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12②


 「加戸萌です。シンとは結婚を前提に交際させてもらってます。今日はお招きいたたたた……」

 慣れない敬語を使おうとして、舌を噛んでしまったようだ。

 「それより、その格好はどういうことかしら? 結婚を前提とした交際をしてると言いますけどね、あなたのどこを見てもうちのシンちゃんにふさわしい点なんて1ミリも見つからないんですけど。あなたの口から説明してくださる?」

 「知り合ってすぐ、シンには何度もヤンキーは嫌いだと言われたけどさ――」

 どうやら敬語を使うのはあきらめたようだ。

 「これがあたしのスタイルだからさ。でもあたしはカッコだけのなんちゃってヤンキーじゃないつもり。シンがいじめられていても、あなたたちはシンを守ってやれなかったそうだな。あたしはシンを苦しめるやつを絶対に許さない! たとえ刑務所に入ることになったとしても、この手でシンを守り通す。この格好で来たのはその決意を見せるためだ」

 ここで初めて父が口を開いた。

 「シン、いじめに遭っていたというのは本当か? どんないじめだったんだ?」

 「高校に入るまでずっといじめられてました。いじめの中身は普通に殴られたり蹴られたりお金を取られたり……」

 ここで父が爆弾発言を投下した。

 「気づいてやれなくてすまなかった。シンが中学生の頃といえば母さんが不倫に一番のめり込んで、その証拠集めで僕の心が病んでいた頃だ。でもそれは子どもの苦しさに気づかない言い訳にならない」

 「あなた、シンちゃんの前で何を言い出すの? そりゃ結婚前はいろいろあったけど、結婚してからも不倫なんて……。証拠もなく私が不倫したなんて言わないで!」

 「興信所も使ったしね。証拠なら山ほどあるよ。君の不倫を知ってから十年以上経ってるから慰謝料請求には使えないけど、離婚の理由にはできる」

 父はリビングのローテーブルに表紙に報告書と書かれた分厚い資料を投げるように放り出した。パラパラページをめくると、少し若い母が見知らぬ男とホテルに入っていく姿が目に飛び込んできた。これは言い逃れできない。僕らが見たあとで、母は報告書を手に持ったまま呆然とした表情。


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