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その四十八 お茶々の秘密

「佐吉よ、謀略に加担し大恩ある御屋形様から天下を掠め取ったような豊臣では忠節は尽くせぬか」


三成は太閤にそう問われるのを予測していたかのように即答した。


「たとえ血を分けた親、兄弟とて敵味方となるは、源平の頃よりの武家のならいにございます、まして殿下は親である正親町天皇をお助けしたのでありますから」


秀吉は安堵した表情でこう続けた。


「佐吉、わしは御屋形様のことを心底恐ろしくも、ありがたく、お役に立ちたいと思うておったのじゃぞ」


三成は太閤の言葉に嘘は無いと思った、なぜなら ・・・・


「殿下、三成も殿下を左様に思うておりまする」


秀吉はさも満足そうに三成の顔を見やった後、真顔となって話を続けた。


「佐吉、もう一つ秘密を明かす、豊臣の行く末を其の方に託すためじゃ」


三成は居住まいを正して秀吉の言葉に耳をそばだてた。


「実は、お茶々の出生にも秘密があるのだ」


お茶々の秘密と聞いて三成の心はざわめいた。


九つ年下の美しいお茶々は同郷の三成にとって、普段はおくびにもださねども、今も昔も手の届かぬ憧れであった。


お茶々の母お市の、浅井家への輿入れは、その後の美濃攻略と絡めて秀吉がその全てを仕切った。


まだ敵の領国である美濃を無事に通過するためには、秀吉の調略の手腕が不可欠であった。


信長は美濃を攻略する頃からすでに、天下布武の志を持っていた。


その為には京、摂津より先に地勢的な要所である近江を押さえることが何にも増して重要と考えていた。


当時、織田にとっての最大の脅威であった北方の武田、上杉に対して越前、近江、美濃、尾張と徳川との同盟により、

三河、駿河と弓形に連なる磐石の防衛線を作り上げることが必要不可欠であったのだ。


早く手に入れても金ばかり食う京など、二の次、三の次で良いと考えていた。


信長らしい合理的な理屈である。


浅井に輿入れするお市に信長が託した任務は、天下布武を成し遂げる為に殊更重要であったはずである ・・・・

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