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夢2  作者: 桃花
10/33

無題

母に呼び出されて夕方久方ぶりに実家に帰ったら玄関に犬がいた

しばし犬と見つめ合っていると

「お邪魔しています」と頭を下げてきたのは姉の夫である。はてさて何か用があって声をかけてきたのかと思ったら

姉に合わせるためか?ややげんなりしながらも一応顔を出したということを示すために

無言で靴を脱ぎじっと見つめてきた犬に手を出し存分に匂いを嗅がせてからひとなで。顎の下をぬるっと撫でてから仏間へ

終始無言で仏間に買ってきた菓子を供えてリンを鳴らして合掌してから振り向けばソファーに座る姉となんとも言えな顔をしている両親。

ようは終わったとそのまま帰ろうとする私に声をかけて止めようとする母に

「先週旅行に行ったときの土産だから食べて。一応賞味期限が長いやつだから大丈夫だと思うけど。口に合わなかったら捨てて頂戴」

それだけ言って玄関に行けばちゃかちゃかと後ろを追ってくる犬の足音

先程撫でた犬ではない方の犬がこちらを見ている。飼い主になにかしたのだろうかという顔をしているので

「何。同じ家族であっても相性というものが合ってな。君らのママとはちょっと相性が悪いだけだ、仲違いしているわけではないから心配しなくても良い」そう靴を履いてから犬に視線を合わせて声を掛けると

そうなのって感じで顔をかしげるそのさまが可愛い。

愛されているとわかっている犬がする仕草である。ああ可愛い

姉は結婚相手を間違わなかったようだ

良きである

それとこれとは違うのでまあ良いかと思いつつ

「じゃあね」一言かけて家を出る

久しぶに一家団欒をしてくれればそれでいいと思っているし

その一家団欒に私という異分子が入る必要性はない。苦手な人を無理に迎え入れなくてもいいと以前から行っていたのに懲りない

懲りないというか諦められないというのが正しいのだろう。

私が幼いとき

経済状況が思わしくなく子供を育てるのが難しくなった。そのときに真っ先に手を離されたのは私である

幼いから。ちゃんとしたものを食べてほしかったという母の気持ちも。子供を一人施設に預けることで多少家に余裕ができると思った父の気持ちもわかると言えばわかるし

その当時から愛想が悪かった私よりも姉のほうを残したのは理解できる

経済状況が安定して娘がもう一人いて施設に預けているということを思い出したのは預けられてから10年ほど経ったときである

それが遅いのか早いのかは判断できないが

私がいないのが普通だという家族の雰囲気ができあがっている中で再び仲に入れるという作業はお互いに苦痛であったと言うことだけのはなしである

それでも親としての責務を全うしたいという気持ちも大きくなった今ならなんとなくわかるが。あのとき

施設に預けられたとき

自分一人だけ残されて

ああ、捨てられたという気持ちは確かにあるし。必要ないから捨てたのだと

自分たちの娘は姉だけだというのを示された気持ちになったのは本当のことである

兄弟だからといって相性がいいわけでもないし。幼いときに離れてお互いにお互いが血がつながった他人という感じである。むしろ引き取られてからも居場所がないと感じて休みになると相談師に戻っていた施設の先生たちの方が。同じ施設の子供たちの方が兄弟であり姉妹である。感覚が合わないというかこういう風に考えてこういう風に行動するだろうなという予測がお互いにつくのが同じ施設で育った兄妹たちで、先生たちもこういう風になるだろうなという予測ができるという。母たちはそれが一切できないのでやらかしたという風にみられるのがよくあり引き取られて成人するまで一緒にいたが、その距離を詰めることはできなかった

一応親権者であるという責任がある以上。何かあれば報告・連絡・相談をして行動していたが、それはそれで物足りないというかなんというかという顔をされた。何をしたいのか親の行動もよくわからないので成人して家を出てから声がかからないと交流しなかった。姉の結婚式も一応身内だからということで顔を出したが、披露宴はパスした

親類の顔合わせで一応妹ですが、仕事が忙しくて交流がありませんと。医療関係の仕事をしていましてといって濁していた

仲が悪いといえるほど関係があるわけでもないので。

時々こうやって親が交流しようと声をかけてくるのだが。有難迷惑というかなんというか

本当に何をしたいのかさっぱりわからない親である

それを同じ施設の兄妹がやっている喫茶でぼろっと話すと

「なんかほかに報告ごとがあったんじゃねえの」といわれたが

「別に姉に子供ができようと関係ないし。そもそもその日は両親の誕生日とか節目のお祝い事とかそういうのではないはずだからなー」

「関係ないって」何を言ってんだという顔をされたので

「いやさ。親しく子供のころからお互いに悪さしてお互いにこの人は信用できるって感じるような人だったり。親しくなって友人とか知人とか言える間柄の人なら祝うよそれは。一応礼儀としては姉が子供が出来たらそりゃあ祝うけれども。温度差さね。さほどしたくしくもない親戚の子供がうまれたといわれてへーってなるでしょ?それと一緒な感じでは?」そういえば微妙な顔をしている。ここら辺の感覚は施設育ちだとわかりずらいのだが

「知り合いの知り合いの子供が生まれたといわれたら一応口では祝うじゃん。それと一緒」そういえば納得している。

「まあ、生まれたと知らされたら礼儀として祝いでも出すし。お年玉とか入学卒業とかの節目の祝いはするけれども。それ以上は身内の人同士でやってほしいは。」

「お前だって身内だろう」笑いながら言っているので

「心情的には他人ですけどね。私に迷惑が掛からないならどこでどうしようと幸せだろうが不幸せだろうが関係ないというか。私的にはあの時。私を施設に入れたときに親子の・姉妹の縁は切れているんだよね。私が預けられると知ったときの姉のあのどや顔。思い出しただけで面白い。親から離されるのが自分じゃないという安心感と遠くに置いて行かれる妹への勝ち誇った顔。まあ、あんなの見せられたらああ他人だなって思ちゃうさね」静かに注文したコーヒーを飲んで言うとびみょな顔をしている

赤ん坊の時に孤児として預けられた彼にはその感覚がわからないだろう

親というものに憧れがあるといっていたし。家族というものにも憧れがあるといっていただからだろう。親が迎えに来たらな行ってみた方がいいと渋る私の背を押してくれたのは。親と生活して二日で愚痴りに来て1週間で鬱になるといって実際に親元では落ち着かないと2週間経たずに最低限度の荷物をもって施設に帰ってきた私を何とも言えない顔をしていた先生たち。親に連絡を取って急に環境が変わってという話をして距離を置いていた時間が長すぎたからどうしたらいいのかわからないのでしょうと週末は施設で過ごすように取り計らってくれた

夏休みも冬休みも。

休みという休みはすべて施設で過ごしていて距離が縮まることもなくそのまま成人してしまった。それでだろう。どう接していいのだろうとなっているのだろうが・・・

「それはいいとして。連れてきていた犬がかわいかった。育成できるかといわれたらノーだけど。それでもかわいいと思えるのはかわいがっているからなんだろうけど。ああいう感じに育てられたらまっすぐに育つんだなーって思ってさ」犬の可愛さを伝えると頷き静かに聞いてくれているのはありがたい。言いたいことを話してすっきりしたので。傾聴代を含めて払う

システム的に愚痴をもらいしたい人とかいろいろな人が、ただ話を聞いてほしいという時に聞いてもらえるシステムで聞き上手な友人が喫茶を開くというのでそういうのもニーズがあるからという話をしてメニューに入れてもらった30分でワンコイン結構儲かると笑って言っていた確かにそうだろう。傾聴ができるスタッフを雇い入れて今では予約を入れて指名もあるそうである。それで恋愛とかに発展しないようにしているが。信用しすぎてという風なことがないように気を使っているらしいが。それでも勘違いする人も出てくるという話をしている時がある。

そのためにごつい人はいないがスタッフで不審者が出たときや問題が発生したときにと色々と対策を取っているらしい。話をして立ち上げまで色々と相談に乗っていたので、素人ながら対策について話をしているが、最近はそれもなくなって純粋に話を聞いてほしくてとか。リラックスしたくてコーヒーを飲みに行くという感じになっている。ほっと一息付けて時々優良だけれども愚痴を聞いてくれる。そんな場所があってもいいじゃないかと思う。

それにしても両親は何をしたかったのだろうか?と軽くなった心で思う

それにしても犬かわいかったと思う気持ちともに

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