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5.花束の意味

翌日、昨夜の出来事を思い出しながら、ふわふわした気持ちでいると陛下から贈り物が届いた。


「こちら、陛下よりレイレナ嬢への贈り物でございます」


渡されたのは真っ赤な薔薇の花束とお茶会の招待状。



薔薇の花束は全部で99本あった。




99本の赤い薔薇。

小さい頃にお母様から教えて貰った事がある。

薔薇の花には色と本数で意味が変わると……。


一輪の赤い薔薇は『一目惚れ』

11本は『最愛』


そして99本の赤い薔薇は『永遠の愛』


頬が熱くなる。

嬉しい。


もしかしたら夢でも見ていたのかしら?と思っていたけど、私の腕の中の真っ赤な薔薇の花束が夢では無かったと教えてくれている。






「レイレナ!!」


名前を呼ばれて振り返ると、従姉弟のアレンが立っていた。


「アレン?」


急いで来たのか肩で大きく息をしていて少しだけ青い顔をしている。


「昨夜の夜会で国王陛下と踊ったって本当?」


え?

もうアレンの耳に入るくらい噂になっているの?


「ねぇレイレナ!!答えて!!」


「えぇ、踊ったわよ」


アレンの顔が、強張る。


「二曲続けて?」


小さく頷くとアレンはフラフラと部屋を出て行ってしまった。


何しに来たの?







「お姉様、その花束どうなさったの?」


アレンに気をとられて居ると

いつの間にか私の可愛い弟妹が居た。

6歳下の妹リリアは瞳をキラキラさせて薔薇の花束を見つめている。


「陛下から頂いたの」


「お姉様!!おめでとうございます!!」


私の気持ちを知っているリリアは頬をピンク色に染めて喜んでくれた。

お祝いの言葉を言われるのは、まだ早いと思うのだけど……でも求婚されているし……。

良いのかな?


「ありがとう」


何だか恥ずかしくて頬が熱い。


「ところでランベール家の馬車が見えましたが、もしかしてアレン兄様が来てました?」


5歳下の弟レイド。

最近、背が伸びてますますお父様に似てきた。


「さっきまで居たのだけど……」


何しに来たのかよく分からないと答えるとリリアの瞳が一瞬くもる。


「リリア、まだ間に合うから急げ」


レイドがリリアの背中を押すとリリアは部屋を飛び出して行った。


状況が飲み込めずにいるとレイドと視線が重なる。


「姉様は、ご自分の事だけ考えていれば良いのですよ。御礼状の準備をしなくて良いのですか?」


そうだった!!

それにしてもレイドは5歳も下なのに私より大人びてるのは何なの?

見た目だけじゃなくて中身もお父様にそっくりね。




御礼状を書き終えると一応、お母様に確認をして貰った。

変な事を書いていたら私だけじゃなくてルグラン家全体の問題になってしまう。


「問題無いわ」


「ありがとうございます」


お茶会のマナー大丈夫かな?

もう一度、お勉強しなおした方が良いかしら?


「あの、お母様……私、もう一度、お茶会のマナーをお勉強したいのですが……」


「レイレナのマナーは完璧よ。自信を持ちなさい」


「でも……」


お母様は、にっこり微笑んでいるけど、私は不安を隠せない。


「そうだわ!!今の貴女にピッタリな人が居るのよ。彼女は所作も美しいし貴女へのアドバイスも完璧だと思うわ」





数日後、私の目の前には騎士団長のリアムおじ様の奥様ダイアナ様が居た。



「レイレナ様の作法は完璧です。きっと陛下も惚れ直すと思います」


ダイアナ様はニコニコ微笑みながらお茶を飲んでいる。


「ダイアナに言われると安心するわ。ね、レイレナ」


「はい。ありがとうございます」


所作が美しいダイアナ様に誉められると嬉しい。


「焼菓子をお土産に持っていかれてはどうですか?」


焼菓子?


「陛下は焼菓子が、お好きな様ですよ」


焼菓子なら少しだけ自信がある。


陛下に「美味しい」って言って貰えるように頑張る!!


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