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その六十六 因果応報

「治部少輔様に申し上げます。細川家の明智(たま)様、屋敷に火をかけ御自害に御座います」


・・・・ ぬかった ・・・・


三成は珠の捕縛を与力に任せたことを心底後悔した。


この事態が東軍に伝わり、徳川に従う豊臣大名達が己に対して更に憎悪を燃やすのは明白であった。


・・・・ よりによって細川の珠様が御自害とは ・・・・ 悲劇に過ぎよう ・・・・


三成は珠が密かに切支丹に帰依していた情報を掴んでいた。


切支丹であれば教義により自害は在るまいと侮って与力に捕縛を任せきっていた。


三成にとって珠は人質として最も利用価値が高い妻女だった。


細川忠興の珠に対する執着は尋常の域を超えていた。


それ故に此度の悲劇により忠興の怒りもはや何人も留める方策が見つからないであろう。


三成は最早(もはや)これ以上大坂城に東軍の妻子を呼び寄せることを断念せざるを得なかった。


大名家の妻女たちに圧倒的な人気と影響力を持つ北政所(おふくろ)様に西の丸に入っていただき、豊臣大名の妻女たちを説得していただき、それをもって大名連中を東軍から引き剥がす計画であった。


秀頼君の御出生に何の疑いも無き事。


淀の方と北政所(きたのまんどころ)様が仲睦まじく秀頼君を愛でている姿を見せ、豊臣家の家内も跡継ぎも磐石であることを夫達に妻自身の筆で伝えさせ豊臣家への帰参を促す算段であった。


珠の非業の死によって、全て御和算どころか状況が更に悪化してしまった。


明智の無念の怨念がこんなところで豊臣家を危機に(おとしい)れようとは、三成は己の運の無さを呪い、因果応報の宿命を感じずにはいられなかった。

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