エピソード3 絶望した少年は生きる希望に愛を向けている
その後、今度は迷子にならず家にたどり着くことが出来た。
「誰なんだろ?あの男は...」
そう呟きながら家のドアを開ける。すると、、、
「お帰り〜!!」
家の中から黒い毛玉が飛び出した。
僕は反射的に避けた。結果、毛玉は地面に転がった。
いや、正確には黒い毛玉のように見える女性だが・・・
「いったぁ〜い。もう、柊ちゃんったら恥ずかしがり屋なんだから、もう。」
なんて額をさすりながら言っている。
「僕は恥ずかしがり屋じゃないし、避けるのはいつもいつもドアを開けると抱きついてくるからだって事を察して欲しいな...楓姉さん。」
そうこの毛玉のような服を着ている女性こそ僕の唯一の家族である従姉妹 楓姉さんである。その手首には、昔僕がプレゼントしたプラチナ色のブレスレットが付いている。
「いいでしょ〜!大好きだから少しでもくっついていたいんだもん!」
「だからって、玄関前は道路なんだから人に見られて恥ずかしいじゃん...」
「ふっふ〜ん!見せつけてるんだよ〜!!」
「僕の気持ちも考えてよ...」
まぁ、そう思ってくれてるのは嬉しいんだけどね...
だって、僕にとって最後の家族であり、全てに絶望した僕の最後の生きる希望であり、、、そんな僕の最愛の人だから...