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神と季節

作者: 赤頭巾

1.

文明が滅び地球は終わり、それはやがて宇宙にまで伝播した。人類が終ぞ届き得ることのなかった宇宙におけるその他の文明、それも終わっていった。残ったのは空っぽの宇宙。

それすらも失われたのだ。しかし終わりの後に待つのは始まりである。宇宙は再構築された。銀河が生まれ太陽系が生まれ地球が生まれた。しかしこの前の宇宙とは違うことが一つある。滅びた人間の意思は宇宙の終わりにさえ耐えきり新しい宇宙で一つになった。

意思の集合体、それを「神」という。

2.

神は地球に手を加えることにした。生命を生み出す前に環境を整えなくてはならない。

なので神は四季を生み出すことにした。だが、前の宇宙で人類は厳しすぎる環境に耐えられなかったため滅びた。それを踏まえた神は各季節に意思を与えて自ら判断を行えるようにした。

3

最初の数千年は良かった。

しかし、意思を持った季節は争いを始めたのだ。地球中で考えたら夏や冬の出番は多い。その季節以外では他の季節は忘れられてしまう、それが春や秋は不服だったのだ。

「私にも、もっと多くの出番をください。私や秋は体験した事がない人すらいる始末。なのに夏や冬ときたら多くの人に認知されている。どうにかならないのですか」

春は神に直談判した。

「えぇ、アナタの言いたいことは分かりました。しかしバランスを考えたら現状が一番なのです。アナタの言い分を通すわけにはいきません」

中性的な声が春の嘆きを退けた。

「ならば好きにさせていただきます」

春はそう言った。

4

人類が春と規定する季節、つまりは4月あたりだろうか。気温的にも過ごしやすい時期だ。しかし、春はもうそんなことはしなかった。

「夏や冬が多いのは特徴的なため」

といった考え方で自らの温度を時には上げて時には下げた。

人類史に残る異常気象だ。これには流石の神も黙っているわけにはいかなかった。

「やはり意思を与えるからこんなことになるのだ」

「しかし、意思を与えた方が良いというのは事実。現に数千年は大丈夫だった」

「駄目だ駄目だ、現状を考えると良いとは言えんだろう」

「ならば意思を奪うというのはどうだ」

「いいだろう。賛成だ」

全ての季節から前の宇宙と同じように意思が奪われた。

5

これより地球、そして宇宙はかつてと同じ末路を辿ることになる。

神と呼ばれたモノは信仰される対象失い、力をなくし宇宙への干渉力のほとんどを失った。きっと次の宇宙では神は生まれないだろう。神の操り人形だった人間には滅びに耐えうる意思など無かったのだから。しかし次の宇宙で同じ事が起こるのならばその次の宇宙では神は再び現れる。願わくば滅びなど訪れるよう。神はそう思いながら消えていく。

全ての宇宙が同じ結末を辿ることを知らずに

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