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13②


 ゴールデンウィーク終盤の休日。スタジアムの外はもう人でごった返していた。まだ試合前なのに熱狂はもう始まっていた。

 もちろん萌さんは青いユニフォーム姿。萌さんは僕のためにサイズXLの今年のアスルヴェーラのユニフォームを買ってプレゼントしてくれた。背番号は24、もちろん桜町選手の番号だ。僕もそれを着ている。今日のためにネットの動画でアスルヴェーラのチャントを何度も聞いて、チャントの歌詞も覚えた。戦う準備ならもうできている。

 何かスタグルを買って食べようかと手をつないで歩いていると、前の方から萌さんの名を呼ぶ男の声が聞こえて僕らは立ち止まった。

 「萌じゃん。久しぶり! おれと別れたあともスタジアムに来てたなんて知らなかったぜ。新しい彼氏もできたみたいでよかったな」

 視力が足りないから、男の顔を見てもすぐには気づかなかった。目を凝らして見てようやく状況を把握した。彼が所属する静岡花井組のサッカー部員紹介のページで見てから、その顔を忘れたことがない。

 男は山田康二だった。山田康二は二人連れで、もう一人も男。もう一人の男はアニメとコラボしたユニフォームを着ている。サッカーファンというよりアニメファンなのだろう。山田康二はその男に頼まれて久々にスタジアムに来たようだ。

 「康二さん、久しぶり……」

 山田康二の登場より彼女の返事にショックを受けた。元カレにはさん付けなの? 結婚を誓い合った僕には呼び捨てなのに。普通逆では――

 コラボユニの男が康二に尋ねた。

 「去年康二を振ったという元カノさん?」

 「ああ、最高の女だった」

 「自分を振った女を褒めるなんて偉いじゃん。一言で言うと、どう最高だったんだ?」

 「そうだな。いつでもどこでも何度でもって感じ?」

 「確かに最高にエロい!」

 二人とも腹を抱えて笑いだした。萌さんの前に出て彼らと対峙しようと思ったけど、萌さんが手を離さないのでそのまま並んで手をつなぎ続けた。

 「もとからエロかったわけじゃないぜ。出会ったとき処女で奥手だったのを、三年かけておれがエロく変えたんだ」

 「サッカーよりそっちの世界の方が向いてるんじゃねえの?」

 「バイト中でもいつでも、呼び出したら沼津から静岡まで飛んできてくれるんだ。心の中でコールガールって呼んでたもんだ」

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