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湧き出る思考の狂気と

空虚に広がる寂しさと-if-

作者: 庚午澪

 自分が汚れると周りの全てがキレイに見える。

 変わって見える物が多くなって、今まで醜く思っていた物まで違って目に映った。

 死んでもおかしくない理由のために失った物や後遺症が残るけれど、たった一つ見える物がキレイに感じる変化は、眩しくて胸が締め付けられるけれど死にたいと願い続けた景色よりずっと良い。

 キレイなモノになら締め付けられる思いをしても、傷つけられても、例え太陽に近づいて焼かれるのと同じとしても構わない。

 むしろ焼いて焼いて焼き尽くして欲しいとさえ思う。チリも残さず……

 しかし、そんなのは目を逸らすための都合の良いただの妄想という事が今ははっきり分かる。

 周りのキレイさに目が潰れ、汚点の僕は引け目や自己嫌悪に陥り、精神をどうにかして死んでしまうなんて事態は起こるはずがないのだから……

 キレイなモノへの羨望と空虚な寂しさの中にあって唯一、終わりかけのロウソクみたいな小さな灯りだけど、確かに一つだけ望む物があった。

 それは好きな人の隣を歩く事。

 物理的には難しくないかもしれないけれど、気持ち的に好きな人の隣を歩けるだけの資格が欲しい。

 好きな人の隣を歩けるだけの自信や価値と資格が今の僕には無い。

 あるのは後ろめたさのみ。

 好きな人を泣かせてしまった僕に、そもそもやり直しの機会があるのかも分からない。

 だから自分の価値を上げて資格を手にできるのか? それも分からない。

 それにはどれだけ時間がかかるか分からないし、死んでもおかしくない理由のためにした事を考えたら、ずっとずっと先になるのだけは確かだった。

 それでも好きな人の傍にいたいという身勝手な願いが、胸の中にぽつんと暖かく揺らめいて……灯っている。

 きっと別の未来もあったかもしれないけれども、それは言っても今の僕にはどうしようもない事。

 あと自分自身のではないけれど、僕では好きな人を幸せに出来ない……

 だから神様がもしいるなら、神社で好きな人が幸せになれる様に勝手に祈るだけだ。

 もう前の様な笑顔を向けてもらえないのは辛いけれど……もし、僕が挫折して諦める事になっても、好きな人が幸せな姿を見られたらそれでいい。

 この胸の唯一の灯りを頼りに僕は歩き出そう。

 目が眩んで見失わない様に目を凝らし、決心や願いを忘れずに好きな人を目指して始めよう。

 ……ReStart。

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