表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鴉の騎士  作者: 詩から歌詞
42/43

【42話】 神殺しの聖槍

 

 嵐は過ぎ去った。


 その場にいた戦律の簒奪者の全員を殺したことで、

 スピカの烈火のような怒りは、徐々に勢いを弱めつつある。

 まだ本命を殺せてはいないが、その仲間を全滅させたとあれば、奴も心に傷を負うはずだ。

 今の自分と同じように、深い悲しみに暮れるといい。

 そんな想像が、彼女の怒りを風化させている。

 けれどその怒りに代わるように、彼女の心には虚しさが満ちていった。


「スピカ……大丈夫か?」


 立ち尽くすスピカに、真っ先に声をかけたのはジークだった。

 リレイズによって回復したネルとアイシスも、その後ろで心配そうな視線を送っている。


 スピカはジークの目を見た後、血で真っ赤に染まった自分の身体を見る。

 それらはすべて敵である彼らの返り血で、スピカの身体に一切の傷はない。

 当然だ。彼女は最強なのだから。


「ああ、心配ない。少し汚れただけだ」


 スピカはそう言って、視線をそらした。

 言葉通り、彼女は平気だった。

 少なくとも彼女自身は、そう思っていた。

 それでも───────


(私には、ちっとも、大丈夫そうには見えないよ……)


 長年、スピカを見ていたジークにはわかってしまう。

 アイシスやネルは知らないが、スピカは時々こんな顔をするのだ。

 孤独に押しつぶされてしまいそうな、寂しい顔を。


 でも、そんな時は、決まってシリウスが彼女を抱きしめていた。

 優しく暖かく、彼女の孤独を癒すように。


『大丈夫ですよ姉弟子、私がついていますから』


 なんてキザなセリフを言いながら、小さな小さな彼女の身体を愛おしそうに抱きしめていた。

 その時のスピカは少し恥ずかしそうにしつつも、彼の身体に腕を回して、頬を赤く染めるのだ。

 でも今はもう、彼女を抱きしめてあげる人はいない。

 スピカの唯一のよすがであったシリウスはもう─────


(彼の代わりに誰かが、君を抱きしめてあげないと……)


 ジークはそう思い、ゆっくりとスピカに近づき、手を伸ばす。


 あと少しで届きそうなところで、それはやってきた。


「─────ッ!?」


 スピカが何かに気付き、顔を上げた。

 不穏な風が吹いている。

 ざわざわと心が揺らぐような、不思議な風だった。


 スピカの目に再び怒りの炎がともり、ジークは思わず伸ばした手を引いてしまう。


「お前らは先に帰っておけ。俺もやることが終わればすぐに向かう」


 スピカはそう言うと、風が吹いてくる方角へと歩き始めた。

 アイシスとネルは頷いて、この場を離れようと歩き出したが、

 ただ一人、ジークはそれを拒んだ。


「……嫌だよスピカ、私はここで見てるからな」


 怒ったような声が出た。


 昔からそうだ。

 スピカは強いから、一人で戦おうとする。

 寂しくても、それを取り繕って戦おうとする。

 最強の騎士である彼女にとっては、それが最善の選択肢で……


 恐らくそれは正しい。


 だが、正しいからこそ、ジークは不安なのだ。

 彼女一人に責任を押し付けた結果、いつか後悔する日が必ず来る。

 そんな気がしてならなかった。


 シリウスが死んだ今、それを言うのは自分の役目だと思ったのだ。


 スピカは背中を向けたまま、それに答える。


「今回は相手が相手だ。お前らを徹底して狙われたら、俺も守り切れる自信がない。わかるだろう? ここに残られると、迷惑なんだよ」

「でも……」

「ジーク。これ以上、俺を困らせるな」


 諭すように、彼女はそう言った。

 迷惑だと、はっきりそう言われては、ジークも引き下がらずを得ない。

 悔しそうにした唇をかむジークの肩に、ネルの手が触れた。


「ジーク、スピカの言う通りよ。ここは危険だわ。今は離れましょう」

「……ああ」


 ネルの言葉を受けて、ジークも踵を返す。

 だが、このままではいけない気がするのだ。

 だから、彼女は最後にもう一度振り返って、


「スピカ……君は、君は死ぬなよ!」


 そう、声をかけた。


 

 最強は答えず、来たる何かに向かって歩いていった。

 不穏な風が吹く。

 それは終わりか、始まりか。

 命運を握る一羽の天使の後姿が、ジークにはやけに小さく見えた。



 *



 暗闇の中。

 スピカの視線の先から、悠々と一つの影がこちらに向かっているのが見えた。

 夜目を凝らしてその正体を探る。


 真っ黒なローブ。

 体躯はそれほど大きくはないが、それに見合わぬ威圧感を持ち合わせている。

 夜に溶け込むその姿は、スピカを殺すために月から送られてきた刺客のようにも見えた。


 そして、何よりスピカの目を引いたのは。

 月明かりを浴びて神秘的に輝く、蛇の仮面であった。


 明らかにこれまでのメンバーとは違う、異質な空気。


 一目見ただけで、スピカは確信した。


(こいつが、俺の弟を……)


 震える拳と、彼女の心。

 暗闇に光る赤い目が、まっすぐにそいつを睨みつけた。

 風化したはずの怒りが、めらめらと燃え上がるのを感じている。


「初めましてだな、スピカ・フォートリカ。会えてうれしいぜ」


 蛇……シャーレは男勝りな口調で挨拶をする。

 その声はいつもの可愛らしいものではなく、低くも重い男の声だった。


 それはこの場にいるであろうアイシスに、万が一にも身バレしてしまわないよう、彼女なりに配慮した結果である。


「お前の仲間なら、俺が全員殺したぞ」

「……ああ、そのようだな」


 あっけらかんとそう言われ、スピカの眉が吊り上がった。


「悲しくはないのか? 仲間を、殺されたんだぞ?」


 その質問は、いわばスピカのエゴだ。

 仲間を殺され、悔恨にむせび泣く仇を殺せば、気が晴れる気がしたのだ。

 けれど仇は悲しむどころか、それを嘲るように笑う。


「自分以外の人間の生き死になんてどうでもいいだろう。いや、君は違うのか?

 なら安心するといい。すぐに同じ場所へ送ってやる」


「ほざけ。殺されるのは貴様だ……覚悟は良いな」


 答えを聞くより前に、スピカは構えた。

 行き場のない怒りを込めた、居合の型。

 腰にしまった剣の柄を握りしめ、彼女の背中の翼が大きくなる。


「相変わらず、寒気がする戦気だ……

 でも、今は受けて立とう─────神成」


 シャーレが静かにそう唱えると、

 彼女の身体に赤き雷が宿った。


 その雷は、スピカの目には映らない。

 戦気と共に大きくなる殺意が、まっすぐシャーレにぶつけられる。


 最強の放つ、掛け値なしの最大火力。


 一見、冷静そうに構えているシャーレだが、

 仮面の下は冷や汗と焦りで満ちていた。


(この戦気……ヤバすぎる。いくら『神成』状態とはいえ、まともに食らったら死は免れないか……)


 性質変化の王『雷』の力を使っても、スピカの一撃を受けきるのは難しい。

 それがシャーレの判断だった。

 その読みは当たっている。

 今のままの彼女では、一瞬で塵芥にされてしまうだろう。


(仕方ないわね。少し惜しいけど、背に腹は代えられないわ)


 シャーレは懐から黒い宝玉を二つ取り出し、力を込めて砕いた。

 不思議な戦気が彼女を包み、それは赤い雷へと変化する。


 彼女が砕いた宝石の正体は、『黒戦神の宝珠』。

 黒の戦神イヴの戦気を込めて作られたそれは、適合者が使うと一時的ではあるが彼女の戦気が扱える。

 スピカとの戦闘前に砕いた一つと合わせて、全部で三つ。

 ここまでしてようやく、シャーレとスピカの戦気の大きさが並んだ。


 ─────だが、それも一瞬のこと。


 スピカの戦気は今この瞬間も、どんどんと膨れ上がっている。

 最初ほどではないものの、最終的には二人の戦力差は大きく開いてしまった。


「バケモノめ。希少なアイテムをこんなに使わせやがって……何としても、一矢報いてやるわ」


 自分が格下であることを認識しつつも、彼女は引かない。

 にやりと嬉しそうに口角を上げ、彼女は目を見開いた。


(集中集中集中集中集中集中……集中ッ!!!)


 狙うは一瞬。

 二つの刃が交わる瞬間、そこに彼女は全てをかける。


「─────死ね、撃滅の剣(アナイアレイト)

「集中ゥウウウウウウウーーーーーーーーッッ!!!」


 シャーレは全身の戦気を一か所に集中させた。

 剣の先、僅か一センチの幅に、莫大なエネルギーが収束する。


 ─────キュィィィィィィイイインッ!!


 二つの力は交わり、霧散した。

 スピカが放った渾身の一刀が不発に終わり、彼女の顔に驚きが浮かぶ。


「俺の撃滅の剣(アナイアレイト)を、相殺しただと?」

「ふふっ……いいね、その顔が見たかった!」


 ガキィンッ!!

 油断した一瞬のスキをついて、シャーレがスピカの剣を弾き飛ばした。

 彼女の剣は弧を書き、宙を舞う。


 状況は一変したように思えた。

 この戦いに傍観者がいたとしたら、誰もがシャーレの優勢を確信しただろう。

 けれど、そうではなかった。


 剣を奪われた─────その事実はスピカにとって、何の意味もなさないのだと。

 シャーレはすぐに思い知ることになる。


 反撃はノータイムで行われた。

 撃滅の剣が相殺されたとみるや、スピカはすぐに武器を拳に切り替える。

 殴る、殴る、蹴る、殴る。

 シリウスと似通った戦闘スタイルだが、その威力は比べるに値しない。

 一発一発が核弾頭のような彼女の攻撃に、シャーレは引かざるを得なかった。


 引いた彼女を、スピカは逃がさない。

 即座に追いつき、乱戦に持ち込む。

 そして始まる、ゼロ距離のインファイト。


「クッ!!」


 シャーレは最強の拳を避け続ける。

 どうしても避けられないものだけ、戦気による相殺を図った。


 拳が当たった場所に、バチバチと赤い雷が弾ける。


 一瞬たりとも気を抜けない戦い。

 神経をがりがりと削って、彼女は避け続けた。

 けれど、それも長くは続かない。


「ッ!!」


 スピカの拳が、突然その重みを増した。

 攻撃をいなしたシャーレの手が、ビリビリと痺れる。


「思い出してきたよ。本気の出し方ってやつを」


 その言葉に、シャーレは心の底から震えた。

 このバケモノ、本当に底が知れない。


紅の閃光(レッドスプライト)ッ!」


 これ以上受け手に回るのはまずいと判断したシャーレが、

 デコピンの要領で指先から雷光を放つが、


「効かん」


 スピカは素手でそれを弾き飛ばした。

 並の攻撃では彼女は止まらない。

 加速する連撃に気圧され、シャーレの鉄壁の防御に、ついに穴が開いた。


「あう!?」


 ぐらりとよろめいた身体。

 視線を外したのは十分の一秒にも満たないわずかな時間だったが、

 トップギアに到達した最強の拳が、目前まで来ていた。


「避けてみろ、避けられるものならな」


 一瞬の溜めの後、最強は拳を撃ち抜いた。

 かろうじて間に合った二本の腕が、最強の拳を正面から受け止める。


 バキバギゴキッ!


「─────ぐあぁああッ!」


 シャーレの両腕は、彼女の拳に触れた瞬間に折れた。

 身体は吹き飛ばされつつも、空中で戦気による自己回復を試みる。

 全身の戦気を腕に集中させ、応急処置ではあるが骨がくっついた。


「このじゃじゃ馬が……とっておきを、喰らいやがれッ!」


 シャーレは口の中に滲む血の味を噛み締め、必死の抵抗を試みる。


 激しく痛む腕に宿る、熱を持った赤い雷。

 螺旋を描く二本の雷が交わり、長い一本の槍が出来上がった。


熱月の雷槍テルミドォォォォォオオルッ!!!!」


 右手に握りこんだ槍を、全速力で投擲する。

 シリウスを殺した熱い雷が、スピカへとまっすぐに向かっていった。


(流石にこれは、無傷では受けきれないはず……え?)


 槍が手から離れた瞬間、シャーレはあることに気が付いた。

 まるで鏡のように、スピカが自分と全く同じ動きをしていたのだ。


 彼女もまた、こちらに向かって戦気の槍を投げていた。

 雷でもなく、光でもない。

 不思議な力を持ったそれは、かつてスピカが編み出した、神を殺すための力。

 例えるなら、『聖の性質変化』とでもいうべきか。

 

 『光の性質変化』を極めた先にある、幻の戦気を纏ったその槍を、

 白の戦神アダムは敬意をこめて、こう名付けた。


 ─────神殺しの聖槍(ロンギヌス)と。


 シャーレの放った赤い雷の槍は、

 神殺しの聖槍(ロンギヌス)に触れると一瞬にしてその姿を消した。


(神の力が、かき消された!?)


 驚いたのもつかの間、雷を貫いた槍は光の速度でシャーレへと襲い掛かる。


「─────グゥッ!!」


 間一髪。

 身体を後ろにそらして、シャーレは槍を躱した。

 じゅうう……と音がして、触れてすらいない蛇の仮面の一部が焼け焦げた。


「あっぶねぇぇぇええええええ……」


 露わになった口元から、安堵の声が漏れる。

 わずかでも当たっていれば、彼女の身体は再起不能の傷を負っていただろう。

 最強が放った槍は、それほどの破壊力を秘めている。


「ぬるい雷だ。転生して随分と衰えたな……黒の戦神、イヴ」


 スピカの口から出た、シャーレの真名。

 彼女はいつから気付いていたのだろうか。

 

 今となっては遠い昔、神の時代を生きたふたりが再び出会った。


「なーんだ、ばれてたのかぁ……スピカちゃんは相変わらずだね。相変わらず強くて、嫉妬しちゃうよ」


 正体を見破られた彼女は魔法を解き、普段の可愛らしい少女の声へと戻った。

 スピカも自戒律を解き、目の前に立つ古い知り合いの姿を拝む。

 仮面の下の素顔は見えないが、所作や振る舞いは間違いなく黒の戦神のものだ。


「答えろイヴ。なぜだ、なぜ俺の弟を殺した?」

「うーん……それはちょっと、教えられないかなぁ。乙女の秘密ってやつ?」


 欠けた仮面から覗いた口元に、人差し指を当てる。

 スピカは怒りを堪えるように、もう一度ゆっくりと問いかけた。


「何か理由があるのなら、頼むから教えてくれ。シリウスを殺さなければならない、やむを得ない理由があったのか?」


 それは懇願のようにも聞こえた。

 スピカは今にも泣きそうな顔をしている。

 その表情の意味を、シャーレは知っているのだろう。

 けれど、彼女はその懇願を突っぱねた。

 

「理由なんてないよ。もったいぶってみただけ。シリウス君は、殺したいから殺したんだ」


「……本当に、理由はないのか?」


「しつこいなぁ。スピカちゃんが思っているより、私は傲慢なんだよ。ここで君も殺しておこうかなって思うくらいにはね」


 ガチャっ。

 会話の中で自己回復を行ったシャーレが、再び戦闘態勢に入る。

 それを見たスピカは震える唇を力いっぱい噛み締め、


「もういい。俺は弟の為に、ここでお前を殺す。それだけだ」


「自分の為、の間違いでしょ」


「……かもな」


 スピカの背中に再び翼が宿り、戦闘が再開された。

 そこから先は長くはなかった。


 六手か、七手。

 交わった拳の数だけなら、もっと少ない。


 圧倒的な力で、スピカは彼女をねじ伏せた。


 ─────ドシャッ


 ボロボロになったシャーレの身体が、地面に横たわる。

 黒戦神の宝珠で得た戦気が切れたのか、自己回復の速度も大幅に落ちていた。

 もう彼女は、立ち上がることも出来ない。


「終わりだイヴ……懺悔するなら、するがいい。到底許されるわけもないが。

 貴様の死をもって、せめてもの贖罪としよう」


 スピカは地面に寝転ぶシャーレの首を掴み、その体をゆっくりと持ち上げた。

 宙に浮かぶ、シャーレの体。

 燃え盛る怒りに任せ、その細くもたくましい首を折ろうと力を籠めるが、


「……ふっ」


 欠けた蛇の仮面から、剥き出しになった口元が微かに持ちあがる。

 死を前にして、彼女は笑っていた。


「何がおかしい」

「いやぁ……悪いねぇスピカちゃん。この勝負、どうやら私の勝ちみたいだ」


 苦しそうな笑みと共に出た、高らかな勝利宣言。

 負け惜しみだと判断したスピカが、彼女を殺そうと手刀を構えた─────その時。


 ピカッ!!!!!


 突如、眩い光が荒野を包んだ。

 光の発生源は、神殿。


「まさか……この光はッ!!」


 スピカの顔に、かつてないほどの驚きが浮かんだ。

 茫然と光を眺める彼女に、シャーレが声をかける。


「……今更気付いても、もう遅いよ。わかるでしょスピカちゃん。

 この懐かしくも忌々しい戦気、君にも覚えがあるはずだよ」


「─────っ!!」


 ドサッ。


 スピカはシャーレの身体を放り捨て、神殿へと全力で走った。


 もう手遅れだと頭では理解していても、心がそれを拒んだのだ。


 神殿に現れた圧倒的な戦気と、傍らにある二つの戦気。

 スイとテオリカ。神殿内部にある二人の戦気を、スピカはあろうことかここで初めて感知した。

 普段の彼女なら、見逃すことなどありえなかったであろうふたつの戦気。

 しかし、彼女は気付けなかった。


(どうして……どうして気付かなかった!)


 走りながら、スピカは自分の愚かさを責めた。

 怒りで我を忘れ、ジークに忍び寄る影に気付けなかった。

 蛇が単体だと勝手に決めつけ、感知を怠った。


 シャーレには端から戦う気など無く、時間が稼げればそれでよかったのだ。

 それを見抜けなかった、スピカの負けである。

 スピカは試合には勝ったが、勝負では完全にシャーレに負けていたというわけだ。


「スイ、テオリカ……二人とも、首尾よくやってくれたみたいね。ようやく、この時が来たわ……」


 仮面をとり、勝者たるシャーレは微笑んだ。

 目的は達成された。

 戦律の簒奪者が、求めていたもの。

 彼らにとっての救世主が、この世界に君臨する。


「さぁ、思う存分暴れなさい─────逢魔の姫(ヴィオラ)


 眩い光が暗闇を照らし、魔神の復活を知らせた。

 月明かりに似た、青白い光があたりを包む。


 彼女は逢魔の姫。またの名をヴィオラ。

 美しい花の名を冠した、混沌の獣である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ