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夢2  作者: 桃花
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無題

管理小屋の庭先に置いてある長椅子に座り体温調整に使っている魔道具をバラして手入れをしてくれている同じ孤児院出身の男(おとうと)が何かを思い出したように顔を上げてこちらを向く

どうした?声を掛けると

「兄貴。そういえば聞いていたか?」

「何をだ?」そう聞き返せば少し困ったような顔をしてから魔道具の方に顔を向けて説明をしてくれた

曰くずるいずるいが出たと。

稀にいるのだ。自分よりも人がなにかいい思いをするとずるいずるいとダダをこねるように言うやつが。孤児院でもだ

それが正当な理由で褒められていても。

自分が到底できるものでなくてもずるいずるいと騒ぎ立てるやつがいる。

自分のほうが自分がと騒ぎ立てると困った大人は黙らせるために同じように物をあげたり褒めたりすることで黙らせようとする場合がある。それを何度かすれば自分も騒げばというふうに学習するわけだ

そうなったらずっと自分の思い通りになるようにずるいずるいとダダをこねることになる

まあ、俺達が育った孤児院では一度でも駄々をこねるとなぜ?と褒めた理由を伝えダダをこねた子供がやってもいないことを褒めることはないと正論で諭すシスターしかいないのでそういうのは少ない。本当に小さな子がダダをこねるか他の施設のから余されて来た奴らがやっているのを見たことがある程度である

珍しい

そうか。そう静かに返しつつ畑を耕す。無人島にある人が潜れない程度の小さなダンジョンだが場所的に溢れ出すと少々問題がある場所にあるために溢れ出たらすぐに対応できるようにと置かれた管理小屋。

そこに一人暮らしをしている

島なので買い出しなど不便であるため野菜などは自給自足している。時折、同じ孤児院出身(かぞく)が来て魔道具の手入れや生活必需品と交換に討伐した魔物の買い取りや薬草を買い取ってくれているので生活できている

「でさ。俺はもともと下積み時代も兄貴の魔道具やら知り合いの魔道具を親方の工場で手間賃もらいながら修行させてもらっていただろ?で、親方のところで実地を理論とかを学校でって後期受けることにした時に孤児院から学費の一部を支給されただろ。それがずるいって、自分も前期出してもらっているのによ」ため息を付きながらそういう同じ孤児院出身の男(おとうと)

国では読み書きと基本的な計算や技能を学ぶ場として学校があり誰でも入れるようになっている。大体は読み書き計算を学ぶために前期に入り勉強して就職し。手に職を言う奴らでどこかの職人に下積みに出た奴らや金がある奴らで技能を身につけたい人間が後期に進む

出身の孤児院(いえ)では、前期または後期に進むときは申請すると学費が国から一部出されることになっている。

俺は勉強が苦手であったために俺の分をもっと学びたいと言っていた同じ孤児院出身(あね)に俺に勉強を教える変わりにという条件で俺の分を出してもらった。俺は孤児院内で教わる初歩で低いっぱいだったのでそのままダンジョンに潜る仕事について戻ってきた時に教えてもらってのんびり気ままに読み書き計算や常識と言われる学問を教わった。

今話しをしながら手入れをしてくれている職人も後期に進む時に自己負担分が足りないと嘆いていたので、支援した。変わりに俺の使っている魔道具の手入れや欲しい魔道具を作ってもらうようにしている。無論、制作にかかる費用は俺が出しているが、他で断られるようなものを依頼することもあるため断れない職人がいるのが便利だからだ

こいつにも色々と迷惑かけたなと思いながら

話の続きを促すと

「前期または後期に進む場合は申請したらどちらか片方のみ国の支援で学費の一部を出してもらえるというのをシスターが正論で叩き潰したんだけどな。学費だけならどうにかなるが諸費用はと騒いでよ。俺や姉ちゃんは兄貴に出してもらっているけど他の人間だって家族や知り合い。青田買いの支援でやりくりしているだろ?それなのにずるいって騒いで」

へー面倒なことになっていたんだなーと軽く伝えると

「職人見習いなら師匠やギルドから申請すれば諸費用の一分を出してもらえるし。有能な人間なら青田買いで出してもらえるということを学校が説明してくれたんだがな。あんまり騒がしくてちょっとな」うなだれている

確かに孤児院出身である俺等に世間は厳しい目を向けている。親という後ろ盾がないし税金である程度養われているから余計な贅沢をしていると孤児のくせにとやっかまれることもある

それでも努力して職員として認められたり有能だとして後ろ盾が付いていい仕事にありつけることもあるから皆頑張って貪欲に技能を身につけて行くのである

親がいれば何かあれば親元にと逃げることができるが孤児院出身(おれたち)逃げ場がないというのもあるかもしれないが

「俺さ。孤児院出身だからって生意気だって言われて目の敵にされることが結構あってさ。後期を終えて一応職人としてやっていけるようになっても仕事を回してもらえなかったりしたんだけど。兄貴が魔道具の手入れとか魔道具の依頼とか持ってきてくれたから兄貴の知り合いとか兄貴が持っている魔道具がほしいっていう人達が来てくれてなんとか生活できていたんだけれど。今回のずるいがあって、同じように孤児なのにって思っている奴らから睨まれるようになってちょっとあれだったんだよ」あ~と空を見上げて息を履いている

「色々と面倒になって師匠のとこから出てきた」

「は?何いってんだ?」驚いて畑を耕すてを止めると

「色々と言われるのにも飽きたし。兄貴もこっちにいるから良いかなって思ってこっちに引っ越した。今は兄貴の便利グッツを一般的に使えるようにしたのを売りつつ姉さんのところの下請けをしている」

「それで生活は?」長椅子に近づくと

「普通に兄貴の便利グッツダンジョン関係者から好評だし。姉さんの仕事場からも依頼もあるし。そもそも兄貴を慕ってこっちに来ている奴らいるからそいつらからも仕事がちょこちょこ入っているから大丈夫だ」ヘラっと笑っているので安堵のため息が出た

「そもそもここに来たのもダンジョンの罠を確認しにっていうのが名目だしな」そう言われればそうだったと脱力しつつ

「それで、ずるいはどうしたんだ?」

「さあ?そもそも青田買いとか支援とかはギルドとかでもあるだろ?領主ができの良いガキを文官にって後期に入れるのもあるし。商人や職人だってそうだろう?」そう言われて確かにと頷く

青田買いや支援とかは普通にある

商人や職人が見習いで筋が良いのを見繕って後期に入れたりするのもあるし後期に通っているので筋が良いのに支援して卒業したら何年間働いたら支援金は帳消しだとかそういうのも

貴族とかでも文官や武官にいい奴をって言うのは

俺が支援した姉さんだって後期の後半は貴族に文官として青田買いされて支援されていた。

支援された貴族の領地で文官として働いている

そのコネで俺がここで仕事させてもらっているのだが

「手当たり次第ずるいずるいって言っていたわけではないけれども。青田買い支援がずるいってなれば、自分が有能だと示せなかったのが悪いし。そもそも前期まで出て読み書き計算と常識って言われる知識を得ているんだから。終わったら普通に就職できるだろ?」

最近調子が悪かった体温調節用の魔道具をバラして手入れしてくれたのが終わったのか。手渡して来たので受け取りつつ頷くと

「ということはそこまで有能でも無いってことは確かなんだが、それ以上は知らねえ。詳しくは姉さんか商人の兄さんたちが知っているだろうけど。余計なことして騒ぎ立てられたくねえし」そういい疲れた顔をしているので話はそこまでになった

ダンジョンの周りに配置していた罠も特に問題ないしとさらっと確認した弟が報告書を確認しに来た文官と一緒に帰っていったのは昼過ぎである

 いつもダンジョンから溢れ出た魔物を罠にかかったやつもそうじゃないやつも討伐する。大体、弱い奴らで子供くらいの背丈でキーキー言う二足歩行のやつとか。狼とか大型犬サイズのうさぎとか鳥とかそういうのが多い。

面倒なのは二足歩行の奴らで徒党を組むし知恵をつければ人を襲う。海運業が盛んで公益もしているので、船を襲われる被害が出るのは防ぎたい

海特有の魔物なら致し方がないが近くの無人島から湧き出た魔物が原因でというと航路としてちょっとというのが商人だろう。

ということで安定した航路を維持するために魔物が溢れ出ることが多い場所に管理小屋をおくのは理にかなっているし。ちょっと怪我をして年を取って討伐はできるが大きな稼ぎは難しいという奴らにはもってこいの仕事である

俺的には気ままに薬草を採取し気ままにダンジョンに潜って討伐をしてという仕事は気に入っているが、それだと周りが何かと不便らしい

ちょいちょい支援したことがあり俺的には依頼を十分にこなしてもらったと思っているが、それだともらい過ぎだからと困ると言われることが多い

故にちょうどいい無人島での管理小屋で仕事をしているのが、丁度いい

確かに料理人になった兄弟が魔道具を作っている兄弟に声をかけて旅先でも小麦粉と指定された酵母?と水を入れておけば半日でパンができる持ち運び楽なパン製造機とかスープのもとを乾燥させて固形にしたものを渡されたりしていたので、ダンジョンでも食事には困らなかったし欲しいという人間には紹介して購入を進めていた

缶詰を温めるだけでシチューができたりする水を入れて煮立たせるだけでスープができるのもあったりしたので、他の人間たちからどこで購入できるかとよく声をかけられたし

テントなどもちょっと良いもので作ったと言われて渡されたのが虫除けや魔除けが程よく施されていたものもあったので、護衛としての依頼を受ける時に重宝したが

そういうのを聞いてずるいずるいと騒いだのでは?とふと考えに至ったのでちょろっと私的な手紙にして転送しておいた

転送するために使った魔道具も支援した兄弟が作ってくれたもので、姉や彼が支援しているときの報告書的なものを送る時に使いたいと言われて渡されたものだ。

今は俺が送ることが多いが、昔は送られてくることが多かった

返事は数日後に報告書として帰ってきた

答えは半分あっていた

ずるいずるいと騒いでいた人間の後ろにはやはり俺が使っていた魔道具などの道具や食事として持ち込んでいた缶詰やスープの元を無料提供してほしいと思っていた奴らが一定数いたらしい

道具なども弟やその師匠などが扱っている商品として普通に売られているのにもかかわらずだ

自分のほうが良い腕をしているのにずるいとなったわけらしい

あと支援を家族からしてもらえなかった人や有能だと自分では思っているがもうちょっと足りないと支援されなかった人間なども便乗した結果らしい

純粋に騒いだ人間がそういう人間だということもあるらしいが。

といってもどうにもなるわけでもない

騒いだ奴らは常識知らずだと他の人間から距離を置かれているだろうし。騒がれた人間も関わりたくないと引っ越しているものが大半である

商人におろして売っている職人もいるだろうし引っ越ししても商品が手に入らないということは無いだろう。ギルド経由でおろしている職人もいるし制作できるレベルの職人にはギルドで有料のレシピとして公開しているので、ある程度の実力があれば作れる品物も多いと聞いている

なので、ずるいと騒がれることも無いだろうと末尾に記されていたが

確かにまたずるいずるいと騒がれたら嫌だからと距離を取るものもいるだろう。問題なければ良いのだがと思いつつ

兄さんのパンはパンじゃないしスープは美味しくない!!と言って料理人の兄弟が送ってくれた何を入れてもうまくなるスープの元や改良に改良を重ねてふわっとしたパンが焼けるようになった魔道具で作ったパンや長期保存できて温めるだけでうまいおかずが食べられる保存食を夕飯としていただく

にしても自分が世界の中心で何でも許されると思って生きているとかちょっとおもしろいなとは思う。誰もそれは違うと訂正してくれなかっただろうかとも思うが。他人のことであるし今後関わりたいとは思わないので放置一択である



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