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4/5

第4回(終)

 さて、前置きばかりだったこのエッセイ。

 そろそろ『本題に入れ!』とお叱りを受けるかも知れません。


 今から本題どころか、これなら絶対に


『本格ファンタジーというジャンルで、小説家になろうで読まれる方法』


 つまり、答えを発表します。

 本当は教えたくないのですが、ここまで前置きばかりだったこのエッセイをここまで読んだあなたに、私から特別サービスです。


 しかも、めちゃくちゃシンプルで、わかりやすいはずです。

 



 まず、ここが一番大事な点です。


『天才として生まれてくる』


 これが大事です。

 生まれてこれました? ならご両親に感謝して下さい。


 そして次にやるのは、古今東西のメインカルチャー、サブカルチャー、あらゆる知識を獲得し、それに精通してください。


 そして知識を活かし『あなたが今書きたいと思ってる本格ファンタジー』を書きます。


 そして『小説家になろう』というサイトの仕組みを完全に理解し、作品を投稿して下さい。


 そうすれば、100%読まれるでしょう。

 小説家になろうどころではありません。

 恐らく最終的には、全世界で読まれる傑作として『これぞ本格ファンタジーだ!』と喝采を受け、末永く読まれるでしょう。


 終わり。

 








 お前舐めとんか、と思うじゃん?

 いやでも、これが実はそうじゃないんです。



 自分の事を、そうだと思ってそうな奴が、マジでいーっぱい溢れてるんです!



 スヌーピーにある名言。


『配られたカードで勝負するしかない』


 凄く好きな言葉です。

 だけど、びっくりする事に


『自分のカードをろくに見もしない癖に、オープンしたらロイヤルストレートフラッシュだと思う奴で溢れかえっている』


 のが、現状なのです。

 第2回でお伝えしたように、実際私もそうでした。

 なんなら今も多分、自分の手札をちょっと強めに考えてます。


 はっきり言います。

 上に書いたように、答えはあります。


 ただそれが、あなたにどれだけ当てはまってるかについては責任持てません。


 我々に配られたカードは意地悪です。

 角度によって、数字も絵柄もコロコロ変わります。

 スペードのエースだと思っていたカードが、ダイヤの2だったなんて事はしょっちゅうです。


 ただ、カードの種類を絞る方法はあります。


 作品を書き、オープンする事です。


 そうすれば告げられた役から、大体のカードが絞れます。


「ブクマ5、ブタです」

「日間20ptランキング外、ワンペアです」


 そしてポーカーとは違い、やる気さえ続けば、いくらでもチェンジは可能です。







 農閑期の英雄が発売されたあと、編集さんから連絡はありませんでした。


 ああ、打ち切られたんだな、と思いました。


 一年ほど、好き勝手に書く日々を続けました。

 気が向けば書くし、向かなければ書かない。


 その間に、「なろうRaWi」という、タイトルやあらすじを判定してくれるサイトが生まれました。


 追放する側の話でも書くか、とは思ってましたが、思い付く展開にはどれも不満があり、書くには至りませんでした。


 その間続けていたのは、何となくランキングを上がれそうなタイトルを思い付いたら、なろうRaWiで判定してみて、S判定が出るまで試行錯誤する事でした。


 S判定を取ったタイトルのストックはどんどん溜まりましたが、それらを書くことはほとんどなく、書いても途中で放り出しました。


 俺はこんなもの、我慢して書きたくない。

 書籍化はそりゃしたいが、その為に書きたくも無いものを書くのは、俺には無理だ。

 そう思ってました。

 


 2021年を迎え、今と同じ2月。

 その日も、なろうRaWiを弄ってました。


 今日は以前から構想のあった、追放する側の話で試行錯誤してみよう。


 そう思って一時間ほど経ち、S判定が出たときに、頭の中にバチっと、何かが組み立てられた感覚がしました。


 これは書かなければいけない。

 おそらく八時間くらい執筆を続け、現在コミカライズされた作品の前身となる『簡易版』が生まれました。


 文字数約35000字。


 1日の執筆量で言えば、過去最高記録です。


 私は思いました。

 今の自分で書ける全力を出せた。


 あらすじはこうです。


 超常の存在から一冊の本を与えられた青年は、本に記される情報を元に、魔王を死に導いていく。


 読み終わった方からの感想に


「スーファミ時代のRPGみたいな雰囲気がある」


 と評価されました。

 






 しかしこの物語のスタートは


「お前は追放だ」


 という、なろう読者ならお馴染みの話です。

 長文タイトル、既視の展開。

 入りやすさ重視の入り口です。


 興味を持って入ってきた人のほとんどは


「ふーん、流行りの逆張りかぁ」


 くらいの、軽い気持ちだったと思います。




 面白い物が書けた、と思いました。

 だけど反面、こう思いました。


 恐らく連載中にランキングに載ることはないだろう。


 追放ざまぁに溢れるランキングの状況と、小説家になろうの仕組み、その両方を鑑みて思いました。

 


 もしかしたら完結ブーストで、20位くらいまでは上るかも知れない。


 完結ブーストという言葉をしらなければ、調べてください。



 結果として、1日に最大6500ptを獲得し、ハイファンタジーのランキング二位となり、コミカライズの打診を頂き、内容をブラッシュアップして完全版を書き上げました。



 完全版は30件を超える、大量のレビューを頂きました。


「この一年で読んだ作品で一番面白かった」

「長年未登録だったけど、この作品にレビューしたくて今回会員登録した」


 嬉しい感想も沢山頂きました。


「自分が思い描くファンタジーを体現している」

「初めてこのサイトで小説を読んだ、と思えた」



 そして、編集さんが考えてくれた帯にはこう書かれています。


『【死に戻り】本格ファンタジー』








 私が書いた作品が本格かどうか。


 私にはわかりません。

 誰かにとってはそうかも知れませんし、あなたが読んでも「ただの逆張りだろ」としか感じないかも知れません。


 ただ、私は自分が持っている手札を、全力で出しました。

 作品に掛ける意気込みは、時にダイヤの2を、3くらいにはしてくれます。


 ワンペアが、その時は運良くツーペアだと判定される事もあります。


 ただ少なくとも、ロイヤルストレートフラッシュが、ブタと判定される事はないと思います。




 大事なのは、己を知ること。

 でも結局、己なんて完璧にはわからないです。




 山に残っているカードは、人によって違います。


 才能がある人間なら、強い手札がすぐに揃います。

 残念ながら才能が無ければ、なかなか強いカードは回ってきません。


 あなたの山に絵札やエースがあるかは、私にはわかりません。



 小説家になろうに、多くの人が『本格』と呼ぶ作品はあります。


 あなたの手札で、それらの作品に勝てると思うなら、開いて見てください。


 ただ、それで負けたときに、その事実を認めて下さい。


 面白い物が書けただけで満足せず、小説家になろうの仕組みも調べ上げ、1日に何話投稿するのか、ランキングの状況や他の作品の動きも観察しながら、戦略を練って下さい。


 どうしても短文タイトルがいい、と思えばそうしてください。


 ただ、『短文タイトルだから読まれない』という言い訳するくらいなら、長文にしてください。


 言い訳は一つずつ潰し、言い訳できない所で勝負して下さい。

 自分のカードを知る最良の方法です。








 このエッセイ自体、ある人にとっては有益で、ある人にとっては無価値です。



 ハッキリ言えば、このエッセイで長々書いてきた事なんて、分かってる人は分かってます。


 興味を持って読み始めたものの、こう思ってます。



 ──こんなエッセイに、少なくとも『自分にとっての正解』が載ってるはずがない。


 もし、そんな事にも気付いていなかったとしたら、自分は大きく出遅れてると思わなければいけないと思います。


 見えているカードは、確実に間違っているからです。






 第1回で、小説家になろうで活動する事を営業に例えました。


 今の時代、少し検索すれば『小説家になろう営業マニュアル』は、いくらでも集められます。


 Twitterで質問すれば、色々な人が答えてくれるでしょう。


 ただ、マニュアルは、使ってはじめて血肉になります。

 マニュアルに、自分なりの注意書きをドンドン加えていかなければなりません。


 実践し、自分なりの方法論を確立する。

 少しでも読まれるために、研究し続ける。


 その中に、自分が好きだと思う要素を、少しずつ加えていく。





 それを続ければ、あなたの作品は誰かに『これは本格ファンタジーだ!』と感じて貰えるかも知れません。

 そして、あなたがいくら『これは本格ファンタジーだ!』と感じていたとしても、他の誰もそうは思わないかも知れません。



 結局のところ、人は書けるものしか書けません。

 ただ、真っ先に止めるべきは


『俺が書いてるのが本格ファンタジーだから、なろうで読まれないんだ』


 そんな言い訳を止め、その言い訳が正しいと思っている集団から距離を取る事です。


 それは、天才でも凡人でもできます。

 人は誰だって、できる事から始めるしかありません。


 そしてできる事をやらないのは、サボってるだけです。




 うーん、とっても耳が痛い話です⋯⋯。

 最近サボってばかりだから、言ってて辛い。



 というわけで、自分の事を棚にあげ続けた本エッセイは終わりです。

 長々お付き合い頂きありがとうごさいました。


 では!

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― 新着の感想 ―
[一言] 私は読み手側なんですが面白い作品増えて欲しいので ブクマと星入れときますね~ まぁ、分析しない勢はこのエッセイがランキング載っても目もくれないのでしょうが…
[良い点] 面白かった この面白さ…多分これは本格ファンタジーですね… [一言] 本格ファンタジーとは奥行きであるというのは非常に共感できる考えだなと思いました。 そうなんですよね…書き割りだと思って…
[一言] 結局のところ「本格ファンタジーってなに?」という問いに明確に答えられる人に今までの人生で出会ったことないんですよね。 あえてなろう界隈でそれを語るなら「ランキングに載れないその他大勢の蔑称?…
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