無題
大きな都市からちょっと離れているが流通には問題ない地方に自宅兼工房を構えてお守りを作る仕事をしている。淡々と決められた手順で作っていく単純?作業であるが
人と一緒に作業するというのが苦手な方なので淡々と一人で仕事ができるのは気に入っているし。誰かの幸せを願うためのお守りである。
お守りが発動しなくてもいいし。発動しても誰かの大切な人を守るためなら問題ない。旅路の安全や航海・仕事の安全祈願などのお守りは特に気に入っているのでメインで受けている。
金属に魔力を込めて守りの文様を彫り込んでいく。スキルで自動でできるそれをせずに手作業でだ。それ故に協会に嫌われているが、それでも良い。いい仕事していれば手作業だろうがスキルだろうがどっちでも良いという商人に仕事をさせてもらっている。スキルで現れる文様を彫刻刀で掘り進んでいく。時々スキルとは違う文様を掘ったりするが、それはその鉱物や木に必要な文様なので特に木にせずに掘っていく
魔力を注げばスキルで作ることが出来るが
なんか違うなーと思い手作業で行っている。勉強のために入った工房でも変わり者とされたがやりたいことをさせてくれたが、協会が認められないとしたので、協会経由で仕事をしていないが。ありがたいことに生活できている
スキルより手作業のほうがブレスレッドなども作れるしストラップを作れるのでそちらを気に入っている。
安産祈願・健康祈願など教会に認定してもらわないと売れないものがあるが、教会に認定してもらっているので問題なく発動しているのが確認できているし教会にも卸している。
店舗販売はしていないが、商人経由や教会経由で依頼をうけて仕事をしている。接客とか苦手だし人との交流は知り合い以外は苦痛である。商人経由や教会経由ならチェックがしっかりしているので値切ろうとする人もいなくて素敵だし。依頼品を商人や教会に卸して依頼者に渡すようになっているので接客もしなくてもいいのは気に入っている。あと店を開いて売買もやっていると協会とか出てきてめんどくさいというのもある
後任を育てろとか互助会には色とか。そうゆうのは必要なことであるというのも理解できているが必要以上にかかわりたくないというか。今の協会のトップはスキルを持っているのにスキルを使わずに手作業でやっているのが異常だとか頭が狂っているとか色々と言われていたことがあったので、かかわりを持ちたくないというのが正直なところである
淡々と安全祈願のお守りを作っているとドアベルが鳴り来客がある
手を止めてドアの方を見るといつもと変わらずに派手な衣装を着ている取引行者の社長である。商品回収ではなく彼からの個人的な依頼を受けているのである
「よお」来客用の椅子に座るのでお手伝い妖精にお茶とお茶請けのお菓子を出してもらう。契約した妖精で仕事の手伝いと来客時にお茶を出すことを条件に雇っている。報酬は毎日のミルクとお菓子それと月一回の指定された属性の魔石である
手を付けていたお守りを完成させてから対応するために彼のもとにつけば、テーブルの上に壊れたお守りである。
「弟がな」と渋い顔をして言う彼にうなずく
ちょっとそそっかしいというか不運が重なる性質の弟さんを持っていて。町中を歩くとすりに合うか事故に巻き込まれるかという感じらしい。そんな弟が大切な彼は安全祈願とかそういうののお守りを身につけさせることにしている彼が依頼をしてからの知り合いだ取引の試験も兼ねていたので問題ないがなかなかないらいだよなと今更思う。丁寧に彼の弟が嫌がらない程度に美しい乱雑に扱っても大丈夫なお守りを求めている
いつも彼の眼の色と同じ守りをつかさどる魔石を組み込んでいるのだが、今回はそれがことごとく破壊されているとなると結構な事故だったのだろうと思いつつ何も言わずに壊れている個所を確認していると
「それが無かったら弟は今でも意識不明だったかもしれないといわれてな。毎年重ねて守りを強化しているのにその守りも破壊して最後の砦のそれで止められたって言われて。マジでやばかったみたいだ」少々気落ちしている彼だが。彼の弱点で逆鱗の弟に手を出した方がやべーことになるとは思わなかったのかと思う。狙った相手も実行犯も。
そんな話をしつつ依然持ち込まれていた素材を使って新しくするものは新しくしてそのまま使用するものはそのまま使用するという話をしつつその場で作っていく。自分の弟が身に着けるものは目の前で作ってもらった方が安心するというのであるから致し方がない。手のかかるようなものでもないしと思いつついつも通り安全祈願や怪我の軽減などの守り。強化するものをちょいちょい挟みながらブレスレッドを作り最後には彼の眼の色をした魔石を組み込んで定着させる
あとは弟さんの魔力に触れると発動するようにしているので出来上がりを確認してもらうのは後日となるが
「いつも通り丁寧に作ってくれて助かる。お前が作るのは肌に合うといってこれだけは忘れずに身に着けてくれているから助かってんだ」そういってほめられるとうれしいのでありがとうございますと感謝を述べる
代金はいつもの口座に振り込んでもらうことにして終了だが
「そういえば以前お試しで作った虫よけの守り。結構人気で作ってほしいという話が出ているが?」
「個人的には仕様書を書きますからそれを登録販売してもらえれば。それならどの工房でも手に入りますし簡単なものなので駆け出しとかに作らせてもらえれば」そういうと頷いているので店で受け持ってくれるのだろう
旅行に行くと虫が寄ってきてちょっとということが結構ある。徒歩とか馬車だと特に途中で宿に泊まれないときなど虫よけの薬草をたくがそれでも。被害があるときはあるし。
湿気ているところなど虫よけの薬草をたいたとしても意味がない奴もいるのである
辟易して作ったのが虫よけのお守りである。常時緩く魔力を通していると虫よけの薬草と似た効果が出るようになっている。魔力が少ない人でも魔石を組み込んで発動させればいい話である
そういう作用があるお守りはすでにあるが、効果が微妙という話をしていたのと自分も辟易していたので改造して今までのものとは全く違うものを作ってしまったので。登録して違うものだとしたほうが良いのはわかっているが
そういう手続をしないといけない場合は協会に出向かないといけない。ちょっと面倒だと放置していたものだ。手数料が取られるが、商人が対応してくれるのならそれでいいし。何割かの利益が私にも入ってくるし彼の店の売り上げもよくなる。最初は彼の子飼いが作って有名になったら他にっていうパターンでもよしである。私が目立たなければそれでいいという話である
そのほかにも数件同じように商品を卸しているところがある。卸しているお守りの傾向が違うものもあると一軒だけにしているといろいろと面倒なことになりそうなので
まあ、昔絡まれたときに助けてくれたのが彼らの店だけで他のは面倒事はという感じで助けてくれなかったし潮が引くようにいなくなっていった人たちなので信用度というのが低いというのもある
商人であるから面倒事にかかわらないように逃げるのは致し方がないことであるが。ちょっと今後もそうなったらと思うとやるせない気持ちになるので最低限のかかわりの身にしている
店の立地もそうである
流通はいいが田舎である。ちょっかいをかけてこようと思わない程度の距離を置くのがちょうどいいとして独り立ちしたときに周りに相談してこの地にしたのだ
みんながいなくなる中
あんたはそんなことしないと信じて一緒にいてくれた友人と金の生る木を手放すものかといった取引相手が居たからなんとなかったが。そもそも気に入ら居ないという漠然とした理由で仕事も知り合いもつぶされてという状況が気に入らないと私の見方になってくれた人もいるので人生面白いものである。
気に入らないといって私に味方になってくれた人が後見人をしてくれているので現在はちょっかいをかけてくることはないが、それでもチクチクと嫌味を言ってくるような連中であるかかわることはない
知らない人たちが仕事の話を持ってくることもあるが
その人たちは私がこの世に存在しているが気に入らないというので仕事を受けることはちょっととお断りしている。その答えにドン引きしている商人もいる
ちょっと遠い目をして思い返していると
「そういえば。お前が作ったお守りが欲しいとあいつら行って来たら発動しない守りをもってどうすんだ?って販売拒否しておいたぞ。あいつらもちょっと調子に乗りすぎたみたいだな」なんて言っているので
「何で私のお守りなんて持とうと思ったんでしょうかね?」
「普通に考えたらわからないが。そこらへんがあいつらだからな。仕方ないんじゃないか?」などといっているので。かかわりを持ちたくないのでそういうもんですかと答えておいた
よくわかっていない私を見て面白いものを見たように笑っているがそれ以上もそれ以下も言わず
じゃあなと帰っていった商人さんを見送り仕事に戻る
淡々と日々の仕事があることが幸せでうれしいことであると
楽しく好きなことを仕事にできることが幸福であるということをかみしめながら淡々と日々を過ごしている。




