プロローグ
「風すげっえぇぇぇぇぇ!!!!」
降り注ぐ雨粒が小石をぶつけられているようで痛い。季節は梅雨になったばかりで現在の時刻は昼過ぎ。空は神が激怒したかのように荒れに荒れていた。なぜその天候状況で外出しているかというと、“人命救助”のためだ。
お前はどんな職業なのか? と聞こえてきそうなので先に答えておくと、俺の職業は高校生だ。もう一人仲間がいるがそちらは天才ではあるが女子高生だ。すまん。台風以上に混乱をきたす情報だったな。
しかし事実だ。場所もなんら変哲もない普通の街中だ。なら、本職の救助隊に通報すればいいというのが普通だろうし、本心をいえばそうしたい。
けれど、残念ながらそれはできない。彼女を助られるのはこの俺、郷田源太郎と隣の牧之瀬天恵だけだろうから。
「刻一刻を争う事態だけど、安全第一、慎重にいくわよ」
小柄で小さな胸に決意を秘めながら、レインコートを着た牧之瀬天恵は俺を戒める。確かに急ぐ必要はある。だが、これだと俺達がどうしてこうなったのかわからないのは色々と危険だろう。なので、リスクを避けるために俺達どうしてこうなったのかわかりやすく説明するために時間を少し戻そう。