「予言、ねえ……。そんなのあり得るの?」

「……おかしいわよね。火事も消火器の故障も、全部白鳥が仕組んだんじゃないの?」

「そうよ、予言が当たったって言って、ちやほやされたいだけでしょ!」

複数の女子生徒が声を重ねると、空気は一気に険しくなる。さらに彼女たちは声を張り上げた。

「大会が近い部活に迷惑をかけてるのよ! こんな騒ぎで練習時間が潰れたらどうするの!」

「確かに迷惑だ、許せない!」

その言葉に、近くで聞いていた大会を控えた運動部員たちが煽られるように頷き始めた。

「そうだ、俺たちの努力を台無しにするなんて……」

「予言なんて信用できない。もし本当に仕組んでいたなら、絶対に許せない!」

賞賛と疑念が入り混じり、校庭の空気は一瞬で不穏なものへと変わっていった。

美月は何か言い返すわけでもなく、無表情のままその場を去り、進と静は慌てて後を追いかけた。

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